初めての産休・育休・育児時短。柔軟性を極めたいスタートアップの制度づくりと運用。
はじめまして、株式会社エルボーズでバックオフィスチームの責任者をさせてもらってる椿原 ばっきー(写真左)と申します。
7歳と5歳になる二児の父親です。
このnoteは、弊社のアドベントカレンダー企画の3日目の記事です。
弊社は、企業の新規事業開発支援をメイン事業としているのですが、「"誰と、どこで、何をするか"を、もっと自由に。」をビジョンに掲げ、極めて柔軟な働き方ができる環境を目指しています。
その中で、今回は、柔軟性の高いと働き方組織を目指すスタートアップと「産休・育休・育児勤務」の話を、バックオフィスチームを代表して書いてみたいと思います。
制度づくりに関して影響をうけているもの
私が、制度づくり・文化づくりにおいて影響を受けてる2つの話を紹介します。
ゼクシィのコピー「結婚しなくても幸せになれるこの時代に、私は、あなたと結婚したいのです」
LayerXの「長時間より長期間」
私たちの組織はフリーランスの集まりが法人化して、フリーランス組織として拡大したような形です。なので、今でも、組織の多数がフリーランスとして関わってくれています。
みんな、別に組織の属さずとも生きていける人達なんですよね。
これ、ゼクシィの「結婚しなくても幸せになれるこの時代に、私は、あなたと結婚したいのです」に近くて、「組織に属さなくても幸せになれるこの時代に、私は、ここにいたい」みたいに思ってもらえる環境づくりが必要だなと。
人材の流動性も上がり、転職などのハードルも下がりました。だれと関わるか?どこに所属するか?の選択権は、働く個人側にかなり寄ったと思います。
弊社では、働く場所や時間、そして、社員になるか?フリーランスとして働くか?は個人の希望にできるだけ合わせているのですが、フリーランスとして仕事していると短期間の依頼ごとに関係性が途切れてしまうというこもありがちです。
ただ、チームとして良い仕事をしていくためには、一緒に高め合っていける環境をつくるためには、継続的に関わっていける文化づくり・仕組みづくりが必要不可欠で、「長時間より長期間」のnoteに関われているものから参考にできるものは多いなと考えています。
ライフステージの変化も吸収できる制度づくり
元々、フリーランスの集まりから法人化しているので、場所や時間に縛られない働き方になれている人が多く、創業当初からフルリモート・フルフレックスではあったのですが、組織のフェーズが進んだこともあり、制度をアップデートすることに。
社員として働くメンバーは、未就学児の子育て中な割合が多かったこともあり、フルフレックス勤務と育児時短勤務の制度を拡充。「エクストリームフレックス」という独自制度をつくりました。
設計思想としては、
・自由で柔軟、だけど安定。フリーランスと正社員の“良いとこどり”であること。
・いろいろな制度を増やすより、基本となる働き方を極めて柔軟すること。
・働き方に関する理想や課題は個々人で変わるので、状況に応じてそれぞれがカスタマイズできること。
を重視した感じです。
※ここから制度の内容を説明しますが、ちょっと長くなるので、読み飛ばしていただいてもOK👍
コアタイムのないフレックス制度
●特徴1:個人の裁量で“いつ働くか”を調整可能。
コアタイムのないフレックス制度と同様の働き方が可能で、月の総労働時間(約160時間)を個人の裁量で自由に働くことができます。
一般的な勤務体系では毎日8時間×20日の160時間勤務ですが、本制度では働く曜日、働く日数、働く時間帯などを、月〜土曜日の5〜22時の範囲で個人の裁量で自由に調整することが可能です。
月の総労働時間は変動しないため、給与はフルタイム勤務時と変わらず、個人の都合や希望に合わせた働き方が実現できます。もちろん複業もOK。
●特徴2:±20時間の範囲内で、“どれだけ働くか”もアレンジ自由
月間の総労働時間である約160時間に±20時間という勤務時間の幅を認めています。
例えば、集中して業務に取り組み圧縮した時間をプライベートの時間に充てたいケースや、育児や介護中でもキャリアを維持したいケースなど、勤務時間に調整の余地を持たせることで個々人の多様な働き方を後押しします。
そのため月140時間(1日平均7時間)に勤務時間を短縮した場合でも、給与はフルタイム勤務時と変わりません。
さらに、1日の中でもオン・オフを行き来しながら、個々人のライフスタイルに合わせて自由に働くことが可能です。
カスタマイズした育児短時間勤務制度
「育児・介護休業法」で定められている育児短時間勤務制度も、弊社なりにかなり拡充。
弊社で作った制度の概要をまとめると
・勤務時間を1日最短4時間(一般的には6時間)まで短縮可能。
・子どもが小学4年生になるまで(一般的には3歳未満)制度の利用が可能。
・1ヶ月単位で勤務時間の変動が可能。
という感じ。
本制度を利用すれば、1日4時間×週5日勤務や、1日8時間×週2-3日勤務といった、育児の都合に合わせた働き方を社員個人が自由にアレンジすることができます。
そのため、月間80時間勤務で正社員として活動することも可能になりました。小さなお子さんがいる社員については、夏休みなどの長期休みだけ勤務時間を短縮するといった利用ニーズも想定しています。
初めての産休育休取得、育児時短の利用
エクストリームフレックスの制度を利用して、お子さんが生まれたメンバーは3名なのですが、最初2人は共に男性メンバーだったのですが育休・育児時短勤務の利用はなく、3人目が女性メンバーで初めて産休・育休の取得、育児時短勤務の利用となりました。
※特に男性メンバーの育休取得については課題を感じてる部分もあるので、後述します。
ちなみに、私は複数部門の責任者を担当しているのですが、その女性メンバーは私の部下にあたります。
産休や育休、育児時短勤務に関して、制度はつくったものの運用フローみたいなものを固めることはしておらず、「1〜2人目は、私がベタづきで対応して、感覚掴むか〜」みたいな感覚でいたので、そういう意味ではフォローしやすい状況で助かりました。
産休・育休・業務内容にむけてどんなことをやったか?の話でいうと、自分の子供が生まれた時のことも思い出しながら「丁寧にコミュニケーション取り続ける!」でしかなかったので、考えたことや学びを2つ書いてみたいと思います。
●学び1:業務をマニュアル化する機会・改善する機会と捉える。
メンバーが一時的に減ることを機に
・チームの中での業務優先度を考え、やらないことを決める。
・少ない人数でも業務がまわるように、仕組み化や自動化を進める。
・それでも残る業務は引き継げるようにマニュアル化する。
という感じで捉えたがいいなと。
産休に入る前のメンバーは少し前の段階からルーティーン業務から外れ、↑のようなことに時間を使うと、そのメンバーがいない状態でも業務が回るか?引き継ぎの抜け漏れがないか?のテストにもなって良いなと感じました。
●学び2:数ヶ月で組織も仕事も大きく変わる。
育休中のメンバーは復帰後は元のポジションに戻る予定なのですが、元のポジションに戻るとしても業務フローや使っているツールが数ヶ月前から大きく変化していあす。(学び1から繋がる話でもありますね。
産休・育休などに入るメンバーとも、その可能性があることを前提としたコミュニケーションが必要だなと感じました。
ちなみに、今回取得しているメンバーは時短勤務を使って段階的に復帰していく予定なので、元の業務を思い出すというより、新しい業務を覚えていってもらうことから始まりそうです。
男性メンバーの育休取得も増やしたい
これは、もうそもそも経営としての思想の話だと思うのですが、私としては、「社会として、少子化は少しでも抑えれた方がいい。」「出産直後の女性がワンオペとかだいぶしんどい。パパもできるだけ育児に参加できた方がいい。」と考えています。
最終的には各家庭での判断ではありますが、上記のようなスタンスを前提として制度づくりを進めていきたい。
男性メンバーの育児時短勤務に関しては、エクストリームフレックスの働く時間の自由さによって吸収できている部分もあるので一定良いとして、男性メンバーの育休取得に関しては増やしていきたいと思うところ。
ただ、現状の育休制度では、育児休業給付金として受け取れる金額は休業前の給与の67%(手取り収入の8割程度)となっており、収入減少は育休取得へのハードルを上げますよね。
夫婦揃って育児休業給付金を収入とするとなると、世帯収入がかなり下がることになるので。
現在、政府では、この金額を休業前の給与の80%(手取り収入の10割程度)に引き上げることを掲げているため、実現すれば男女ともに育児休業を取りやすくなることが期待されますが、法律改正の時期は未定。
この部分が改正されれば良いですが、まだ時間がかかるとすれば、出産手当のような形で実質的に収入減少が起こらないようにする仕組みなども必要かなと考えています。
さいごに
私たちが実現したいビジョンに従い、柔軟な働き方・柔軟な組織を実現するために、徹底的に一人一人のカスタマイズ性を高めたエクストリームフレックスですが、その分、運用コスト?説明コスト?はめちゃくちゃ高いのは正直なところ。
カスタマイズ性を極端まで高めた分、現状、弊社の中で、全てを説明できて、それぞれの希望に合わせた使い方を提案できるのは私くらいかもしれません。ここは本当に要改善。
また、制度づくりに関しては、まだまだやりたいことはありますが、事業や組織のフェーズが進むにつれて拡充していけたらと思います。
ちなみに、今回ご紹介したエクストリームフレックスについては、厚生労働省の「多様な働き方の実現応援サイト」にいて、事例として紹介されていますので、よければこちらもご覧ください。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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