資生堂の広告デジタルシフトが意味することとは?
資生堂が8月6日の2020年第2四半期の業績発表のなかで2023年までに広告媒体費の90%以上をデジタルにシフトすることを明らかにした。(media inovation)
この発表が与えるインパクトは広告のデジタルシフトにとどまらない。この発表は資生堂という化粧品最大手がデジタル広告にブランディングツールとして価値があると判断したことに意味がある。そしてこれからブランディングツールとしてのデジタル広告の活用がより一層進むことが予想される。
今までデジタル広告に求められてきた役割とは
今までのデジタル広告の出稿はゲームアプリや出会い系アプリなどが中心であった。そしてデジタル広告に求められた役割は広告からのアプリのインストールである。なのでKPIは払った費用分の広告経由のインストール数(Cost par Install)である。
化粧品業界が広告に求める役割とは
資生堂をはじめとする化粧品業界が広告に求める役割はブランディングである。言い換えると広告を通して認知度をあげたり、その企業や商品に込められたメッセージ性を伝えることを目的としているのだ。
資生堂の判断の影響とは
化粧品は商品価格に対する原価価格が他の日用品などの消費財に比べて低い。かつ使用効果(色や香り)として他の商品に明確な差をつけることが難しい商品である。だからこそ商品にどれだけ粗利を乗せることができるかはブランディングに懸かっている。言い換えるとブランディング・マーケティングが企業の生命線であるとも言える。そんな化粧品業界最大手の資生堂が広告費をデジタルに90%以上シフトするということはデジタル広告がブランディングツールとして認められてきているということだろう。
これからのデジタル広告はどうなる
これからのデジタル広告はブランディングツールとしての役割を求められてくると予測される。そのために具体的に以下のような3点が特に重要になってくる。
1、TGごとのCRの出し分け
商品の初購入者には他ブランドとの差別化するための広告、複数回購入者にはブランドや商品のメッセージ性を伝えるための広告、コアユーザーにはロイヤリティをあげるための広告というようにユーザーにあったCRを出し分けていくような細やかなTGが求められる。
2、SNSなどでの双方的なコミュニケーション
SNSなどの広告出稿では広告に対するユーザーの反応がクリックなどの数値だけで測れるだけでなく、コメントなどの定性的な面からも伺うことができる。ブランディングを行う上で商品、ブランドからどのようなものが連想されるかをそういった定性的な情報から管理していくことが必要になってくるだろう。
3、CRの作り込み
最後に最もシンプルで大切なのがCRの作り込みである。どんな状態のユーザーに対して、どんなメッセージを伝えるのか。より細かく出し分け、作り込もうとすればそれだけ多くのCRを作ることになりコストがかさんでくる。コストの制限がある中でどれだけCRを作り込めるかが重要になるだろう。
■参考文献
「資生堂、2023年に広告媒体費の90%以上をデジタルにシフト…「今のスピードでは駄目だ」」: Manabu Tsuchimoto
https://media-innovation.jp/2020/08/19/shiseido-digital-shift/
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