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#言葉

頼りなく外へ出る|まちは言葉でできている|西本千尋

唐芋通信  記憶が確かであれば、子どもが2歳になるかならないかの頃、近所に住んでいた友人が、「奥田直美さんという方がね、編集していてね」と言って『ちいさい・おおきい・よわい・つよい』(『ち・お』)という育児書を見せてくれた[*1]。 「直美さんは、京都の西陣でね、ご夫妻でカライモブックスっていう古本屋をやってらして。直美さんが石牟礼文学に親しいことからね、カライモなんだって。カライモは、ほら、熊本とか、南九州の方言でサツマイモのこと!」「西陣で、カライモブックス、そうな

「東京大改造」は持続可能な開発か?|まちは言葉でできている|西本千尋

 「クレーン車だね、いま、クレーン車あったよね、大きいねえ、いっぱいあるねえ。ビルもあったよねえ」3歳になったばかりの子が目を大きくして画面を見つめている。めずらしくわたしたちは、19時半に偶然、テレビの前にいた。NHKクローズアップ現代。特集は東京大改造[*1]。「ママ、まちづくりのテレビをやるの?」「うん、そうみたいだね」6歳はわたしの緊張を嗅ぎ取ったのか、静かに画面を見つめていた。 「東京大改造~大規模開発の舞台裏~」  渋谷、「100年に1度の大規模再開発」――。

不安はどこにある?

空を見上げてその青さに吸い込まれそうになる感覚を 幸せだと思えたからまだわたしは大丈夫だと、確かめた。 不安なとき、ネガティブな情報を集めてしまうのはなぜだろう。 不安なときにすることは、不安を具体的にしてあげて、分かりやすい対処法を用意してあげること。 それなのに、なんとなく自分の不安が本当なのかをたしかめようとして、さらに不安に襲われてしまった。不安なんて目に見えないし、幻かもしれないのに。 わたしには、それらがたしかに存在するものに思えた。 不安。きっとこいつとは

下手でも苦手でも歌っていたい。

一人カラオケが楽しすぎて、もう毎日通いたいくらいには好きです。 毎週金曜日の仕事帰りに駆け込むカラオケボックスのオーナーさんに、 ついに常連さんとして認められてしまいました。 小学1年生のときに劇団四季のライオンキングを見てからというもの歌やダンスや表現に夢中で。 けれども何せ私は歌が決してうまいとは言えず、合唱部に入っていたときも大会メンバーに入れなかったりして、悲しい思いをしました。 それでも歌うことが、表現することが好きすぎる。どうしよう。 だからせめて歌い続け

自分は特別ではないと受け入れること。

自分には何かすごいことができるんじゃないかっていう幻想に取り憑かれて、自分は他の人とは違った特別な存在かもしれないという偏った自己愛があって、そのくせ目標は明確になっていなくて、具体的な行動にも落とし込んでいない。自分で考えて行動し、失敗を繰り返して少しずつ進む地道な努力もせずに簡単で楽な近道を探している。 気づけばそんな自分になっていた。 周りの意見をかき集めそれらしい「正解」を探し当て、それに従うだけの日々。努力もせずに結果だけを欲している。 一番なりたくなかった姿に気