『Before/After 民法改正』206番

賃借人の用法違反に基づく賃貸人の損害賠償請求権について、以下の解説がなされている(413頁)。

「用法違反から5年(主観的起算点)または10年(客観的起算点。以上、新166条)が経過するまで、賃貸人において賃借人の用法違反があることを認識できないことも多い」

しかし、本問における時効の主観的起算点は「賃貸人において賃借人の用法違反があることを認識したとき」なので、上記は不正確であり、以下のように修正すべき。

「用法違反から10年(客観的起算点。新166条1項2号)が経過するまで、賃貸人において賃借人の用法違反があることを認識できないことも多い」

なお、本問は、甲倉庫を賃借したBが「荷物の搬入中の不注意で壁に穴を空けてしまった」という事案である。この場合も「契約の本旨に反する使用または収益(用法違反)」(412頁)となるのだろうか。端的に賃借物の保管義務(善管注意義務)違反と整理すべきではないか。

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