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読書「すてきなひとりぼっち」谷川俊太郎

今読んでいる本について。
谷川俊太郎さんの作品集「すてきなひとりぼっち」を読んでいる。
タイトルに惹かれて、いくつか並んだ詩集の中から選んだ。
「ひとりぼっち」という言い方がすきだ。寂しいもんですよって雰囲気が正直に感じられるから。そこに「すてきな」を加えると、急にポジティブな印象がでている。寂しさを打ち消して無い所もとてもいいなと思う。
「おひとりさま」とか「ソロ活」とかでは正直さに欠けている気がして、商業的な物を感じるから好きとはならないけど、ひとりぼっちは好きな言い方だ。
「ぼっち」が良いのだろう。ぽつんと、なにか広い原っぱの上に残っているような情景を思うことができるから。自由と寂しさと、誰にも干渉されない、でも風が吹いたら自分にあたるような良いところと悪いところが隠れている。でも大勢の中から見ると、その光景は寂しいよりに見える。だから、「すてきな」が、そんな足りない部分をサポートしている感じが好印象だった。

本の内容は、長い期間に綴られた谷川俊太郎の詩を、約50篇ほど選んで一冊にまとめた本。手のひらサイズの大きさも良いところ。
漢字交じりの詩の方が親しみがある文体のせいか、最初は読みやすいし好きなものが多かった。
でも読み進めると、平仮名のみで読みにくいなと感じた作品を一生懸命読んでいる自分に気がつく。
どこで区切るのか、単純に目がすべらないようにゆっくり文字を追いかけるから読むスピードが遅くなる。でも次第に、「ああ、ゆっくり読むために平仮名なんだ」と分かってからは、平仮名の詩を好きになった。
想像力の滞空時間が、ひらがなのほうが圧倒的に長く、すごく自由を感じる。まさに、ひとりぼっちだと思った。
素敵な一冊でした。


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