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【EMBC2023に参加】Maintenance-Free Smart Hand Dynamometer

はじめに

こんにちは、杉浦裕太研究室M1の山本さりいです。7/24から7/27においてオーストラリアのInternational Convention Centre (ICC)で開催されたThe 45th Annual International Conference of the IEEE Engineering in Medicine and Biology Society (EMBC2023)でポスター発表を行いましたので参加報告をさせていただきます。Yahoo! JAPAN研究所の池松香さんと東京工科大学の加藤邦拓先生との共同研究です。

研究の概要

この研究はスマートフォンのタッチ座標取得による握力測定の研究です。以前INTERACTION2023にて発表した内容に加え、デバイスの改良と使用するばねの変更、傾き検出を行いました。握力の推定モデルの構築やデータの取得方法は以前の記事にまとめているのでそちらをご覧ください。

1. ばねの変更

成人男性の平均握力が50kg弱であることから、以前使用していたばねに加え、50kg程度まで測定可能なものに変更しました。握力推定モデルも新しく構築し、F[N] = n[px]×4.2265というモデル式を用いています。

2. デバイスの改良

以前の測定デバイスでは握りづらさやスマートフォンとの接触感度の問題などが挙げられたため、当日のデモに向けて持ち手部分の角をなくし、さらにスマートフォンケースと測定機器をネジで留められるように改良しました。これにより、より本来の握力をかけやすく、さらに測定時に測定デバイスとスマートフォンが離れることを防ぐようになりました。

測定の様子

3. 傾き検出

従来の握力計の課題として測定時に正しい姿勢の維持が困難であることが挙げられます。American Society of Hand Therapists (ASHT) が定めるジャマー式握力計の測定方法によると、測定時には手関節が背屈0~30°、尺屈0~15°以下になるようにしなくてはならないとあります。そこで本研究では新たにスマートフォンの加速度センサを用いてスマートフォンの傾きが30°以上になったときに画面の色が変わり、ユーザに正しい測定姿勢をとるよう提示する機能を追加しました。

4. 精度評価

精度を評価するために、市販のジャマー式握力計との比較、同システムを用いて2回測定したときの再現性の調査を行いました。それぞれMAPE(平均絶対誤差率)を求めたところ、市販のジャマー式握力計との比較は19.37%、再現性に関しては32.34%という結果になりました。

当日のフィードバック

現状での握力測定という用途に加えてゲームのコントローラとして使用できるのではないか、という意見や測定機器の形状に関する意見を頂きました。また、握力に関する研究を行っている方と評価指標や臨床現場での応用について議論を交わし、新たな考え方を学ぶことができました。

感想

初の国際学会でとても緊張していたのですが、海外の方と議論を交わすことで自身の研究内容を英語で紹介する体験ができ、研究発表の場における英語力の重要性を改めて実感しました。また、初日のレセプションパーティーではコアラが登場し、会場が大盛り上がりだったことがとても記憶に残っています。

レセプションパーティーにいたコアラ

発表スライド



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