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日本に帰るのはいいけれど〜肩を張らずにフランス89

来月下旬から日本の両親のもとへ一時帰国することにしています。フランスの秋休み « vacances de la Toussaint »を最大限に利用します。

新学期が始まってやっと2週間。1ヶ月後にはまたヴァカンスなんですよね。新年度の出だしは毎年のことながら早く短く中身も薄い。大した仕事もないまま秋休みに入ってしまいます。他の先生や生徒にとってはしっかり授業が始まっているんですが、伴奏の仕事は生徒次第なので休み明けは概して暇。長かった夏休みの影響が結構長引きます。休み気分が抜けきれない周囲の目をかすめて抜け出す爽快感。秋休みでないと味わえないです。ほんのすこーし後ろめたさを感じますが。

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もう20年以上経ってしまったと思います。子供の頃から両親宅にはアップライトピアノがありました。弾き手がないので知人に引き取ってもらったため、長年親しんできたピアノの音がなくなってしまっていました。

両親は特別音楽に詳しいわけでもなく趣味にするほど好きでもなかったです。それでも情操教育ということでピアノやステレオが昔からありました。「題名のない音楽会」「オーケストラがやってきた」も懐かしいです。

雑音ではないにせよバックグラウンドミュージックくらいに思っていたことでしょう。とは言えかつては6畳の居間をテレビとこたつとピアノが占領していました。練習する30分間はテレビの音が聞こえる状態ではなかったはず。よく我慢して聞いていたものだと思います。

その後一度引っ越しをしてピアノは独立した居間に居座ることになりました。大学生の頃でした。すでに趣味として初見弾きばかりしていた時代。以前のように毎日30分ではなく1ヶ月に1度せいぜい1-2時間引いていたように思います。

ご存知の通りその後はフランスに来てしまいましたので、誰も弾き手がいなくなった古い(重い)ピアノ。引き取ってもらって良かったんでしょう。

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兄がいます。一応ピアノは趣味の一つです。最近では両親宅に寄る時間が増えています。

短い秋休みとはいえ、自分にとっても都合3週間練習ができない状態は欲求不満と同時にかなりネックになります。

というわけで今また両親宅にピアノ(電子)を買うことをみんなで決めました。モデルはフランスで先日中古で買ったのとほぼ同じ。もちろん新品です。

こういう話を突然すると「なんて気まぐれなことを」と言われそうですが、両親にとってもピアノのない状態はどこか寂しかったようで、特に興味も示さなかった親父(90)が妙に有頂天になっています。まだ到着もしていないのに置き場所をどうするか一人でゴソゴソやっている様子。まるで新しいおもちゃを買った子供と同じ。母も好きにやらせているようです。

言い出しっぺはもちろん自分です。前回帰国した際には義理の姉に無理を言って2時間ほど引かせてもらいました。練習も何も無しだったので散々でしたが、聞いていた両親も「へーこんなに上達したんや」と感心した様子でした。

そんなことがあって今回電子ピアノの話をしてみたんです。しぶられるかと思ったところ案外すんなりOKでした。

数日後には到着。以前アップライトがあった場所に頓挫することになると思います。帰国中やることがなければ弾いているでしょう。


これも親孝行の一つ?なんて考えるのは勝手でしょうか?

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