見出し画像

熱し易く冷め易い、、、

わかっちゃいるけどもうこれで60年生きてきたんだから今更どうこうできるわけでもない、、、

20年ほど前の話。

音楽学校で働いているし、今更ピアノでもないからと考え、なぜかオーボエを始めた。同僚の先生に折り入って頼み、週一回先生の自宅にお邪魔して教わった。2年間続いた。3年目に入る頃から本業の方が忙しく、なおざりになってしまった。先生には失礼してそのままになった。その後吹いてみようと思うことはあったが、この楽器、一筋縄ではいかない。天然葦でできたダブルリードをナイフで削って整形する。この部分は先生でないとできない。見よう見まねでやっても事態を悪化させるばかり。その結果、楽器そのものに問題がなくても弾くことができなくなってしまい、今では箱の中で眠っている。

ちなみに日本にいた頃は、大学に入りたての時にエピネット(小型チェンバロ)を買って一度は仲間とバロックアンサンブルのようなこともやった。安物のバイオリンを買ってギーギーやってもみた。兄が持っていたトランペットとフルートも試した。フルートはフランスにも持ってきて、部屋でピーピー鳴らしていた。小さなものではオカリナもあった。そういえばウクレレもあったはずだがどこへいってしまったんだろう?

15年ほど前に中古でキャノンの一眼レフカメラを買った。レンズも単焦点からズームと色々揃えた。しばらくは周辺のものをとったりしていたが対象となるものも減ってきて、自然消滅的に撮らなくなってしまった。

               ***

時たま思い出したように野うさぎとか撮ってみる。流石にスマホとは写りが違うので「ほぉー!」となる。興味がなくなってしまったわけではない。やってみると面白いと思うのだが、ただどこか億劫に思えて重い腰が上がらない。たまーに手に取るくらいでは色々忘れてしまう。悪循環。それでも機材は今だに全部残っている。

その後どういう風の吹き回しか天体望遠鏡をこれも中古で買った。ちゃんとした赤道儀に載った反射式鏡筒で、眼視目的の望遠鏡だった。色々検索するうちに天体撮影なるものが存在することを知り、屈折式写真鏡を手始めに機材を揃え始めたらとんでもないことになってきた。

天体撮影の経験がある方はすぐにわかることと思う。上手く撮れるのが最低条件でも、それを満たすのにかなりの投資がいる。ネットで素晴らしい写真を見て自分でもできそうに思う。まず機材で引っかかり、天候で引っかかり、体力で引っかかる。上手くいったつもりでも、セッティングの問題、コンピューターの設定ミスなんかで、星が流れていたり、全く映っていないこともある。当たり前だが夜中の作業なので、失敗した時の挫折感は半端ない。一筋縄ではいかない。下写真がうまくできたらその後に画像処理が待っている。それでもできた「作品?」をいくつか揚げると

M31 アンドロメダ銀河
M42 オリオン大星雲
M51 子持ち銀河

タイトル写真はM45 プレアデス星団(スバル)。

これらは上手くいったもの。失敗作が累々と積まれていることを忘れてはいけない。

天体撮影の熱は4-5年続いた。その気になればまた始めることもできる。体力と気力さえあれば。

天体望遠鏡に手をつけなくなって10年。今更設置から設定、そのあと一晩中続く撮影に体がついていけるか自信がない。その上元々の近眼に老眼まで進んでくると接眼レンズに目を当てることすら億劫になる。

全部を自動化すればいい(そこまでしている人たちもいる!)。地盤を固め、柱を固定し、赤道儀を常設し、それを小屋で囲み、屋根をスライド式にして、、、までやると家を建てるのと変わりない。それにそこまでして本当に自分で苦労して撮った満足感があるのか疑わしい。

機材はそのまま残っている。天体撮影を復活させるかはわからないが、定年したらもう一度木星とか火星を見たいものだ。

屈折式写真鏡

               ***

それで今熱が入っているのは?

原点に帰ってピアノを覚え直している。50を過ぎてから目覚めたみたい。

歳だし技術的にもう無理だろうと思っていたところ、やってみたら「あら、少しはマシになるじゃん」となった。

それ以後、ほぼ毎日欠かさず練習?している。なぜか辛いとは思わない。むしろできなくて当たり前という開き直りがある。

30年近くやらなかった暗譜もできるようになってきた。手をつけなかった楽譜にもゆっくり挑戦するようになった。時間に追われていないので、気長にじっくり指づかいから見直している。

これが結構気に入って、10年近く続いている。最近では左手の練習曲やできないパッセージを集中的にやるようになった。かなり辛い。上手くいかない。ほとんど自虐的。それでもイライラはしない。効果があってかちょっとずつ動くようになってきたかも?

今では、やらない日があると少し不安になるくらい中毒化してしまった。

以前にも書いたが、「中学の時もずっと続けていたら、、、」などと考えるのは無意味。あの時代はあれでよかった。今やりたいから始めただけ、、、

          
   

それで満足している。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?