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本気で走る理由が本気で分からなかった話 | まわりの大人とのこと #1

小学校に入って間もないころだったのかなあと思う。体育の授業で記憶に残ってることがある。

おそらく50m走だったのか、みんなそれぞれ何秒で走れるか測ります、と先生に言われた。で、ふーん、と思ってたのだが。

始まったらみんな、MAXの本気で走っていた。

わたしは、えっなんで?火事でもなんでもないのに???と、本気で不思議だった。

自分の番が来たとき、やぱり意味が分からないので、これくらいでいいだろう、と自分が思うペースで走った。そしたら、ちゃんと本気で走らないと!みたいなことを言われたんだと思う。言葉は覚えてないけど、何かを言われた。そして、先生に伴走されたのか手を引かれたのか、そんなような追い立てられるような形で、もう一度、走らされた。それでもやはり、なんでそんなことするのか分からなかった。

だって、ちゃんと説明してもらわないと分からないと思う。それまで、目的なく本気で走る機会なんてなかった。おにごっこをしていて、おににつかまりたくないから、とか、そういう理由があって本気で走った経験はあっても、走ること自体が目的で走ったことなんてない。

「普段から自分が一番速く走れる速さで走っていれば、火事などのときにより速く走れるようになります。だから体育のときは火事じゃないけど本気で走りましょう。」とか。「体育の時間は、自分の最大限の力で運動します。そうすることで、自分の最大限の体力がどんどん増えて、体が元気になります。だからみんな頑張って最大限の力で運動しましょう。」とか。

もしかしたら、「体力をつけるために頑張って走りましょう」ってくらいの話はあったかもしれない。でもそれじゃ、頑張って走ったらなんで体力がつくのか分からないと思う。

聞けばよかったのかも知れないが、頭の中は「?????」で飽和状態で、そして、聞く隙もないまま走らされ、質問することさえ考えられなかった。

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