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中学校から高校 : 学校のはなし第二部〜肩を張らずにフランス33

フランスの中学校 « collège »は4年制。小学校が5年制だったからここで帳尻が合う。高校 « lycée »は3年制。

面白いのは中学1年生のことを « 6ème »6番目?と呼び、順に « 5ème, 4ème, 3ème »と数字が減っていくこと。このあと高校に入ると1年生は « seconde »そのあと « première, terminale »と続く。まるで基礎教育の「終点」が高校3年生のような呼称。おそらくそうなんだろうと思う。とは言っても高校は日本と同じで義務ではない。中学卒業と同時に仕事の世界に入る子供たちもいる。

現在は中学校はどこも一般教育クラス « collège général »しか存在しない。昔は3年生 « 4ème »から「職業科」 « collège technique »に分かれるシステムがあったが消滅してしまった。仕事の世界に入る準備ができる環境だっただろうに、お上の考えることはわからない。変なところで平等主義 « égalitalisme »を押し付けてくる。

中学校は日本と同じで教科ごとの授業となる。今の子供たちは小学校から英語を(少し)教わるので、中学校に入って初めて外国語に遭遇する驚きは薄れてしまった。6èmeは文部省によると小学校のCM2と一括りにされ、学校としては別だがカリキュラムは延長とみなされている。これ、外部からすると苦肉の策にしか見えない。要するに中学に上がってもレベルに至ってなかったということだ。済ました顔をして恥を隠そうとしている。確かに分数なんかは6èmeでも続いて教えられている。

5èmeに上がると第二外国語として一般にドイツ語がスペイン語の選択、それからラテン語がオプションになる。英語もまだまだなのにもう第二外国語、、、これは昔からの伝統。ラテン語の授業は遠い昔には本当に「ラテン語」を勉強していた(古代ギリシア語もあった)。今ではローマの歴史を垣間見る程度にまで落ちてしまっている。先生もラテン語の知識が本当にあるのか疑わしい。

4èmeから修学旅行の様なことが始まる。ヨーロッパの中心であるストラスブール、隣の国のリュクサンブールとベルギーのブリュッセルを訪れたりする。ヨーロッパの成り立ちと機能を勉強するというのが目的。3èmeではラテン文化の起源を目の当たりにする意味でローマからナポリまで行くこともある。

中学を卒業するには試験を受ける。 « Brevet »ブルヴェ。大昔には小学校の卒業証明« Certificat d’études primaires »もあった。これはもう戦後まで遡ることになる。 « Brevet »では国語(フランス語)と数学と社会科と英語の筆記試験がある(間違っていたら申し訳ない。しょっ中変わるのでついていけない)が、実際には「平常点」でほぼ全員合格ラインまで辿り着いているので試験とは名ばかりのものになりつつある。

高校は義務教育ではないとさっき言った。« Brevet »が「ふるい」の意味を持っていた昔は高校にもそれなりのプレステージが残っていた。現在でも合格しない生徒はいる。合格しなくても高校に進むことはできるらしいが、無理に行くくらいなら他の道を選択する。今では大多数が高校に進学する。中学校の単なる延長になってしまった。

Lycéeでの授業風景

高校の1、2年に真新しい教科はなかったと思う。3年生の間だけ「哲学」の授業が「国語」の授業に取って代わる。日本の高校で教わる「倫社」とは違い、ガチで「人生とはなんぞや?」を考えさせる。これは後で話す高校卒業資格 « Baccalauréat »バカロレア試験の一科目となる。

高校でも旅行に行く。ヨーロッパの国々。それから交換制度でドイツ、スペインの家庭に滞在、学校と生活と言葉を体験しに行く。

高校の3年間は短い。premièreになると « Baccalauréat »が部分的に始まる。特に国語(フランス語)。3年生に上がると哲学の授業に変わることはさっき話した。少し前まではpremièreに上がると文系、理系、経済系にクラスが分かれた。これがそのままバカロレアの選択になった。今のシステムはまるでわからない。高校3年生の連中に尋ねても要領を得ないことが多い。

« Baccalauréat »、、、日本でも耳にした方は多いと思う。これもまた大昔の話だが、合格者が半分ほどしか出ない困難な試験だったらしい。今では90%とか91%の合格率。人間の頭がそこまで発達したとは思えないので、試験の難易度が下がったということになる。それにしても9割合格、、、

バカロレアが意味を持たないと言われる様になって久しい。どこかの誰かの親切な悪意がそうさせた様に思えてならない。

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