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モノやサービスにある見えない価値

経済が高度に発達した社会では、モノが持つ価値が高く評価されます。例えば、高級ブランドのバッグなどは、驚くような高い価格で売られていますが、その価格に納得して購入する人がたくさんいます。

バッグの素材や機能に差があったとしても、バッグの本来の目的はモノを入れて、効率的に持ち運ぶための道具です。100均で売られているようなエコバックも100万円もするエルメスのバーキンも、同じぐらいの収納容量なら、仕事(目的)に対するコストは圧倒的に100均一バッグの方が、1万倍も”コスパ”が良いと言えるでしょう。

ブランドバッグとエコバッグを同列で評価することすら、もはや誰も認めないでしょう。みんなが良いと思うものには、”目に見えない価値” が存在することを私たちは知っています。

最近は、人々の考える価値が年代や属性などによって多様化しています。私たちは最近、モノやサービスに求める価値が人によって全く異なることを受け入れることができるようになってきました。

一昔前、日本が高度成長期にあった1950年代から20年間ぐらいは、今ほどの格差はなく「一億総中流」と言われていました。誰もが貧しかった戦後から急速に経済成長し、誰もが同じモノやサービスに同じ価値観を共有してきました。国民の誰もが渇望した三種の神器(家電)といえば、冷蔵庫、洗濯機、掃除機でした。みんな同じ規格の狭い団地、通称ウサギ小屋に住んでいました。

みんな同じなので、妬むこともありません。
それよりも誰もが経済成長で豊かになったことを実感して満足していた時代です。

国民全員が同じものを欲しがるので、企業がモノを作ってテレビやラジオでCMを出せば、爆発的に売れて経済が回り続けていました。考えてみれば、マーケティングなんか簡単という時代だったはずです。

しかし、価値観が多様化した時代には、誰でもが同じものを欲しがらないので、顧客を絞り込むターゲッティングという作業が重要です。情報の入手先も、かつて誰もが見ていたテレビ、誰もが聞いていたラジオ、そして新聞から、SNSになりました。SNSはユーザの性別や年齢、所得などの属性、検索や表示の履歴によって広告が変わります。

企業が開発、製造したモノやサービスを必要としている人を絞り込んで提供しやすくなった反面、高齢者向けや、数少ない特定の属性の人に向けて情報を届けるのが難しくなっています。マーケティンが極めて難しい時代になりました。

しかし、購買者が限られるニッチな商品やサービスであっても、特定のターゲットグループに対して高い支持を得ているものもあります。いわゆるニッチトップとか知る人ぞ知る。というブランドです。多くの人は存在すら知ることはありません。

冒頭でみんなが良いと思うものには、”目に見えない価値” が存在することを私たちは知っていると書きましたが、人は承認欲求があるわがままな生き物ですから、”相手も自分と同じ価値観を持ってもらいたい” 、そして自分のことを評価してもらいたい。ということを願っています。逆に自分と価値観を異にする人が、自分には関心のないものに投資を行うことが信じられないかもしれません。

価値とは、そのような不特定で目に見えないものです。
熱狂していても、一夜明ければ全く興味を失ってしまうかもしれません。

今、価値をつけているものは、だいたいが形がなくて、目に見えないものです。明日にも溶けてなくなるかもしれません。

だからこそ、見えないものであっても本質を見極めることが必要なのです。価値を高めて維持するための努力が必要とされるのです。







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