Lawyer_Four

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弁護士です。主に、2020年4月1日施行予定の債権法改正について、ノートを作成しています。お気付きの点があれば、いつでもお気軽にご連絡くださいm(_ _)m

マガジン

  • Before/After 民法改正

  • 一問一答 民法(債権関係)改正

  • 民法(債権関係)改正法の概要

  • 法律雑誌(債権法改正)

  • practical 金融法務 債権法改正

最近の記事

保証人保護規定の整理

債権法改正により追加された保証人保護規定がややこしかったので、以下のとおり、簡単に表にまとめてみました。【★】は当該義務や規律に違反した場合の法的効果です。また、可能な限り簡潔な内容にとどめるべく、以下の表では、別の保証人が主債務者に対して取得する求償権を保証する場合の規律(465条の5及び465条の8)を割愛しています。 念のための確認ですが、上記A・Bやa・b・cは相互に矛盾しません。つまり、AB(=「主債務者の委託を受けた個人の保証人」)やAaib(=「事業のための貸

    • 譲渡制限特約違反の債権譲渡による契約解除(3)

      本論点に関し、2018年3月30日、金融法務研究会より、「民法(債権関係)改正に伴う金融実務における法的課題」(以下「本件報告書」という。)が公表された。 https://www.zenginkyo.or.jp/news/detail/nid/9415/ https://www.zenginkyo.or.jp/fileadmin/res/news/news300360.pdf 本件報告書では、第2章「民法(債権関係)改正と債権譲渡—譲渡制限の意思表示に関する民法改正が金融

      • 譲渡制限特約違反の債権譲渡による契約解除(2)

        本論点につき、2018年3月に刊行された筒井=村松『一問一答 民法(債権関係)改正』の該当頁(164頁以下)を読んだが、残念ながら、合理的な説明は提示されなかった。現状、「譲渡制限特約の趣旨に反するものではない」「権利濫用等に当たり得る」との法務省の独自説は、私の知る限り、弁護士の支持を全く得られていない。 法務省は、「債務者が譲渡制限特約を付する場合の一般的な目的、すなわち、弁済の相手方を固定する目的」といった、個々の事案を離れた一般的・抽象的な整理にのみ依拠して、およそ

        • 債権法改正―法定利率と市場金利の逆転・マイナス法定利率

          ◆ SUMMARY ◆ 改正民法における変動法定利率の下では、理論上、法定利率と市場金利(市中金利)の逆転が起こり得るし、また、法定利率がマイナスになり得る。 ◆ 検 討 ◆ジュリスト2018年1月号(No. 1514)(以下「本ジュリスト」といいます。)掲載の「連載/債権法改正と実務上の課題」第1回「法定利率」(本ジュリスト60頁以下)に気になった記述があったので、ざっくり検討してみました。 1. 気になった記述—法定利率と市場金利の逆転・マイナス法定利率本ジュリスト

        保証人保護規定の整理

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        • Before/After 民法改正
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        記事

          (改正債権法における)表明保証と動機の錯誤との関係

          検討の前提として、「表明保証」の一般的な理解につき、井上聡(2013)「金融取引における表明保証」金融法務事情1975号45頁を引用することで、これを確認しておきたい。 表明保証とは、一般に、契約当事者の一方が、他方の当事者に対し、自らの能力・状況や契約の目的物などに関連する一定の事項が一定時点において真実かつ正確であることを表明し、その表明した内容を保証するものと考えられている。 また、「動機の錯誤」のポイントを再確認すべく、山本敬三(2014)「『動機の錯誤』に関する

          (改正債権法における)表明保証と動機の錯誤との関係

          司法試験・民法択一の解き方

          ※ 本記事は、旧司しか受験したことのない筆者が、今の司法試験を全体的に検討することもなく、ほんの軽い気持ちで、旧司のテクニックを使って今の民法択一にトライしてみた、というものです。そのため、的外れなところもあるかもしれません。あらかじめご容赦ください f(^_^; 受験時代(旧司)の解き方が今でも有効か気になったので、試しに、平成29年の司法試験のうち、民法択一を2問だけ解いてみることにしました(うち1問は同年の予備試験でも出題されていました。)。 実務でよく取り扱っていて

          司法試験・民法択一の解き方

          『Before/After 民法改正』206番

          賃借人の用法違反に基づく賃貸人の損害賠償請求権について、以下の解説がなされている(413頁)。 「用法違反から5年(主観的起算点)または10年(客観的起算点。以上、新166条)が経過するまで、賃貸人において賃借人の用法違反があることを認識できないことも多い」 しかし、本問における時効の主観的起算点は「賃貸人において賃借人の用法違反があることを認識したとき」なので、上記は不正確であり、以下のように修正すべき。 「用法違反から10年(客観的起算点。新166条1項

          『Before/After 民法改正』206番

          『Before/After 民法改正』205番

          解説は敷引特約を説明するが(411頁)、同特約はCaseで合意されていないので、これは不要。 なお、敷引特約とは、たとえば、最判平成23年7月12日における田原睦夫裁判官の補足意見では、以下のように説明されている。 敷金あるいは保証金名下で賃貸借契約締結時に賃貸人に差し入れられた金員のうち,明渡し時に一定額(あるいは一定割合)を差し引く旨のいわゆる敷引特約(以下,単に「敷引特約」という。なお,この差引き部分は,上記の本来の敷金としての性質を有するものではないから,「敷

          『Before/After 民法改正』205番

          『Before/After 民法改正』204番

          409頁の「占有権限」は「占有権原」の誤りかな。

          『Before/After 民法改正』204番

          『Before/After 民法改正』142番

          再びCaseの時系列に関する疑問。 Case小問(3)の時系列は添付のように読める*。 * Caseは、「合意により取り決めた後、AがBに供給した部品に不具合が判明し」たとの記載にとどまるため、「部品供給→債務引受合意→不具合判明」という時系列だったと考えられないわけでもないですが、ここでは添付の時系列だったと仮定して検討を進めます。 仮にそうだとすると、Caseでは、債務引受の効力発生後に抗弁が生じている。 にもかかわらず、Afterの解説では、しれっと、「Cは、債

          『Before/After 民法改正』142番

          『practical 金融法務 債権法改正』151・175頁

          誤植が多いよーな…。 例えば、151頁の図3の右側の「譲渡人のみが」は「譲受人のみが」だし、同頁1行目の「譲受人Cは…譲渡人Aに対して履行の催告」は「譲受人Cは、債務者Bに対し、…譲渡人Aへの履行を催告」と書かないと不正確だと思う。 あとは、例えば、175頁の「貸付金債権を自働債権・回収金引渡請求権(預金払戻請求権)を受働債権とする相殺」は「貸付金債権又は回収金引渡請求権を自働債権・預金払戻請求権を受働債権とする相殺」なのでは。

          『practical 金融法務 債権法改正』151・175頁

          『practical 金融法務 債権法改正』251頁

          図が分かりづらい。 「被保証債権の債権者」と「債務者兼預金者」の間にある矢印は逆向きにすべき(他の矢印が「債権者→債務者」となっているため)。 また、「銀行」が、保証人であり、「③-1 保証履行」をした者であることを明確にすべき。

          『practical 金融法務 債権法改正』251頁

          『Before/After 民法改正』131番

          Caseがおかしい。 新466条の3は、譲受人が債務者に供託を請求した場合に、債務者が供託義務を負う旨を規定したもの。 そのため、「Bは(中略)供託をしなければならない」(263頁)と言うためには、Caseの中で、譲受人Cが債務者Bに供託を請求した旨が示されていないといけない。

          『Before/After 民法改正』131番

          『Before/After 民法改正』128番

          この本は、新466条4項の催告をするためには債務者が履行遅滞に陥っていることが必要で(同項の「債務を履行しない」をそう解する)、債務者を履行遅滞に陥らせるためには譲渡人の行為が必要、との立場なんだね(257頁)。 でも、この解釈を採るためには、「譲渡当事者間の合意によって、悪意の譲受人が譲渡人に対して取立権限を付与することは妨げられないとの説明がされているが(中略)疑問である」(『民法(債権関係)改正法の概要』150頁)との疑問に答えないといけない。 仮に『Before/

          『Before/After 民法改正』128番

          表明保証条項違反を理由とする損害賠償請求訴訟

          「表明保証条項違反を理由とする損害賠償請求訴訟」(論究ジュリスト(2017年夏号)156頁)、非常に興味深かった。 個人的には朝倉裁判官の考え方に共感したけど、とても難しいテーマだよね。道垣内教授が判決を持ってロンドンの金融機関や法律事務所に調査に行った件は流石。大変勉強になりました。 座談会で議論されていたプロ・サンドバッギング条項については、以前から、日本の契約でも取り入れていくべきだと思っているんだけど、今のところ、全然流行ってないね。

          表明保証条項違反を理由とする損害賠償請求訴訟

          『Before/After 民法改正』139番

          Afterの解説又はCaseは要修正か。 同解説では、将来債権譲渡の譲受人Aが、B・C間で譲渡制限特約が締結される前に、債務者対抗要件を具備しているにもかかわらず、特約について悪意・重過失であることを当然の前提とした説明がなされている。 仮に、添付【修正案】の時系列にすると、譲受人Aの悪意が擬制されるから、Afterの解説で大体良いかな。

          『Before/After 民法改正』139番