20191209_ItWokashiインタビュー

「お金がない世界で、人をつなぐのはやりがい」#Tentのウチガワ 01

 

マガジン「#Tentのウチガワ」では、プロジェクト仲間募集サービス「TEAMKIT」ユーザーにインタビューを敢行し、「プロジェクト=Tent」のウチガワで、どんな働く自由やドラマが生まれているのかを探ります。


第一弾は、三重で300年以上つづく和菓子屋の若社長×TEAMKIT。果たして、どんな化学反応が起きたのでしょうか。

20191209_ItWokashiインタビュー_紹介

■今回のインタビューにご協力いただいたみなさん
竹口久嗣さん
東京・自由が丘に店舗を構える和菓子屋「兆久」の代表取締役。三重の老舗和菓子店「長久」の社長であり、職人でもある。
 
井上豪希さん
ブランドプロデューサー。料理人、カメラマンなど多彩な顔ももつ。パートナーと「おもてなし夫婦ユニット TETOTETO」としても活動。
 
水野愛理さん
「兆久」に週末だけ現れる店員さん。地元でマルシェを開催したり、地域雑誌を作ったり、ディレクターをしたり、百貨店に営業をしたり…パワフルなパラレルワーカー。

■今回の聞き手
野里のどか
TEAMKITのPR。兆久の大福は6種類全部ひとりで食べた食いしん坊。特に「烏龍&杏仁」味がお気に入り。
 
■今回注目するTent
300年続く和菓子屋の挑戦!新ブランド「It Wokashi」のブランド作りを手伝ってくれる方、大募集!

クラウドファンディングと掛け算をして東京進出の一助に!

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ーまずは、Tentが立ち上がった経緯を教えてください!

竹口久嗣さん(以下、竹口):わたしは和菓子職人なので、製菓専門学校の講師もするんですよね。で、学校へ行くと…和菓子職人を志す人ってとても少ないんです。若い人に和菓子の魅力を知ってもらいたい、和菓子業界を変えたい…そんな思いから誕生したのが、新会社「兆久」です。
 
井上豪希さん(以下、井上):わたしがプロジェクトマネージャーとして、Tentやクラウドファンディングの指揮をとっていたのですが、もともとは前職の会社員時代に出会ったのが始まりでした。
 
竹口さん:一度目は、井上さんの会社でお会いして。二度目、食事に行ったときに、井上さんがわたしが抱えていた課題などを全部言語化して用意してきて、「兆久のコンセプトってつまりこういうことですよね」とプレゼンしてきたんです。
 
井上:そして、一緒に兆久をやっていくことになりました。最初はECサイトでの販売だけの予定でしたが、東京で店舗を構えることも決まり、その仲間集めをTEAMKITで、改修のための資金集めをクラウドファンディングで行いました。

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ー水野さんはTEAMKIT経由で、仲間に加わったんですよね?
 
水野愛理さん(以下、水野):はい。歩いていたら、いまの兆久がある建物に、TEAMKITのチラシが貼ってあったんです。
 
ーえ?チラシ?
 
水野:それで面白そうだなと思って、TEAMKITに登録をして、コンタクトをとりました。
 
井上:僕のアイディアで、改装中のときからずっと店内の明かりをつけっぱなしにしていたんです。そうすると、「このお店はなにをやっているんだ?」と通行人が気にしてくれる。そこにチラシを貼っておけば、オープン前から「ここで和菓子屋を始めますよ」という挨拶になるわけです。その結果、水野さんという素敵な仲間にも巡り合えました。

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ークラウドファンディングを同時に行うというのははじめから決めていたのでしょうか?
 
井上:実店舗のオープンが決まって、費用面での課題をクリアするために、クラファンもすることになりました。相互でリンクを貼ることで、互いのPRとして機能しており、TEAMKITでクラファンを知った人が、和菓子目当てで支援してくださることも。
 
仲間が欲しかった、というのはもちろんですが、PRとしてTEAMKITを利用しました。

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ーTEAMKITには地方のプロジェクトも多く掲載されているので、関心を寄せてくれる人は多そうですね。実際につながった方たちとはどんな関係になったのですか?
 
竹口:Messengerのグループで「兆久pro」というグループを作成し、そこに参加してもらっています。
 
料理人でもある井上さんには、新商品の開発時に、商品そのものにもアドバイスをもらうのですが、それをみなさんに見てもらって。そして、ただ見学ではなく、意見はどんどん言ってもらっていますね。
 
井上:老舗和菓子店の職人に意見を…となると、引いてしまう人もいるかと思いますが、僕が積極的にダメ出しをしていくことで、全体が発言しやすい空気を作っています。
 
竹口:毎度、高い要求をされて、こちらは悲鳴を上げていますが(笑)ただ、わたしはずっと和菓子業界にいて、固定観念ができあがっていますので、全く違う業界の、顔も合わせたことがない人からもらえる意見を取り入れることで、自分が思いもよらなかった和菓子が生まれるんです。面白いですよ。

プロジェクトシェア、クラファン…地方企業の戸惑いと対策

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ー兆久は、様々な新しいプラットフォームを活用して店舗オープンにつながったかと思いますが、地方企業でこのような革新的な動きはあまり前例がないのでは?
 
竹口:そうですね、最初はTEAMKITの仕組みを聞いてもよくわからなくて…(笑)クラファンも、目標金額を大幅に超えて約79万円ものご支援をいただいたのですが、「そんなにお金を集められるってどういうことなんだ?」と(笑)
 
いまでは、大本の「長久」がある三重でも、「なんだかあそこの若いのは、また面白いことやっているみたいだぞ」と、周りから注目してもらっていて、有難いですね。
 
この先、地元で若者が「挑戦してみたい!」と言い出したときに、自分がもつ経験を伝えられると嬉しいなと考えています。
 
ー地方のプレーヤーと仕事をするとき、ギャップなどに苦労することが予想されるのですが、どのように対応していますか?

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井上:とにかく説明は丁寧にしていると思いますね。材料は全部揃えて、やるべき理由を伝えます。とにかく誠実であることはなにより大事です。必要であれば、経費の明細だって開示しますよ。
 
地方の方にとって、お金は、大きなハードルになります。お金がないから、いままでできなかった、というのが多いんです。また、ディレクションなどのモノが残らない仕事の価値を理解してもらうことも難しい。なので、相場なども合わせて説明します。プロジェクトに加わるメンバーの普段の仕事での報酬も伝えます。きちんと、この人に仕事を依頼する価値がある、と分かったうえで同じ方向を向きたいですから。
 
竹口:井上さんのこと尊敬しているのですが、なかでも「すごい」と感心したのは、包材を決めるときでした。兆久で扱っている大福は、包材のデザインが素晴らしく、その点でも評価されています。

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ただ、包材というのは、古い和菓子屋では、コストをなるべくかけない部分なんです。いまの包材を提案されたとき、正直、「もっと安くできないか」と相談していました。そしたら、井上さんが「じゃあ、うちで包材の経費は出します。だから、これでいきましょう。絶対にこっちが売れますから」って。
 
井上:やらない選択肢を消して、「やるか、やるか」の二択にしたんです。いや、一択か(笑)そうすることで、こちらの覚悟も示せたと思います。
 
これは、仕事を好きという気持ちで選んでいるからこそできることですね。設計図をえがききったうえで、最悪自分で全部やる、という気持ちがあるから、責任をもって仕事に取り組めています。
 
竹口:井上さんの覚悟を目の前にして、こちらも腹を括ったわけです。結果、パッケージのデザインがウケて、この選択は成功しました。

巻き込まれる価値はお金以上のものがある

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ー水野さんは、店舗の手伝いを無償で行っているそうですが、なんのリターンを感じているんでしょうか?
 
水野:わたしはとにかく経験に価値を感じています。いまはまだ、自分が将来これをする、というのが明確には見えていませんが、いつかこの経験が役立つと信じています。
 
また、好きなものを世に広めたい、という気持ちが人一倍あるので、熱心に取り組めているんだろうな、と。兆久の大福、めちゃくちゃ美味しいんですよ!
 
実は、本業の会社員として、兆久がある九品仏駅周辺の地域情報誌も作成しているんです。店頭に立って、お客さんとコミュニケーションをとることが、雑誌づくりに活きています。
 
ープロジェクトワーカーは各プロジェクトで得た知見を様々な形で活かせるのが魅力ですね
 
水野:人脈も、できることも増えていく。こういう価値交換ができる関係性をとても心地よく感じています。
 
井上:よくいわれる「チームビルディング」まで届かない、ゆるいつながりをもてるのが、TEAMKITの利点のひとつだと感じています。仕事を探していて、だけではなく、関わり方を探っているんです、という人が即戦力につながることは多いと感じています。

共感して仕事をする時代へ

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ーほかに、TEAMKITを利用して感じたメリットはありますか?
 
竹口:地元・三重の製菓専門学校に通う学生さんが、TEAMKITに掲載したわたしの和菓子業界への想いを読んで、「共感しました」と連絡をくださったの、めちゃくちゃ嬉しかったな…。
 
きちんと、プロジェクトを立ち上げた人間の熱量を伝える場になっているのがTEAMKITの素晴らしい点だと思います。
 
その学生さんは、仲間として参加してもらったわけではないのですが、自分がもともと届けたいと思っていた若い人そのものだったので、深く感激しました。

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井上:そういう気持ちの部分って、働くうえで絶対に無視したくないところですよね。お金って、絶対的な価値があるじゃないですが。お金のためなら、人はやりたくないことでもできてしまう。
 
ただ、お金がないとき、なにが人を集め動かすかって、「やりたい」という気持ちしかないんですよ。だから僕は予算が少ないプロジェクトのほうが、やりやすいなと思います。そうなると、本当にやりたい人しか集まらないので、全員が熱量が高い状態で仕事ができる。
 
もちろん、いいものを世に出し、お金が発生したら分配します。そうやって、共感しあえる人たちと、わくわくしながら仕事を続けていきたいですね!
 
ー今後も、巻き込み、巻き込まれながらすすんでいく兆久の挑戦を応援しています!本日はありがとうございました。

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「兆久」の #Tentのウチガワ
・クラウドファンディングと掛け合わせて効果を倍増!
・オフラインでも宣伝し、Tentページでしっかり想いを伝える
・広く募集することで、それぞれに合った関わり方を一緒に探り、その人の良さを100%引き出す

取材・執筆・編集:野里のどか(@robotenglish
撮影:北村渉(@wataru51
アイキャッチデザイン:ラカニメタあきら(@AKIRa_akitooon
 

 


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