見出し画像

兵庫県の片隅にある地方IT企業がパーパスを作ってみた【プロセス全公開】

こんにちは!learningBOX広報PRの佐藤です。
最近、「パーパス経営」という言葉をよく耳にするようになりましたね。
「そろそろうちの会社もパーパス作ろうかな…。でもどうやって作るんだ…?」と模索中の方もいらっしゃるのではないでしょうか?
実は私たちもこの流行に乗っかり、この度パーパスを策定しました!

この記事では、兵庫県の片隅にポツンとたたずむIT企業が試行錯誤しながらパーパスを作ったプロセスを全公開します!
プロジェクト開始から約8か月を要し、完成までに100案以上もコピー作成するなど試行錯誤を繰り返しました…。
これからパーパスを作ってみようとお考えの方や、そうでない方にも少しでも参考になれば嬉しいですし、この記事を通して「地方IT企業もこんなことしてるんだ!」ということを知っていただけたら跳んで喜びます。

まず、本題に入る前に、私のカンタンなご紹介をさせてください!

learningBOX広報PRの佐藤って何者?
・生まれも育ちも神奈川県
・家系ラーメン大好き
・ブロードウェイミュージカル鑑賞、DJ、ランニングが趣味
・デザイナー→キャリアアドバイザー→マーケター兼広報→広報PR(今ここ)
Twitternoteでは「まるこ」で情報発信しています!

はじめまして。learningBOX広報PR佐藤こと、まるこです!

先にお伝えしておくと、このnoteは7,000文字を超える超大作となりました!スキマ時間では読みにくいかもしれませんが、失敗や学びなども織り交ぜていますのでぜひお時間あるときに読んでいただけたら嬉しいです!!


なぜ今、パーパスを作ったのか

各部署から挙がった声がきっかけ

まずはじめに、パーパスを策定した理由について、簡単に触れておきたいと思います。
learningBOXは、今まで【Edtechのチカラで世界を変える】というビジョンを掲げ、誰でも簡単に使えるeラーニングシステムを目指して開発してきました。

最初は5名程のサークルのような雰囲気で開発をしていた会社が、昨年法人設立10周年を迎え、今では75名を超えています!

本社の1Fフロアの様子

このように社員人数が急激に増えていく中で、各部署から会社の方向性についての声が挙がるようになりました。
具体的には、人事は評価制度、デザインはデザインシステム、マーケティングはブランディングについて、今後会社がどんな方向性で進んでいくのか?みんな微妙に解釈がズレていってしまっていたのです…。
今後さらに事業拡大を目指し採用を積極的に行っていく上でも、みんなが同じ方向を向いていくために【learningBOXの存在意義】を明文化にすることが大事!ということを確認し合い、パーパスを作ることになりました。

今回、パーパスを作るうえで何よりこだわったのは「自分たちの言葉だから自分たちで作りたい!」というマインド。そのため、社外コンサルは入れずに、learningBOXメンバーだけでパーパス策定にチャレンジしていくことにしました。

ミッション・ビジョン・バリューではなく、パーパス・ドリーム・ビリーフにした理由

learningBOXは今までビジョンを掲げていたのに、なぜ今回はパーパス・ドリーム・ビリーフの3指針にしたのか?についても簡単に触れおきますね。少し概念的な話になりますが。。

名和高司(2021)『パーパス経営 30年先の視点から現在を捉える』(東洋経済新報社)を参考に作成

一橋大学ビジネススクールの名和高司氏によると、資本経営の時代においては、Mission(使命)Vision(構想)Value(価値観)が一般的でした。この「MVV」は外発的な観念といわれています。

一方で、志本経営におけるPurpose(志)Dream(夢)Belief(信念)「PDB」は自身の内側から湧き出てくる、より内発的な観念です。

これを受けて、「『PDB』こそが私たちの志を表現するのにマッチするのではないか」「内側から湧き出てくる内発的な観念だからこそ、社内にも浸透しやすいのではないか」という考えから、私たちはPurpose(志)Dream(夢)Belief(信念)の3指針を策定することにしました。

プロジェクトの始め方

メンバー

プロジェクトを始動するにあたり、まずメンバー構成を決めました。
弊社にはブランディングを担当するクリエイティブディレクター(津田)がいるので、今回のプロジェクトでは津田がリーダーシップをとり、主要メンバーを選定することに。
まずは、もともと人事評価、デザインシステム、ブランディングに課題感を持っていたメンバーを選出。
さらには、開発、品質管理、セールス、サポート、マーケティング、UI/UXデザイン、管理など様々なチームがあるため、それぞれのチームから1~2名ずつ選定し、意見が偏らないようにバランスを配慮したメンバー構成にしました。

スケジュール

プロジェクトを進めていくうえで重要なのがスケジュールです!
まずは最終ゴールを設定し、大まかなスケジュールを組み立てました。メンバー全員が通常業務を抱えながらのプロジェクト進行になるため、無理のないスケジュールになるよう配慮しました。

今回のプロジェクトのゴールは「パーパス策定、リリースまで」としていたため、それまでのプロセスを分解し、アクションプランを組み立てました。

ざっくり大枠でのスケジュール設定でメンバー内でゴールイメージを可視化

いざ実行!特に苦労したのは言語化…

メンバーとスケジュールが決定したら、いよいよアクションプランの実行!
ということで、まずプレリサーチとしてインタビューと社内アンケートを行いました。

インタビュー

パーパスを策定するにあたり、まずは社長とプロダクトオーナー2人の考えを理解することが重要!ということで、最初にインタビューを実施しました。
テーマは「創業時~現在~未来の事業」や「会社の文化」について。進行方法は、1名が司会進行を務め、社長・プロダクトオーナーに順次質問。その後、他メンバーからも自由に質問を投げかけるスタイルに。
※インタビューは録画しておき、プロジェクトメンバー以外の社員にもいつでも共有できるようにしておきました。

社内アンケート

続いて、社員みんなが考える「learningBOXらしさ」の言葉についても集めるべく、社内アンケートも実施しました(Google フォームを使用)。

アンケートの内容はこんな感じ

ワーク

経営者のインタビューと社内アンケートの回答からは、ポジティブなものからネガティブなものまで、本当に様々なワードが集まりました。
その中から「learningBOXらしさ」を明文化すべく、プロジェクトメンバーでワークを実施。ワークではmiroを使い、メンバ―みんなが思い思いにワードを仕分けしていく作業を行いました。

miro上でみんなで作業しました

ここまではイメージ通り。
そのワードをもとにプロジェクト内で3指針の素案をまとめ上げ、社長とプロダクトオーナーにいざプレゼンへ!!

プレゼンテーション

…しかしそのまますんなりと決まるはずもなく、プロダクトオーナーからいくつか詰めの甘さを指摘されてしまいました。

・経営方針とリンクした言葉選び
・なぜlearningBOXなのか?という独自性
・グローバル化に向けたメッセージ性

これらをプロジェクト内へ持ち帰り、クリエイティブディレクターとライターとで何案もの素案を作り直しました。
そして、再び社長とプロダクトオーナーへプレゼンしてはまた修正…を何度も何度も繰り返してはブラッシュアップを重ねていき、無事合意形成へ持って行くことができました!

そんなやり取りの中で、一つ決定したことがありました。
それは、ビリーフは社内公募にする、ということです。
理由は、“ビリーフは信念、つまり社員一人ひとりの中に刻み込まれる強い思い”であることから、プロジェクト内だけで決めてしまうことには違和感があったからです。

このようなプロセスを経て、ようやくパーパスとドリームの2指針の素案は決定…!プロジェクト開始からここまでに至るまで190日ほど経過していました。。しかしまだまだ先は長い!ここからパーパス・ドリームのコピーを作成するフェーズに移ります。

コピーライティング

実は、このコピーライティングが一番の難関でした…。

というのも、パーパスは、企業としての「存在意義」を言語化したものなので、ステークホルダーである社員、株主、ユーザー、パートナー企業に対して、learningBOXらしい独自性やメッセージ性のあるコピーにしていく必要があります

上記のようなイメージを膨らませながらコピーを作り上げていくのですが、それだけでなく、以下のようなことにも配慮する必要がありました。

・文字の配置や組み合わせなどの文字面の良さ
・他社競合、類似産業との整合性
・正論と夢(ロマン)のバランス


このように、多角的な視点でコピーを作り上げることの難しさを痛感したのでした。何度も作り直しては社長とプロダクトオーナーにプレゼンし、再度作り直し…をここでも繰り返していき、恐らく100案以上は作成していたと思われます…。
このような紆余曲折を乗り越え、無事にパーパス・ドリームのコピーが完成しました!

社内広報

なんとかパーパス・ドリームのコピーが決定したので、ここまでのプロセスを全社に途中報告をすることにしました。
ちょうど本社と東京支社のメンバー全社員がリアルで集結する親睦会が予定されていたので、そのタイミングで津田が代表し、パーパスを発表しました。

全社員の前でやや緊張気味にパーパスを発表するクリエイティブディレクター津田

発表後には社員から拍手が起こり、リアル開催ならではの一体感ある賑やかなリアクションが印象的でした!

ビリーフの社内公募

パーパスの発表後、ビリーフの社内公募の内容・応募方法について説明をしました。
社内公募には、自社開発した学習管理システム「learningBOX」を使用。これにより、問題作成フォームからレポート作成機能で応募者が応募できる仕組みをすぐに作ることができました!

learningBOXでコース作成し、応募フォームを作りました

集まった回答は53票!学習管理システム内の成績一覧で全て確認することができ、CSV形式でダウンロードもできるので集計・選定もスムーズにできました!

ついに…!パーパス・ドリーム・ビリーフのコピー完成!

以上、紆余曲折なプロセスを経て、ようやくパーパス・ドリーム・ビリーフのコピーが完成しました🎉

プロジェクトメンバーたちもホッと一息ついたのも束の間。社内と社外広報をしていくための次なるアクションプランを実行していくことに。


ここからは、リリースまでに取り組んだことについてご紹介していきます!
learningBOXの創立記念日7月23日にあわせてリリースをするため、目的から役割を振り分け、各自進行していきました。

ビジュアル化

まずはコピーの世界観をビジュアル化することから。
ブランディング担当であるクリエイティブディレクターの津田を筆頭に、UI/UXデザインチームと企画。社員をモデルに起用し社内で撮影会を行うことで、社員との一体感を持ちながら制作することができました。

撮影前準備の様子

ここで撮影したビジュアルはパーパスページに掲載しており、躍動感ある仕上がりになりました!

パーパス

ドリーム

社内公募から選ばれたビリーフ

プレスリリース

社外への発信にはプレスリリースを活用しています。ライターの松尾がパーパス策定の想いやlearningBOXの今後の方向性を社外へ伝えるため、関係者へ社内取材し、執筆しました。

SNS

現在learningBOXはTwitterFacebookを運用しています。
SNSは、新規顧客はもちろん、learningBOXをご愛顧いただいているお客様との大切なタッチポイントでもあるので、パーパスのメッセージを伝えるためにヘッダー画像を一新。
私たちのパーパスに共感していただける方が1人でも多く増えてくれたら嬉しい!そんな願いを込めて、過去の慣れ親しんだヘッダー画像に別れを告げました。

before(Twitter背景画像)

after(Twitter背景画像)

やってみてどうだった?プロジェクトメンバーインタビュー

最後に、プロジェクトメンバーの声をご紹介します!

プロジェクトメンバーで振り返りMTG中(左から津田、福田、西村、福本)

▼津田(クリエイティブディレクター)
learningBOXのパーパスを策定するにあたり、広告会社出身の僕にとって一番近い言葉はブランディングでした。
スローガン、シンボルマーク、ロゴタイプ。言葉とビジュアルをアイコン的にアウトプットするというのが企業ブランディングという仕事ですが、パーパスブランディングではアイコニックな表現よりも企業独自の考えや、存在理由を明確にして、もっともコアな部分を全社で共有することが重要でした。
社内に散らばっているエッセンスを拾い集め、それを今の時代に通用する言葉に生まれ変わらせる。そのプロセスは大変貴重で刺激的な経験でした。
この言葉たちを飾りにせず、learningBOXのブランディングやマーケティング、マネジメントにつなげていくことが、これから大切なことだと感じています。

▼西村(営業部長)
社内で共有されている価値観をまとめあげるプロセスはあまり迷いがなかったのですが、それを落とし込む形式としてPDB(パーパス・ドリーム・ビリーフ)にたどり着くのに非常に苦労しました。これは内製で取り組んだが故の生みの苦しみだったかもしれません。おかげでめちゃくちゃ愛着のあるパーパスができました!

▼福本(人事)
スタッフ全員が会社の方向性に納得感を得て、また、日々の業務の判断のよりどころとして欲しい!という想いをもって、パーパス策定をトップダウンではなく、スタッフ主導型プロジェクトとしてスタートしました。
これまで、求人票では「フラットで風通しのよい社風」を掲げながらも実際にはトップダウンになりがちな社風にやや疑問がありましたが…これからはみんなで作ったパーパスを元に、スタッフ一人ひとりがパーパスを意識した思考・行動を自発的に実践できる社内浸透を目指したいと思っています。
策定して満足!では何も変化はないので、これからが勝負だな、と!

▼福田(プロダクトデザイナー)
learningBOXのブランドコンセプトは、これまで明確に言語化したものはなく、社内外に浸透させるための環境がまだ整っていませんでした。
日々デザインに関わる中で、ブランドコンセプトやガイドラインの必要性をひしひしと感じていて社内で相談したところに、ちょうどパーパスプロジェクトが動き出そうとしているという話をお聞きして一緒に進めようとなり、まさに渡りに船でした。

ブランドのパーソナリティを制定するために全社でアンケート調査を実施していただき、これまでふわっとしていたlearningBOXのパーソナリティやイメージを言語化することができ、チームメンバー間でのブランディングの認識合わせやガイドラインの構築に役立っています。
まだまだ言語化しないと足りないものだらけですが、パーパスプロジェクトがとっかかりになりました。

社長・プロダクトオーナーにもインタビュー!

オフィス前での森(左)と西村(右)の2ショット。実は中学時代の卓球部の先輩後輩の間柄!

▼西村(社長)
learningBOXの開発を始めて以来、私たちはどのようにlearningBOXを発展させていくのか、どのようにすればlearningBOXをより多くの方々にお届けできるのか、というプロダクトを中心とした考え方で業務を進めてまいりました。
パーパスプロジェクトを通じて、私たちが会社としてどのように在るべきか、また、私たち自身がどのように働きたいのかを再考する機会を得ることができました。パーパス・ドリーム・ビリーフを策定したことで迷いなく進むことができそうです。

▼森(プロダクトオーナー)
理念・ビジョン・ミッションという形でなく、パーパス・ドリーム・ビリーフという形式を取ることで、湧き上がる志をベースに弊社の今この時代における社会への関わり方を表現することができたのではないかと思っています。
夢は大きく志高く、変わらず邁進していければと思います。

さいごに

以上、パーパス策定までのプロセスを一気にご紹介していきました。かなり長いnoteになりましたが、最後までお読みいただきありがとうございます!!
ここまで読んでいただいた方にだけコソッと暴露しちゃうと、実はここでは書けないようなハプニングがあったり、コピーの沼にハマり年末年始のタイミングで一旦プロジェクトを中断したりと、一筋縄ではいかないことも多々ありました…(汗&涙)。
それでもゴールに向かって諦めずにプロジェクトメンバーが奮闘してきたことは、大きな自信にもなり達成感を得ることができました!

無事リリースすることができたため、プロジェクトとしては一旦解散となりますが、インタビューでもメンバーが話していたように、みんなで創り上げたパーパス・ドリーム・ビリーフを社内外にどのようにして浸透させていくのか?が次なる課題となりそうです。
これについても、noteで取り組みなどをご紹介していけたらと思っています!

このnoteが少しでも皆さんの役に立つことができたら嬉しいです。
今後も、プロジェクトの裏側についてのnoteを書いていきたいと思いますので、よかったらスキ&フォローをいただけたら跳んで喜びます♪


私たちlearningBOXは、教材作成、問題・テスト作成、採点・成績管理など、eラーニングに必要な機能が揃った学習管理システムを開発しています。社員研修、人材育成をご検討中の方はぜひlearningBOXにご相談ください!



この記事が参加している募集

オープン社内報

企業のnote

with note pro

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?