中小企業の人材活用事例集 10 - 大橋運輸株式会社さま :営業利益1360%増の秘密
中小企業庁が出している事例集 (正式名:中小企業・小規模事業者の人材活用事例集)に掲載されている全50社レビュー10本目は、愛知県の大橋運輸株式会社さまです。トップ画像はHPからお借りしました
インターネットでの情報に基づいた、著者の分析や見解であり、インタビューに基づいた内容ではありませんのでご了承ください
最初に、言います
めちゃスゴイです
何がスゴイ?
企業が勝ち残るために、ダイバーシティー戦略を取り入れ、長期間、数多くの施策を展開されています
ダイバーシティーを経営に取り入れ、売上・営業利益まで伸ばしている会社です
私、感動しました
本当にたくさんの施策(健康経営など)をされていますが、ここでは女性が働きやすい職場作りに着目したいと思います
まとめ
女性が働きやすい職場づくりから
まず、女性が働きやすい職場づくり、制度作りから始められたようです。おそらくここが実践上のポイントと思われます
こういう事例を調べると、あれも、これもとやりたくなってしまいますが、順番がとっても大事です
短時間勤務(1日4時間)、午前でも午後でも可能
マルチタスク(1人で何でもできるようにする)にして
チーム制で、お互いカバーすることで急な休みや仕事が止まることはない
でも、これは、実は女性に限ったことではないのです
女性が働きやすい ---> 誰でも働きやすい
例えば、親の介護が必要になった男性ドライバー、週3日なら働ける高齢者など、女性が働きやすいとは、多くの方が働きやすい環境なんだといえます
特に地方の中小企業は、このような潜在的な優秀人材へリーチするために、大橋運輸さんのように、
まず労働条件を変更し
①短時間勤務(半日勤務もOK)
②週3日もOK
そして、短時間勤務でも成果を出せるマネジメント
①マルチタスク(複数の仕事を覚える)
②チーム制(一つの仕事を一人だけに任せない)
ここから始められるのはいかがでしょうか
インタビューなどでは見つけることができませんでしたが、マルチタスク&チーム制には、業務の標準化と見える化が必要です。その辺りの工夫を大橋運輸さんはどのようにされたのか、興味ありますね
いまでは、外国人、高齢者、障害者、LGBTQへのも取組みも拡大されています
男性中心社会
ここからは大橋運輸さんの事例ではなく、「女性が働きやすい」に取り組まなければならない問題ついて、日本の社会という大きな視点で考えてみます
「女性が働きやすい」ようにしなければ
↓
これは、女性が働くにくく、「男性が働きやすい」ということの裏返し
↓ 具体的には
日本の多くの既婚女性は、主婦として家事、子育て、地域活動などを行っているから、フルタイムでの仕事が大変。
↓ なぜ
男性が、家事、子育て、PTA活動などを、女性よりも(圧倒的に)してないから(と思う)
↓ なぜ
昔からそうだから
男性中心の文化、男らしさの文化だから
軍隊の男性中心の文化・組織運営が続いているから
政治家も男性が多いから
経営者も男性が多いから
学術的にはどう言われてるのか知らないのですが、ぱっと思いつくのはなんとなくこんな感じでしょうか。現場で働く人間にとっては、そんな理由はどうであれ、、
↓
男性ももっと家事、子育て、地域社会への活動など、会社以外の居場所で活躍されてはいかがでしょうか?
本当は、女性が働きやすいというよりは、”仕事以外のあれこれ” が多くなってきている世の中で(それが育児や介護のような避けられないものから、自己研鑽、趣味等の余白の使い方まで)、仕事と仕事以外をどのように両立できる仕組みを世の中で作りあげていくかということが問われているのかなと、私は思います
これは日本社会レベルの問題
一方、会社の問題としては、やはり先ず女性が働きやすい職場づくりから始めるのがよいでしょう
一番困ってる人が圧倒的に多い層だから
そこから初めて成功すれば、女性だけでなく、高齢者、障がい者など他の層にも広がります
企業は
男性を採用したいわけではない
8時間勤務+残業付 ができる人を採用したいわけではない
組織に貢献し、結果を出せる人が欲しい
それだけ
その目的を達成する手段として、フルタイムの男性社員だけを採用するのは、よい手でしょうか?
いや違うよね
って思う方もだんだん増えてきているのでは?
経営者や人事は、8時間でのフルタイム+残業付き という従来の経営は持続可能でないことを認識し、あらたな働き方によるあらたな価値創造を、大橋運輸さんのように積極的に実践されてはいかがでしょうか
営業利益13.6倍。1360%増の秘密がここにあるような気がします
参考資料
チョチョウィン, 加藤里美. "ダイバーシティ経営の事例研究―CSV に焦点を当てたダイバーシティ経営―." 日本経営診断学会論集 20 (2021): 65-71.
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