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夢の引越し便

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大学時代に作った作文をリライトしました。
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2018年12月の記事一覧

夢の引越し便 #0

夢の引越し便 #0

一つとても気になる問題がある。
それは、「忘却」である。
世に出回る記憶喪失ドラマのように、何もかもを忘れ、特異な人物として扱われるならいざしも、私はなんとか正常な人間として機能し、社会から何かしらの結果を期待されて生活を送っている。だが、全ての記憶を失った人間より私の方がよほど始末が悪い。なぜなら、私の忘却が多くの裏切りや責任逃れや別れや破滅を呼び起こすのだから…。

この物語は、一つの私の美化

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夢の引越し便 #1-①

夢の引越し便 #1-①

真っ青な空の中に
形を変えずにたたずむ
白い小さな雲
肌を刺す冷たい空気を
ゆっくりと押しのけてくれる
秋の太陽
流れる車 釣り人の会話
橋を渡る電車
世界がクズであるように
僕もまた無能の人間である
僕は僕を偽り
僕は僕を失い
そして涙を流す
雲は消えていた

【これは私が大学四年の時に、授業を休み、多摩川の土手に腰掛け書いた文だ。
ゆっくりと秋の匂いがしてきていて、草むらから虫の声が聞こえてい

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夢の引越し便 #1-②

夢の引越し便 #1-②

雲が消えている。
ずっと雲を眺めていたつもりだったのに、いつ空に溶け込んでいったのか分からない。
僕は何か別のことを考えていたのだろうか。僕は大きく息を吸い込み、大学へ行こうと腰を上げようとした。
「ねえ、少しいいかしら?」
それは今までに聞いたこともない声色で僕の耳を、もしくは僕の脳を刺激した。
洋画の日本語吹き替え版を観ていて感じる俳優の口の動きと、聞こえてくる日本語との違和感のようなものに似

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