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Before/After 民法改正

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『Before/After 民法改正』206番

賃借人の用法違反に基づく賃貸人の損害賠償請求権について、以下の解説がなされている(413頁)。

「用法違反から5年(主観的起算点)または10年(客観的起算点。以上、新166条)が経過するまで、賃貸人において賃借人の用法違反があることを認識できないことも多い」

しかし、本問における時効の主観的起算点は「賃貸人において賃借人の用法違反があることを認識したとき」なので、上記は不正確であり、以

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『Before/After 民法改正』205番

解説は敷引特約を説明するが(411頁)、同特約はCaseで合意されていないので、これは不要。

なお、敷引特約とは、たとえば、最判平成23年7月12日における田原睦夫裁判官の補足意見では、以下のように説明されている。

敷金あるいは保証金名下で賃貸借契約締結時に賃貸人に差し入れられた金員のうち,明渡し時に一定額(あるいは一定割合)を差し引く旨のいわゆる敷引特約(以下,単に「敷引特約」という。な

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『Before/After 民法改正』142番

再びCaseの時系列に関する疑問。

Case小問(3)の時系列は添付のように読める*。

* Caseは、「合意により取り決めた後、AがBに供給した部品に不具合が判明し」たとの記載にとどまるため、「部品供給→債務引受合意→不具合判明」という時系列だったと考えられないわけでもないですが、ここでは添付の時系列だったと仮定して検討を進めます。

仮にそうだとすると、Caseでは、債務引受の効力発生後に

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『Before/After 民法改正』131番

Caseがおかしい。

新466条の3は、譲受人が債務者に供託を請求した場合に、債務者が供託義務を負う旨を規定したもの。

そのため、「Bは(中略)供託をしなければならない」(263頁)と言うためには、Caseの中で、譲受人Cが債務者Bに供託を請求した旨が示されていないといけない。

『Before/After 民法改正』128番

この本は、新466条4項の催告をするためには債務者が履行遅滞に陥っていることが必要で(同項の「債務を履行しない」をそう解する)、債務者を履行遅滞に陥らせるためには譲渡人の行為が必要、との立場なんだね(257頁)。

でも、この解釈を採るためには、「譲渡当事者間の合意によって、悪意の譲受人が譲渡人に対して取立権限を付与することは妨げられないとの説明がされているが(中略)疑問である」(『民法(債権関係

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『Before/After 民法改正』139番

Afterの解説又はCaseは要修正か。

同解説では、将来債権譲渡の譲受人Aが、B・C間で譲渡制限特約が締結される前に、債務者対抗要件を具備しているにもかかわらず、特約について悪意・重過失であることを当然の前提とした説明がなされている。

仮に、添付【修正案】の時系列にすると、譲受人Aの悪意が擬制されるから、Afterの解説で大体良いかな。

『Before/After 民法改正』138番

本問のCaseは、添付【A】と【B】のうち、どちらの時系列を想定しているのかな。

まず、問題の素直な解釈、及びAfterの解説(小問(1)のαγの相殺について新469条2項1号を適用)からすると、【A】ということになる。

しかし、Beforeの解説(上記相殺についてαγの対立が債務者対抗要件具備前に生じたとの説明)からすると、【B】のようになってしまう。

おそらく、この問題では【A】が想定さ

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