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【インタラクション2023に参加】スマートフォンの座標変化による握力測定手法の提案

はじめに

こんにちは、杉浦研究室学部4年の山本さりいです。3月7日、8日、9日に一橋大学で行われた第27回 一般社団法人情報処理学会シンポジウムINTERACTION2023において、「スマートフォンの座標変化による握力測定手法の提案」というタイトルでデモ発表を行いましたので、参加報告させていただきます。

研究の概要

筋力の低下は将来的な転倒や骨折のリスクに影響を及ぼすことが知られており、握力は全身の中でも容易に測定可能な筋力部位として臨床現場でも頻繁に用いられています。握力の定期的な測定は重要である一方で、一般的な握力計は電池交換や充電などのメンテナンスが必要で家庭に普及しづらいという問題があります。

そこで本研究ではスマートフォンのタッチ座標を用いたメンテナンス不要な握力測定手法を提案しました。測定方法は日本ハンドセラピィ学会が推奨するジャマー式握力計の測定方法を採用しています。スマートフォンは静電容量方式を採用しており、同時に複数の接触位置を検出することが可能です。ばねによって伸縮するアルミ製の測定器具を作成し、ばねの両端部分とスマートフォン画面の接触点を計測し、接触点の座標の変化から握力の推定を行いました。

フォースゲージを用いて0~500Nまで一定に力をかけたときの座標の変化から線形回帰式を導出し、握力推定モデルを構築しました。さらにUnityを用いて推定モデルと座標の変化から握力をリアルタイムで推定するアプリケーションを開発しました。

被験者7名に握力を測定してもらい、既存のジャマー式握力計との比較を行ったところ、提案手法とジャマー式握力計の測定値のMAPEは32.34%、提案手法による再現性の調査では2回の測定結果のMAPEが19.37%となりました。

当日のフィードバック

デモ発表でしたので実際に握力を測定したうえで、フィードバックを頂きました。握力計としてより握りやすい形状にした方が良い、最大握力だけではなく、握力の持続時間を測定することでトレーニング用途での使用もできるのではないかといったコメントを頂きました。また、精度をどのように評価しているのかといった質問を頂きました。

感想

初めてのデモ発表で緊張していましたが、想像していたより多くの方に体験していただき、使用した感想を教えていただけたため大変貴重な機会となりました。また、非常に興味深い研究が多く、同年代の方の研究を見ることでより一層研究へのモチベーションが高まりました。

発表文献情報

山本 さりい, 池松 香, 加藤 邦拓 , 杉浦 裕太. スマートフォンの座標変化による握力測定手法の提案.第27回 一般社団法人情報処理学会シンポジウム インタラクション2023.  東京. 

発表スライド



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