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2018年12月の記事一覧
夢の引越し便 #1-①
真っ青な空の中に
形を変えずにたたずむ
白い小さな雲
肌を刺す冷たい空気を
ゆっくりと押しのけてくれる
秋の太陽
流れる車 釣り人の会話
橋を渡る電車
世界がクズであるように
僕もまた無能の人間である
僕は僕を偽り
僕は僕を失い
そして涙を流す
雲は消えていた
【これは私が大学四年の時に、授業を休み、多摩川の土手に腰掛け書いた文だ。
ゆっくりと秋の匂いがしてきていて、草むらから虫の声が聞こえてい
夢の引越し便 #1-②
雲が消えている。
ずっと雲を眺めていたつもりだったのに、いつ空に溶け込んでいったのか分からない。
僕は何か別のことを考えていたのだろうか。僕は大きく息を吸い込み、大学へ行こうと腰を上げようとした。
「ねえ、少しいいかしら?」
それは今までに聞いたこともない声色で僕の耳を、もしくは僕の脳を刺激した。
洋画の日本語吹き替え版を観ていて感じる俳優の口の動きと、聞こえてくる日本語との違和感のようなものに似