ヒトウ イロコ

ティーンエイジャーを抜けつつある子どもふたり、ねことともに東京で暮らしている人。役に立…

ヒトウ イロコ

ティーンエイジャーを抜けつつある子どもふたり、ねことともに東京で暮らしている人。役に立たないことがすき。ここでは雑文を書いています。

マガジン

  • ヒトウイロコ日記

    50代のたいして前を向かずに生きていく毎日を書いています。

  • もぐらエッセイ

    もくもくと自分を掘り進めて書いたエッセイたち。 エッセイスト・紫原明子さん主宰のコミュニティ「もぐら会」の添削コースで書いたものです。

  • 往復書簡(ヒトウ イロコ/真城 ひろの)

    • 5本

    ヒトウイロコと真城ひろのの往復書簡。

  • 往復書簡(ヒトウ イロコ/青葉 鈴)

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    ヒトウ イロコ / 青葉 鈴

  • コインランドリータイム

    コインランドリーにいる時間に書くマガジンです。

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早稲田メーヤウカレーの侵襲性に関する記録

「学生時代に(あるいはもっとざっくりと『あのころ』くらいにしても構わない)通っていた思い出深い店」というのは誰しも心の中にもっているのではないかと思うが、その記憶の大部分は提供された料理の味そのものというよりは、その店で過ごした時間や空気そしてその場で起こったできごとや会話など、エピソードの記憶なのではないだろうか。 しかし唯一、20年以上経ってもなお鮮烈に味体験を思い出せるのが早稲田メーヤウのカレーである。少し前に、ちょっと不思議な復活エピソードが話題になったカレー店だ。

    • 苦行の記憶が塗り替えられた

      7年ぶり3回目のフジロック。 雨にも降られず楽しく過ごせてしまい、今までの苦行の記憶が塗り替えられました。

      • 江戸っ子らしい威勢のよさで話しかけてくるご隠居

        神楽坂まつりで毎年、ほおずき売りのボランティアをしている。ほおずきを求めてお客さんが大挙して訪れ、飛ぶように売れる。それがなんかテンション上がるので、浴衣を着て汗だくになり顔をテカテカに光らせながら売る。 売り子は男女ともに浴衣を着るのがルールなので、路地裏にある公民館みたいなところに集まって着付けをしてもらう。着付けは神楽坂の呉服屋のご隠居が差配してくださっており、挨拶すると「おっ!おぼえてるよアンタ去年もいたね!?」と江戸っ子らしい威勢のよさで話しかけてくる。このかたが

        • 居酒屋カウンターのナレッジシェア

          異常に暑い。昨晩休んだら体のだるさはとれたものの、その代わり仕事はしわしわにしわ寄せされている。日中は外に出ずにせっせと原稿を書いた。ねこはクッションフロアの洗面所を夏の居場所と決めているようで、ドアを開けると長くなって転がっており、とても心外そうにわたしを見遣る。いつも半ギレの目でわたしを見るねこはかわいくて笑ってしまう。なに怒ってんの。 夕方、約束していたちょい飯に近所に出かけていく。昼間よりはましだが、十分に重くじっとりとした熱気が街に充満している。居酒屋のカウンター

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        記事

          疲れなのかだるさなのか痛みなのか

          天気予報にさんざん警告されていたものの、いざ外に出てみると動揺する暑さ。日傘を差して駅まで15分弱あるく。傘をとじるさいに表面に触れたらアッツアツになっていて、こんな日差しダイレクトに受けてはいけない、あぶない、と思った。 仕事ははかどらなかった。家に帰ってもまだ作業はたっぷり残っていたが、夕食をとったらもうなんだかよくわからない、疲れなのかだるさなのか痛みなのかそのすべてが混じったものに押さえつけられて、つらい!と思って少し休んだ。まだ作業はたっぷり残っている。

          疲れなのかだるさなのか痛みなのか

          いやな感じの聞き手になれない

          あれこれしているうちに日が経っている。目の前で起こったことがあまりよく思い出せない。駒沢のまちづくりプロジェクトの一環である「駒沢の生活史」というプロジェクトに参加していて、土曜は聞くことについてのワークショップだった。Googleマップによると駒沢までタクシーに乗れば20分、自転車なら30分の距離が電車に乗ると56分。大田区と世田谷区の関係はこんなかんじで、直接言えば早いのに組織的にはいくつもの根回しをしなきゃいけなくてなかなか決済通らない、みたいな感覚。こどもたちの自立に

          いやな感じの聞き手になれない

          女子お泊まり会などという生やさしい響きより合宿という言葉のほうが似合う時間

          いくつかの偶然が重なって泊まりがけで出かけてきた。山下達郎のコンサート、東京では無理そうだけど宇都宮ならあるいはいけるのでは、と申し込んでみたら1枚当選。やったーと思って当たったときにインスタのストーリーにあげたら、それまで2回だけお会いした方に「よかったらうちに泊まったらいいですよ」と声をかけていただき、ええっいいんですか!とかいってものすごく素直に厚意を受け取ることにする。こういうときわたしはほんとうにずうずうしいな、とじぶんでも思うけれど、なんか楽しそうと感じるとわりと

          女子お泊まり会などという生やさしい響きより合宿という言葉のほうが似合う時間

          少しずつ過去に失ったもののほうが多くなっていく

          朝活的な会合。新宿高島屋の近くが会場だったがとち狂って代々木から歩けるじゃん、とか思って新宿の手前で電車を降りる。こういう判断をなぜしてしまうのか、自分でも心底わからない。しかも雨が降るのは確実なのに傘を忘れてきて代々木駅前のファミマに傘を買いに寄る。横断歩道のところにどうぶつ模様のかわいい傘をさした老人がいて、おしゃれな人だな、と何気なく思う。老人はわたしの先に立って横断歩道をわたっていった。ファミマで傘と飲食物を買って出てくると、同じ老人がまたわたしの先に立って横断歩道を

          少しずつ過去に失ったもののほうが多くなっていく

          すべてがとげとげしく見えるとき

          とくに理由もなく、すべてがとげとげしく見えるときがある。とくに理由はない、と思えるようになったのはわりと最近のことで、それでだいぶ乗り切る負担は減った。 暑くてもおいしく食べられるごはん、イメージで沖縄料理を食べに行った。出張先のホテルでこわいやつに出会っちゃった話を聞いた。

          すべてがとげとげしく見えるとき

          映像だけ見てたらすごいインテリジェント

          ねぶそくおつかれ。仕事をもう一本!ラストー!と部活で声出す感じで最後の力を振りしぼってしあげ、外に飛び出していく。楽しみにしていた旧友たちとのつどい。 すべての料理がとてもおいしくて、とくに自家製のパンがおいしくて狂ったように食べてしまう。翌日体重計に乗ったら800グラムきっちり増えていた。 ながく海外にいたり会社勤めをしたりして、そのあとお店を開くってどんな感じなんだろう。すてきだな、と見ていれば思うがいろんな決断や背負うものもあるだろう。わたしも将来はヒロコはここに行

          映像だけ見てたらすごいインテリジェント

          10代から20代初頭にかけての愚かな恋の答え合わせ

          出かけるきっかりの時間に仕事を終わらせて飛び出していく。きっかりの時間に終わる、というのはわたしからすると快挙である。週に一回の筋トレは、怠惰なフリーランスであるわたしが将来にわたって自力二足歩行をつづけるための最後の砦。体調を崩し仕事も詰まり気味だったここ数週はスキップしてしまっていたので、今日はなんとか行きたかったのだ。もう20年近い付き合いである、もとボディビルダー米国のなにかの優勝者、のトレーナーさんはほんとうに辛抱強くわたしにトレーニングにきなさい、と言い続けてくれ

          10代から20代初頭にかけての愚かな恋の答え合わせ

          ちゃんと手間を省いてくれるDX

          ちょっと先の仕事だから大丈夫だろう、と思って引き受けているといつのまにかまったく隙間のないスケジュールになっていて、ありがたいのだけれど少しでもズレると迷惑をかけてしまうことになる。先々週風邪をひいてしまった遅れが取り戻せない。がんばる。 今日の取材のための入館証がメールで届く。ひと昔前は企業を訪ねるときは受付で自分の名前を言うと受付のひとが内線で相手に来訪を告げ、そのあと入館QRコードが発行されて会合場所を案内される、とかいう手順だった。いまはメールが届いてそこに集合場所

          ちゃんと手間を省いてくれるDX

          自分がこうだろうとおもう世界はこんなにもズレていたんだなと

          日記、うっかりすると一日半くらい平気で経っているな。反省。 日曜日はスリランカカレーを食べに日本橋へ。食べる前にコップに白湯が出てくる。おおむかし、カレーの仕事をしていて同僚がインド人のアテンドをしてたんだけど、アテンド中にアイスコーヒー頼むとこんな冷たいものは体に毒だとめちゃくちゃ怒られる、と言っていたのを思い出す。ふつうのお水のコップに白湯が入っているので、うっかり忘れてただの水のようにコップをつかんで「アチっ」となるのを何度か繰り返す。いろんなおかずと、魚が、焼いた魚

          自分がこうだろうとおもう世界はこんなにもズレていたんだなと

          仏のパワーためしすぎ

          友人の3回忌法要。いまにも大きな雫がこぼれおちてきそうな曇天の中、お骨がおさめられている多摩霊園の納骨堂にみんなで訪ねていく。地下の納骨堂におりていく階段に到達したあたりで、ドカーン、バリバリバリバリ、と特大の雷が落ちはじめて、みんな飛び上がって驚く。21歳の息子さんも含めてみんなで「父、きてますね」「ここまで存在をアピールしてくるとは、さすが寂しがりや」「ゆっくりしていけよ、って言ってますね」「仏になっていろいろできるようになって、パワーためしすぎだね」と笑った。世界のいろ

          仏のパワーためしすぎ

          後ろからナンプラー

          すいませんすっごく眠いです。もうすぐ寝てしまいます。キューピーコーワヒーリングを飲むまもなく眠ってしまいそうなくらい眠くて、飲まなくても即眠れるなら別に飲む意味ないのかなと思うけれど、飲むと睡眠の質が上がるかもしれないから最後の力を振り絞って飲む。そしてベッドに倒れ込み、さらなる最後の最後に意識をうしなう前にこれを書いている。 ヒロコさんは何を書きたいですか、と聞かれて、わたしは一体何を書きたいんだろう、と思う。お前はどうしたいんだ、と聞かれると頭が真っ白になってしまうのは

          後ろからナンプラー

          ソファ寝落ちを公共空間で再現している人

          午前中の取材に向けて頭をチューニングしながら電車を乗り継いでいく。なんかかっこいいことを言っているふうだが頭の切り替えがへたくそなだけである。電車を乗り継ぐ階段のとちゅうにモンベルの日傘のカバーが落ちているのが眼に入って、咄嗟に数年前になくしたわたしのカバー、あったー!おかえり!って拾って嬉々として使いはじめるところまでたいへんクリアに脳がイメージしてしまってあやうくほんとうにそう思い込みそうになり、そのイメージを打ち消すのにまた脳のリソースを食う。なにやってんだろうわたしの

          ソファ寝落ちを公共空間で再現している人