見出し画像

海苔、やるじゃん

 ざる蕎麦のてっぺんにパラッと海苔がかかっているのを見て、いつも「これって意味ある?」と思っていた。料理は目でも楽しむ的な部分が多いのかな?とか、昔の名残りかだろうと勝手に思っていた。そんな二流の日本人として歩んできたわたしだが、ついに味が違うことに気がついてしまった。
 朝から蕎麦を啜る。
 最近やっと覚えた、ワサビを汁に溶かずにすこし蕎麦にのせて食べるということだけでも、十分に大人を気取っていた。付け合せに天麩羅がないと味気ないと思っていた青臭い自分には少し前にサヨナラをした。それで完成形日本人だと思っていた。
 乾燥ネギと海苔がミックスされた便利な薬味がスーパーにあったので、試しに買ってきたのだが悪くない。海苔は値段が高いし、ネギは刻んで置いておくのもすぐに痛むので、一人暮らしにはこれでいいのかもしれない。そして訪れる、味覚の革命。
「あっ、海苔の味するじゃん」。
 今までは感じなかった。蕎麦の量に対してあんなに少ない海苔じゃ感じないのが当然だと決めつけていた。しかし、やっと辿り着いた大人の味覚。味が、海苔の有り無しで違うのだ。蕎麦好きはこんな感じだったのかと、また一つ知ったかぶりの階段を勝手に登り朝食を終える。
 これでほんとに完成形でしょう。
 バイバイ、子供舌。

頂いたサポートは、知識の広げるために使わせてもらいます。是非、サポートよろしくお願いします。