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農薬や化学肥料はダメなのですか?

先日、別に経営している会社で、有名な除草剤の効果検証のひとつとして、身体にかかる負荷計測を実施しました。その様子が公式のYouTubeにアップされました。

テーマは除草剤を使うことで、人力除草(草むしり)と比べ、身体にかかる負荷がどの程度軽減されているのかを科学的に検証するものです。対象はご家庭のお庭なので農家とは事情が少々変わりますが、農薬が化学肥料によって農業の生産性がどれぐらい向上したのかを考えるきっかけを与えてくれました。

私は農業コンサルタントという立場で、顧客が考える「あるべき姿」に寄り添う立場にありますので、有機農業と慣行とどっちが優れているということについて言及するつもりはありません。いずれもビジネスとして顧客の支持を集め、利益を出しているならば何の問題もありません。

有機農業については政府も普及を推進していますので、今後、少しはマーケットも拡大するかもしれません。いずれにしても有機農産物を選ぶ顧客をどうやって増やすのかが課題になるでしょう。

不耕起で粗放管理を行う自然農法などを実践している農家は別として、農家にとって、一番の大仕事は除草ではないでしょうか?

温暖で多雨な日本は作物にとって最適な栽培環境なのですが、当然、雑草にも良い環境です。どこからか種が飛んできてどんどん繁茂していきますので、特に畝が葉っぱで埋まる初夏ぐらいまでは雑草と格闘しているはずです。

人力だけでなく機械力を使って、効率的に除草作業をしている農家も多いと思いますが、除草剤を上手に使うことで労力を大幅に削減することができます。

上記のYoutubeでは、除草剤使用の場合、人力による草むしりと比較して時間にして12分の1という結果になりました。身体にかかる負荷は除草剤散布に対して草むしりは3割も大きいという結果になりました。疲労を時間で積分すると圧倒的な労力の差になります。これは労働生産性に大きな影響を与えます。この労働力が産品の販売価格に反映されれば良いのですが、あまりにも大きな価格差になるでしょう。

農業者が減少するなか、日本の食料自給を維持するために、農家一軒あたりの耕作面積は増加しています。耕作面積に増加に伴い労働力を投入できるかと言えば、人手不足、雇用難の時代です。人手がかかる作目よりも、機械で効率よく栽培できるものにシフトするのは仕方ないでしょう。

この作物栽培の効率化は、これまでの歴史でいくつかの技術革新がありましたが。内燃機関の発明によるトラクターの普及、化学肥料や農薬の発明、化学肥料が効きやすいように育種された品種、特定の農薬に対して耐性を持つ遺伝子組み換え作物の開発などです。

特に1960年代に起こった農業イノベーションである「緑の革命」では、農産物の生産性が劇的に向上しました。これにより世界人口の急増に耐えることができたと言われています。

発展途上国を旅すると、経済的に肥料や農薬が手に入らず、非常に生産性の低い農業をしている国がまだまだあります。農薬や肥料もまた多くの人の命を救っているのだと思います。


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