【父と私】アル中のちちおや

父親はもうこの世にはいない

すごく嫌だったのは、犬の散歩帰りにこっそり自販機でお酒を買い、お母さんには内緒だよ

と言う父親

子供ながらに、大人はずるいと思っていた

私は結局お母さんに言ったのか言ってないか覚えてない
でもどっちにしてもいつも両親はお酒の事で喧嘩してた

中学になって塾に通い始めた
お迎えがいつも父親でいやだった
友達も一緒に乗せて帰ったりしたのだが、家に着く前の大きな交差点で事故りそうになった
ああ、また家を出て自販機で1カップ買って吞んだんだな

なんとか家にたどり着き、さすがに怖かったので、母親にチクった
また喧嘩になってしまった

…どうして離婚しないんだろうと子供ながらに思っていた

大人になった今ならわかる

母は専業主婦で、きっと私たちを貧乏にさせたくなかったのだろう
母と子でできているコミュニティで母の人格がなりたっていたのだろう

でも、父が病気で死ぬときにわかった
号泣している母を見て

ああ、やっぱり愛していたのかな

ちょっとだけ、自分も救われた気がした
死んで気づかせるなんて、父親もやっぱり、ばかだな