見出し画像

スッコーンと抜けるように明るくなりたいとき。

世界が想像を超えるほど大変な状況になったとき、私たちの多くは「映画か」「小説みたい」とツッコミながら、「信じられない景色」を見せてくれた作品を思い出す。

ある人はApocalypse系(アパーカリプス、世界が終わる系)やパンデミック系ストーリーが読みたくなり、ある人(私)は世界が終わるなど1秒たりとも考えたくないため柄にもない、底抜けに明るい小説を読む。(普段は底抜けに明るい人間ではないので、平和な時に読むと息切れ気味になる、なります!)

でも本当に、ただ、今、元気が、ほしいんです!というとき。

柚木麻子さんの『アッコちゃん』シリーズ以外に思いつきません。キュートな表紙に騙されるな!中身はもっとキュートです!

まずは大ヒット作『ランチのアッコちゃん』から。

ちょっと怖めの上司「アッコさん」と一週間、ランチを半強制的に取り替えっこさせられるOL美智子。

「今日のランチはこの店」「明日のランチはあのスムージーのお店まで走る!」などと短いお昼休みを使って街中行かされるのだが、その過程でユニークな人と出会い、周りを見る視点が変わり、縮こまっていた考え方が解放されていく。彼氏にフラれて食欲を無くしていたはずなのに...

わぁ、たのし〜!などと誰もが油断して読むわけです。すると突然どかーんと社会的メッセージボムが落ちてきて、その感動の瞬間が病みつきに。

いやぁ、衝撃でした。伝わるメッセージとはこうして作り上げていくのか...。

画像1


そして、今週読んだ『3時のアッコちゃん』。

あのアッコさんがまた登場してくれて、会社で発言ができず悩む美智子に「発想を変えなさい!」「世の中、見方によって変わるのよ!」「ほらぼーっとしてないで!」とまた教えてくれます。

しかも今回は3時のティータイムに会社の会議に乗り込んできて、紅茶を使って(!)教えてくれる。なんだそれ、なんです。

強引で、勢いで周りを圧倒し、でも圧倒的な愛情を持つ女性、アッコ。彼女はめちゃくちゃ変なのですが(褒めてます)できる経営者でもあるので、意外なところから的を得たビジネス・ヒントが飛んでくる。

なんでそんなところから?と秘密兵器を持ちすぎている柚木麻子さんに、ただただ脱帽なのです。

ライトなタッチで扱うテーマの重さと言ったら。  

やっぱり「伝えかた」の勉強になる。難しいことを難しい顔して難しい言葉で相手にぶつけるのではなく、紅茶やお菓子を使って、経験だけを語り、人生レッスンをさりげなく提供する。

今、気持ちが落ち込んでいる人がいましたら、どうか1日でも早くアッコさんと出会ってみてください。

気持ちがスッコーンと抜けるように軽くなります。(世の中がそんなムードでなくても!)

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?