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AIアートにおける「空気に光で描く概念」

※今回の記事の内容はAIアート中級・上級者向けの内容になります。予めご了承ください。

私は絵が好きでAIも好きなので「AIに絵を描かせる」という行為はとても楽しいものです。

「せっかくAIに絵を描かせるのだから人間には難しい絵を描かせないと、AIを使っている意味がない。人間に描けない絵を描いてこそAIを使う意味がある」と以前から考えていました。

そしてそれは何なのか。今までよくわかっていなかったのですが昨日何となくひらめきました。

私はAIに絵を描かせるときはプロンプトと呼ばれる言葉で指示を出すのですが、そのプロンプトには現在まだ教科書らしいものがありません。人々が使っているプロンプトは他人が見ることができるし公開されたものがあるのでそれらを見て独自に勉強しながらみんなが手探りでやっている状態です。そして毎週のように仕様変更がされるのでプロンプトの文法も変更されます。常にあやふやで正しいことが定まらない状況。見つけた良いプロンプトも次の日にはゴミとなることの繰り返しの中で「変わらなかったこと」がいくつかあることに気づきました。

それは・・。

①描きたいものほどプロンプトの前にほうに書く
②主題、その他の題材、背景の3つの構造で書く
③画風はそのあとで書く

これによって描かれた絵は普通の絵です。普通の絵を描くためだけでもものすごい苦労をしているのだけども、私は「人間には描けない絵を描きたい」のだから、これを超えなければなりません。

プロンプトで描くのだからそれは言葉の構造上の問題です。絵の問題ではないです。概念そのものです。

そこで考えました。

「AIにしか描けない絵」とは「今まで私たちがAIに描かせていた絵とは違う構造のプロンプトの絵だ」と。

つまり。

主題、その他の題材、背景の3つでほとんどの絵は構成されているけれど、それ以外の絵を描いた人はいない。


それで昨日のお昼くらいからずっと実験をしているのです。テスト段階なので完成しておらずあちこち汚いです。この段階でひとさまに見せるようなものではないのですが、多くのプロンプトエンジニアの方に見てもらって、それぞれにこの概念で新しいプロンプトを組んで欲しいと思っています。

それがAIアートを次の段階へ進めることができると思うから。

では試作品をお見せします。

主題、その他のパーツ、背景に分けるなら要素は3つでした。これは4つ目の要素です。



「空気の中に光で形を描く」

光で描く題材は何でもよいと思います。問題は主題と背景との間にその他の題材以外に『空気の中に光を描く』ということ。AIは複雑な計算と描写が得意なのでこれが可能です。

ただ私のプロンプトではまだ完全ではありません。多くの人に見てもらってそれぞれの考え方で第4の概念を膨らませていって欲しいと思っています。

方法としては、

①プロンプトで一発で出す方法
②複数の画像をイメージプロンプトで組み合わせる方法

があります。プロンプトだけで出せたほうが絶対きれいですね。投影したい映像の種類が決まっている場合は②の方が楽です。イメージプロンプトを使ってリミックスを繰り返しながら作る場合は時間もかかりますし画質も下がるので画風とも相談が必要です。

②が難しいということを実際にやってご説明しましょう。

例えば私は最初にこのような画像を作りました。

完全な失敗だったのですが条件はそろっていたので仕上がりが悪いことはスルーして文字などを顔の前に描くよう調整してからリミックスをかけました。

ちょっと少ないので増やします。

リミックスをかけながら言葉を増やしていきます。不要な言葉が多いのでほっぺにシミが増えてきました。

線の数は多いのですが細いので目立ちません。太くするように指示を出します。同時に不要だと思われる単語を削除してリミックスをかけます。

線は太くなりました。ほっぺも綺麗です。ここから無改変リミックスをかけて回して様子を見ます。一向に変化がないのであらかじめ用意しておいた画像をイメージプロンプトで組み合わせます。

この2枚をテストしてみて1枚目の方がよかったのでこちらを採用します。
少し丸い感じがでました。ですがどうしてもリミックスを繰り返しているとぼかしがでます。これによってできたぼかしはシャープフォーカスなどの単語では改善しません。

空気に対する記述は増えましたが顔がゆがんでしまったのでこれは失敗でした。数枚前のほうがいいですね。リミックスで良い画像を作るには回数が多くなりすぎないようにしないといけないです。


私がまだこれを始めて2日目なので、ものすごくへたくそです。例題に使った絵もモチーフ自体はそんなに新しいものではないので伝わりにくいかもしれません。ゲームやアニメなどでは人の顔の前に目に見えないモニタが表示されるようなシーンありますもんね。

でもあのシーンをAIで描いてみたいと思って始めたのですが、「あれ?これって今までのプロンプトじゃ描けないよね?」と気づいたんです。



「空気にものを描く」ってどうやるんだっけ???って。


今回、私は人の顔の前に光でモニターを作ろうとしましたが、全く別のモチーフを使うのもいいと思います。アイデア次第でいろいろな画像が作れますね。


「光で物を描く」というだけで言うと王道は「ライトペインティング」だと思います。以前私はライトペインティングという単語を使って絵を描いたことがあります。これも「暗闇の中に光で絵を描く」ということは同じですが「主題と背景」の両方を描いたうえでさらに描くとなるとちょっと難易度が上がります。

これが普通のライトペインティング。

キャラクターのアウトラインをこれにすることもできます。

キャラクターと分けて光で何かを描くこともできますが、描く内容をコントロールするのはこれだけでは難しい。工夫が必要です。

試しにライトペインティングで文字だけを描いてみましょうか。

結構コントロールができます。ただ私は今回ライトペインティングの技法は全く使っていません。違う方法を選びました。「通常の方法以外の方法を使う」ということで、新たな発見があるのではないかと期待したのです。

決まりきった方法ではないやり方で、皆さんも新しい絵の描き方を作り出していってもらいたいです。習ってしまったら習ったことしかできないからみんなと同じことしかできなくなる。自分で考えなくなることが一番恐ろしい。

絵はその人そのものがすべて出ます。特にAIの絵は言葉で指示を出すからその人が知っている言葉以上のものは描けません。言葉がないなら学ぶしかない。それは他人の知識をそのまま得るのではなく、自分で考えることから始まると思います。

私が考えたやりかた以外の方法がたくさんあっていい。たくさんあったほうがいい。いろんな人のいろんなやり方でたくさんの絵が描かれたらいい。そしていつかその絵が古い絵になってしまっても人が人である限り、新しいものを探してまた旅立つことができる。

主題でも背景でもなく、間の空気にものではなく光を描く。これもいつか古いものになって、それが古いものになるからこそまた新しい絵が描ける。それも絵を描く楽しみの1つです。

新しい絵をみんなで作りましょう。常に新しい絵を。AIでありふれた構造の絵を描くだけではもうそれすらも古いと言える世界を私たちが作って、そして次のステップに行きたい。


あなたなら、主題と背景の間の空気に光で何を描きますか?


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