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股関節の自己矯正方法

脳性麻痺だとわかった時、お医者さんは「大人になっていく過程で側弯などの身体の不調が二次障害的に起きてくるはずです」と予言しました。

いろんな人に相談をすると「脳性麻痺のお母さんたちは鍼灸師の資格を取って自宅で仕事をしながら子供の面倒を見る人もいる。通いで他人に見てもらうよりも自分で子供の治療ができるから鍼灸や整体の資格を取りに行く人は多い。シングルマザーなら通学にかかる学費を補助してくれる制度もあるところもあるから、どうしてもそういう選択をする人は多い」と言われましたが、仕事をしながら子供の面倒を見て、同時に学校に通うなど途方もない事でした。そんなことをしたら過労で死にます。それが可能なのは家で子供を見てくれる家族がいる人だけです。シングルマザーには難しい…。

ですから私は「子供の体を整えるための知識だけが欲しい」と思いました。

そこで最初に居合系の鍼灸院に半内弟子状態で勉強をさせてもらいに通いました。1か月に2~3回通って、いろいろと教わるかわりに掃除などをしてお手伝いをします。仏壇やトイレを掃除したり、なくしたものを見つかるまで探したりしながら、「将来起こるべきだろう脳性麻痺の二次障害」について学びましたがやればやるほど「病気の子供の身体を治す技術は全ての人間の痛みを取ることにつながるのだ」を気づきました。

私は当時体の構造について無知で、何を教わっても右の耳から入って左の耳から出ていくような状態でした。きっと先生はイラついていたと思います。同じことを何度も何度も繰り返し私に言って聞かせてくれたいました。

そして最近近所の鍼灸院に通い始めると「脳性麻痺みたいな難しいやつは全然わからない。俺はできもしないことをできるような顔をして金を稼ぐ奴が大嫌いだからね。自分はそうはなりたくない。でも基礎的な体に関してはたいていの人間は同じだと思ってる。だから自信がないからあなたの子供さんは見てあげられないけど、あなたにやり方を教えるから家に帰って自分でやってみなさい。自己治療の方法を教えてあげる。それで成功したら教えて。また俺は考えるから。わからないけど、考えるから。」と言っていろいろなことを教えてくださったんです。

この頃になると私は少しずつ「人間の体の構造」についてわかるようになってきていたので、鍼の先生の言わんとすることを一目見るだけで理解できるようになっていました。先生は「あなたは筋がいい」と言ってなんでも教えてくれました。

どの先生も「時々病院に来て治療を受けるくらいでは治らない、こういうことはお母さんが家で毎日やらないといけないことだ。自己治療の方法を教えるからそれを覚えて帰って自分で子供の病気を治しなさい」というのです。

自己治療の方法を覚えること。
それが最も素晴らしい。

理学療法の先生にけがをさせられまくって、療育にへとへとになっていた私にはこの言葉は希望でした。


少し前に肩甲骨をほぐす方法に気づいて側弯を治していくということをnoteでまとめました。

これをやったときに「腰も同じようなやり方があるはず」と考え、それを周囲の人と相談しながら、考えました。

今日は硬くなった股関節の筋肉をほぐして全身が動きやすくなるようにし、側弯などの二次障害を予防・治療する手技をまとめます。




最初にどちらの股関節の矯正をするかの診断をします。肩の場合は一度に両方してもかまいませんが、足の場合は片側しかできません。足の裏をくっつけて次の図のように座ったときにひざと床の距離が遠い方の足を矯正します。

硬くて床にひざが付きづらいと、「硬い方の足が悪いのだろう」と思ってその足をストレッチする人は多いと思いますがそれでは身体はよくなりません。

悪いのは硬い方の「お尻」と硬くないほうの「股関節の前面と腹筋」なので、それのケアを行います。屈伸運動などをしても意味がないどころか逆効果なのでしてはいけません。


①まずうつぶせになって寝ます。

②悪い方の足を90度開いて伸ばします。3Dのモデルの質が悪いのでちょっと絵は変ですが許してください。本物の人間と全く同じような関節の動きは難しいのでありえない角度になっていますが、雰囲気だけ掴んで欲しいです。

とにかく足は横に伸ばします。

③90度ひざを曲げて足を天井に向けてまっすぐ伸ばします。

④背筋を反らせます。

このCGは「こういう風にするよ」というのを伝えるために描いているので、本物の人間だとなかなか100%同じ角度にはならないと思いますが、目標がこういうものだと理解してもらえたら全く同じ状態にならなくても大丈夫です。

ここから曲がってはいけない方向に足をまげていきます。

⑤手で足首や踵を持って頭の方へ倒します。

あまり出来の良いCGではないので足首を握らせられませんでしたが、持ってぐいっと頭の方へ倒してください。強くやる必要はないです。軽く力を加えるだけでいいです。腰とひざの位置はできるだけ動かさないように。

押すのは1回につき5~15カウントが限界だと思います。1回やったら次に同じことをするのは必ず5日はあけたほうがいいです。

体がガチガチの人はこの体勢を取るだけで辛いと思いますし、ほぐれている人がやっても長時間やると足を痛めます。回復してから次を行います。両方の足を一度にやるのも良くないです。足がガタガタになりますから。


本来「曲がってはならない方向に曲げている」のですから、やりすぎると足が壊れます。自分自身で加減を調整できるこの「自己治療」のやり方であれば問題はないですが、他人に手伝ってもらって足を押してもらう時は「5カウントまで」とか「15カウントまで」とか約束事を決めておくと良いです。「痛くなりかけたらやめてもらう」とか、とても大事です。

これは「体を壊す技術を上手く使って体を治している」という手技になります。それを絶対に忘れないで。加減をして、少しずつ行うことが大事です。

1回に15カウントまで
1回やったら5日はあける
同じ日に両足をやらない、片足のみ行う!

⑤股関節を伸ばしたほうとは逆の足を折り曲げてうつぶせになります。膝を抱えるようにしてうつぶせになり、そのまま背筋を反らせてやると良いです。

実はこの運動がこの中で一番重要です。1つ前の部分が凄く変ったポーズなので凄そうに見えますがそれはこの時に左の股関節の前面の筋肉を動かせるようにするためのものです。

この状態からさらに、ひざを抱えたほうとは逆の方の胸をねじって反らせます。そうするとひざを抱えたほうの股関節の全面が伸びているような気がすると思います。

この動きで左側の股関節の前面が伸びます。

腹筋まで伸ばそうと思ったらのけぞるようにして背中をまっすぐに反らせます。


大事なのは、この下の画像のポーズをちゃんと行えることですがこれだけでは効果がないです。これをした後に反対側の股関節の前面をしっかりと動かすことが大事。

それがうまくいくと

お尻の穴の上の細い筋肉が動くようになります。そうすれば反身の猫背だって治りやすくなるし、下半身の動きも良くなるし、腹筋もちゃんと動くようになります。ここが硬いというだけで体幹はガタガタなんですよ。

低緊張であるということは姿勢を正しく保持できないということ。やわらかい身体を無理して硬く使おうとすると、どうしてもみんな同じ体形になります。

こういう感じ。

これが「反身の猫背」です。背中は前傾しているのに腰が後傾していて一見まっすぐ立てているようで実際は腹が出ている。胃が上に持ち上がるのでいつもお腹が空いていて食べてしまうので太りがちです。膝は突っ張っていて体重はかかとにかかっていてつま先は上がっている。顔は前に向いているようで実際は顎を突き出して反っているので首はストレートネックに。

でもこの股関節をほぐすやり方をすれば、これが改善します。


これが股関節をほぐして姿勢を改善し、体の不調を取り去るためのテクニックです。

病気の子供のために考えたものですが、すべての人に有効な手技です。

やりすぎ注意なことだけ気を使いながら、前回やった肩甲骨のほぐすテクと併用してやると全身がよくなります。


こちらもとても有効です。組み合わせて使ってみてください。


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