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紅麹サプリと不作為(世間話)

「青カビ付着、対応せず 紅麹問題で小林製薬の外部委報告」日本経済新聞

ですが、

紅麹サプリと食品、健康食品事故は何故起こる(世間話)

にも書きましたが、やはり根っこはなじようですね。

「ま、いいか」 → 要は「不作為」。

汚れていれば掃除する。変だと思ったら確認する。もしは、廃棄する。が行われなかった。

事件発生に関して想像したプロセスは、
日頃の清掃をおろそかにしていて、青カビが発生した。
または、清掃を行っていたが何らかの原因(機材不調等)で青カビが発生した。
ついで、青カビを発見。

これがどのように報告(報連相)されたか不明ですが、
いろいろあって「ま、いいか」
(会社組織のどこかの階層で問題は起こらないであろうと思われて、または、判断されて、出荷された)
となって人生を無茶苦茶にされた人がでたというような気がします。
(被害者やその親族は生きている間、永遠に続くわけです)

そこで、気になるのが
「ま、いいか」に至る過程ですね。
「ま、いいか」は、異常事態を感知していても、正常性バイアスに引き戻す際に発せられる言葉だと思っていますが、そこに「行きつく」、もしくは、そこに「意図的に押し込まれる/押し込む」には、複合的にいろんな要素が絡んでいるのが普通です。
今はあまりないですが、空き缶のポイ捨ての「ま、いいか」に至るには、近くにゴミ箱がない、飲んだ後の缶をもっていたくない、車にごみを乗せたくない。の一つから全部、もしくは、ここに書かれていない理由があって「ま、いいか」で、ポイ捨てする。

なので、
今回は営利組織なので、「ま、いいか」に至る過程に廃棄時のコストが絡んでいると思います。
いわゆる「(製造に投下したお金が)もったいない」ですね。
特にお金のことを考えると(失った時間も機会損失としてお金に換算できます)

なので、
「あれ?おかしい」→(「もったいないな」悪魔のささやき)→「どうだろう」→「そんなにおかしくないよね」→「なんか行けそうだと思う」→「いけるよね」→「ま、いいか」→「出荷しよう」
に至るプロセスが、組織内のどの階層で判断されたかはわかりませんが、こんな感じではなかったかと思っています。
(「出荷」以外は日常に近づけた想像なので、鍋で少し焦がしてしまった、焦げ臭いカレーぐらいで想像してみてください)

そこで気になるのが、今回の「紅麹」も、<参考>の重大事件も加工食品/食材ないしは、これらの範疇に含まれるものなのですね。
薬ではなく加工食品/食材がゆえに甘かったようにも思いますが、冬には電気毛布で感電死者がでたり、日用品でもシャンプーで失明者がでていたような人の命が軽く、経営的にもいい加減が通った昭和の話ではなく現代の話なので、そもそも小林製薬のマネジメントシステムに問題があったのだろうと思っています。
(リスクマネジメントに関してはマネジメントが先行するので、割愛しています。また、法の問題もあると思いますが…法の専門家ではないので外しています)

マネジメントシステムはシステムなので必須要素があり、基本的に方針、体制、マニュアルの要素が必須となります。
そして、これらがぐるぐると回るように実行され、改善や環境の変化を取り込みながら高みを目指して登っていくことでマネジメントが洗練されていくわけですが、「紅麹」事件に関しては、製品品質に関してこの要素の回転が錆びつて機能していなかった、のではと見ています。

このように分析したからと言って被害にあわれた方が救済されるわけではないのですが…

最後に、マネジメントシステムの制定と実施の確認は、経営側が行う仕事なので、もし、これがなされていなかったとすれば、経営の責任は甚大であり、今回の退任ぐらいでは済まない大きく問うべき問題だと思います。

<参考>

「工場における漏洩、混入事故の発生後、事の重大性に気づかず、汚染油の廃棄、隔離等の処置を怠り、これを含む製品を消費者に販売してしまった。」失敗学会

「事件後の裁判においては、当該ロットが納品される際、安い品であり問題があれば返品して欲しいと協和から通達があり、徳島工場製造課においても色が変であることに気付いていたとされている。」Wikipedia(こちらは失敗学会のサイトには載っていなかったのでウィキペディアになりました)


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