【手のひらから、芸術の世界へ】生活とリンクする、西洋美術のすゝめ
「西洋美術」と聞いて、みなさんは何を思い浮かべますか?
キリスト教の荘厳な宗教画?それとも、「モナ・リザ」のような写実的な肖像画?
このような作品を想像して、「興味はあるけどなんとなくとっつきにくいな・・・」と思う方もいるかもしれませんね。
しかし、西洋美術はアカデミックなお堅い作品だけではありません。
日本画に庶民の生活や風俗を描いた浮世絵があるように、西洋美術の世界にも人々の生活を題材にした、ちょっと親近感の湧く作品がたくさんあるのです!
今回は、比較的新しい近世以降の作品を中心に、そんな「生活を描いた絵画」について少し探っていきましょう!
1.「農民画家」ブリューゲルが描く、コミカルな農民の生活
その昔、ヨーロッパで人口の最も多くの部分を占めていたのは農民たちです。
「農民」と聞くとなんとなく、貧しくて苦しい思いをしているというイメージを抱きがちですが、決して豊かではないその生活の中にも彼らなりの楽しみがありました。
そんな農民たちの生活を色鮮やかに描いたのが、ルネサンス期の画家、ピーテル・ブリューゲルです。
彼らの生活を表情豊かに描き出す彼についた異名は「農民画家」。
上の画像は彼による「農民の婚宴」という作品(ウィーン・美術史美術館 所蔵)。
この絵はブリューゲルが生まれたベルギー北部にあるフランドルという地方の農村での結婚の祝宴を描いたものです。
出入り口には結婚を祝おうと多くの人が押し寄せ、テーブルについている人たちはそれぞれお話しをしながら食事を楽しんでいます。
こう見ると、なんだかちょっと親近感が湧いてきませんか?
日本からは遠く離れたヨーロッパ、それも400年以上も前に描かれた作品ですが、彼らも私たちと同じように生活を営み、時には同じ村に住む人の結婚式を楽しんだりして、それぞれの人生を生きていたのです。
ブリューゲルはそれをキャンバスの上に巧みに映し出し、現代では当時の農民の生活がどのようであったかを探る、重要な手掛かりにもなっています。
どうですか?「西洋美術」が少しだけ身近に感じられてきたでしょう?
2.ルノワールが描いた、美しく鮮やかなパリの情景
続いては、ブリューゲルが活躍したルネサンス期から少し時代を下って19世紀。
フランス印象派を代表する画家、ピエール=オーギュスト・ルノワールです。
印象派の作品は、輪郭をはっきりとさせないふんわりとした筆致が特徴的な作品が多く、ルノワールはそのようなタッチで描いている典型的な画家と言えるでしょう。
彼の作品は日本でも人気が高く、印象派を中心とした美術展には欠かせない存在です。
東京・上野の国立西洋美術館や箱根のポーラ美術館などには彼の作品が所蔵されており、国内でも見ることができるんですよ!
そんな彼が描いたのは、彼自身が生まれ、暮らしたフランスの街。
「花の都」とも呼ばれる美しいパリの景色を色彩豊かに映し出すその作品には、思わずため息が漏れてしまいます。
上の画像は彼の代表作とも言える「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」(フランス・オルセー美術館 所蔵)。
パリのモンマルトルという場所にあったダンスホール、「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」での舞踏会の様子を描いています。
一見するとここに描かれている人々はとても裕福そうに見えるかもしれませんが、彼らはれっきとした一般市民なんです。
このダンスホールには芸術家や労働者たちがよく集まり、ダンスに興じていたようです。
描かれている人々も、それぞれお相手を見つけて踊っていたり、談笑していたりと、とっても楽しそう。
貴族たちが行う舞踏会とは違い、堅苦しい雰囲気は無く、一番手前にいる女性がベンチの背もたれに腕をかけているのを見ると、かなりカジュアルな場だということがわかります。
きっと19世紀の人たちも、みんなで集まることのできる場所に行き、友達との時間を大切にしていたんですね。
(実際にこの絵に描かれているのもルノワールの友人たちなんですよ。)
ちなみにこのダンスホール、現在はレストランになっていて、フレンチをいただけるそうですよ!
3.Google Arts & Cultureを活用してみよう!
今回は、人々の生活を描いた美術作品をほんの少しだけご紹介しましたが、このような作品たちを高画質で簡単に、そして無料で観ることのできるサービスがあるんです。
それがGoogleが提供する、「Google Arts & Culture」。
Googleの検索画面の「Googleアプリ」というボタンをクリックすると、いくつかあるコンテンツの下のほうに、日本語版では「芸術、文化」というボタンが出てきます。
これがあらゆる芸術の世界への入口です。
このサービスの面白いところは、その検索方法。
アーティストの名前や作品名で検索することはもちろん、場所や美術館を指定して、そこにある作品を調べることもできます。
また、作品全体の色で検索することもできるので、「こんな雰囲気の作品が見たい」というイメージがある場合には、そちらの方法で検索してみるのも面白いですよ!
さらに、美術作品を使ったジグソーパズルや塗り絵、クロスワードなど、芸術作品に関するゲームで楽しく作品に触れることができます。
家にいる時間が多くなった昨今。
ぜひ今この記事を読んでいるデバイスから、西洋美術の世界に足を踏み入れてみましょう!
きっとお気に入りの一枚が見つかるはず。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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