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まるで言葉の宝石箱。オトナになった今だからこそ「星の王子さま」に学べること。

今回は読書の秋ということで、普段とは違ったジャンルの本について記事を書くことにチャレンジしてみたいと思います。

その本とは、ズバリ・・・「星の王子さま」です!

あらすじ
砂漠に不時着した飛行士の前にあらわれた、不思議な男の子。彼は遠い星からやってきた王子さまだった。「おとなしい羊を描いて」とねだる王子さまと語り、絆を創ったふたりは大切な時間を過ごす。しかし、やがて別れのときが…。
引用:「BOOK」データベース

子どもの頃に読んだことがあるという人も多いのではないでしょうか。

1943年に出版されたこちらの作品は、初版以来200以上の国と地域の言葉に翻訳され、世界中で愛されている作品です。

長い間、幅広い層に読み継がれ、愛されているその理由は一体どこにあるのか。また、この作品の新しい楽しみ方についても考えていきたいと思います!

それではいってみましょう!

01:星の王子さまって、何者?

みなさんは、本を手にするときに大事にしていることはありますか?

「星の王子さま」をオトナになってから読む際には、是非「作者」と「時代背景」も大事にしてほしいんです!

「星の王子さま」は物語単体で読んでもとても素晴らしい作品なのですが、これら2点を知ると物語をより深く味わうことが出来るので少しそれについて綴らせてください。

まず、この作品の作者はアントワーヌ・ド・サンテグジュペリという人物です。
彼は作家にして飛行士
12歳の時にはじめて飛行機に乗ったことで空への憧れを抱き、そしてその後はパイロットとして空と共に過ごした人物なんです。

そして彼の残した作品である「星の王子さま」の主人公である「ぼく」はパイロット・・・

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・・・なんとなく想像が付いた方もいるのではないでしょうか?
「星の王子さま」の主人公は、作者本人がモデルなのではないかと言われているのです。

そしてこの作者であるサンテグジュペリは、第二次世界大戦中の1944年7月31日コルシカ島の基地から偵察飛行に飛び立ち行方不明となっています。
本当に生涯を空に費やしたひとですよね…。

物語の最後も彼と同じで儚く、宇宙や空を想わせるラストになっていて、彼の人生を詰め込んだような作品だなと感じます。

次に「時代背景」についてですが、この本は最初、アメリカにおいて1943年に出版されました。彼が行方不明になった時期と同じ、第二次世界大戦のまっただなかということになりますね。

そして、この本のイラストはサンテグジュペリ本人が全て描いたものなのですが、そのイラストたちには第二次世界大戦を暗喩する表現が含まれているのではないかとも考察されているのです。

有名なのは、バオバブの木のイラストですね。
どこがどう暗喩になっているのか、想像しながら読むのも楽しいですよ!

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是非想像力を働かせながら読んでみてください。

…さて、少し作品についての知識を入れたところで、「星の王子さま」の真髄に迫っていきましょう・・・!


02:世界中のオトナに愛されるワケ

「星の王子さま」は子供向けの絵本として有名ですが、オトナになってから読み返したい一冊としてもまた有名ですね。

「星の王子さま」で最も有名なセリフのひとつに、

いちばんたいせつなことは、目に見えない

というものがありますよね。子供向けの絵本にしては少し深めのセリフかと思います。

私は子供の頃にこのセリフに対して、「じゃあお友達や家族や、大事なものじゃないの?」なんて思った淡~いが記憶あります(笑)
しかしオトナになった今、作品を深く読み返すと、そういうことではなかったのだと次のセリフによって気づかされました。

それが、

きみのバラをかけがえのないものにしたのは、きみが、バラのために費やした時間だったんだ

というセリフです。

本当に掛け替えのないものは誰かと過ごした時間だったり、素敵なものを目にした時に抱いたきもちだったり・・・その瞬間を生きていたんだという刹那のものだったりするのではないでしょうか。

「星の王子さま」の作品の中には、他にも様々な美しい言葉が綴られていますが、私が個人的に好きな言葉は・・・

ぼくの知っている星に、真っ赤な顔の大人がいる。
その人は一日中ずっと計算しかしていない。
花の匂いも嗅がないし、誰も愛さない。
大事なこと、大事なことって、そればっかり。
そんなの人間じゃない。キノコだよ!

という王子さまのセリフです。

私事ですが、以前鬱病に悩まされた時期があったんです。
その時行き詰った時に、素敵な花の香りを嗅ぐこと、夜空の星を眺めること、本当に些細なことが、どれだけ大事か気づいたんです。

子どもの頃は、花を摘んだりその蜜を舐めたり、自然と触れ合って、日が暮れれば自分の影をどこまでも追いかけ、気づけば綺麗な月が空に浮かんでいる、なんてことがすべてだったのに、いつからかそんなことをしなくなったなあ、と。

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確かに、「星の王子さま」は子どもには理解出来ない深いシーンがたくさんあります。
しかしその一方で、子どもの頃はできていたのに、オトナになって忘れてしまったことに気づかせてくれるシーンもたくさんあるのです。

そういった意味でも、大人になって読み返したい一冊ですし、きっとこれが世界中で愛されている理由のひとつですよね。

03:実は大人に贈られた物語?

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ここまでこの記事を読んでくれた方なら、「星の王子さま」の深さにきっと気づいていただけたはず。

・・・「星の王子さま」は、深い。
それもそのはず。

作者であるサンテグジュペリは、この物語の最初に、

この本をひとりの大人に捧げることをゆるしてほしい、
その大人はぼくにとって世界一の親友だから。もうひとつの理由は、その大人は子供のための本でもちゃんとわかる人だから。

という言葉を残しているのです。

きっと「星の王子さま」は最初から、子供から大人まで、幅広い層のためを想って紡がれた物語なのだと思います。
この物語が誰かのためを想って心をこめて作られたものだと知って読むと、よりいっそうあたたかいきもちになりますよね。

今回の記事では、「星の王子さま」をオトナになった今だからこそ味わえる視点で読むということに挑戦してみました。
しかしその他にも、冒頭で記した通り、イラストから時代背景を考察してみたり、自分の教訓にしたい素敵な言葉を探してみたり・・・
オトナになった今だからこその楽しみ方がたくさんあります。
「星の王子さま」は名言の宝石箱なので、特に後者の楽しみ方はオススメですよ!

読書はしてみたいけど、たくさんの文字を見つめるほど余裕がない、海外作品に手を出す気にはなれない…なんて方でも大丈夫◎
「星の王子さま」は文庫版や絵本版などがあり、様々な訳者さんが訳しているので、自分にあった一冊で楽しむことが出来ますよ。

是非普段の読書に、新鮮な風を吹き込んでみてください。
「絵本」だからこそ、忘れかけていた大切なことに気づかせてくれるかもしれません。

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