8月に聴いたもの

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G. S. Sultan "Redundancy Suite”

モジュラーにしてはちょっと複雑すぎるかなと思ったらMax/MSPで制作されているよう。音の質感や情報量的にはエレクトロニカだと思うのだが、ムードや聴き心地はアンビエントという感じで不思議な聴感がある。キッチュなのにうるさくない。こういうの野外で聴きたい。

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Clara Peya "Estat de Larva"

雑に言うとポストクラシカルに分類されると思うが、暗すぎない感じが良い。ポストクラシカル作品の多くは悲壮感や深淵さが強い印象があるが、これはよりミニマルでパーソナルでいい意味で近さがある。椅子の軋みなどが含まれているところももちろん狙いではあるだろうが、音響効果というよりは自室での練習風景を録音したような親密な空気を感じることに効果を上げている。

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25,000 Kittens "25,000 Kittens"

bandcampにてジャケットに一目惚れして購入。二匹の猫をそれぞれタイトルにしているアンビエント作品。2匹と世界中の猫へのレクイエムとのことだが、風景などを表すアンビエントに比べて感情を表すそれは珍しい気がしていて、かなり感傷的な気持ちになってしまった。

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Ben Goldberg "Symphony No. 9"

クラリネット奏者のベン・ゴールドバーグのおそらくジャズのアルバム。詳細がよく分からないが、なんとなく懐かしくてノスタルジックな気分にさせてくれる作品で印象に残っている。

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Taylor Deupree "Faint"

テイラー・デュープリーのアルバムを実はちゃんとまとめて聴いたことがなかったので聴いた結果、その中で良かったものを二枚。まどろみの中のような多幸感がある。

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Taylor Deupree "Northern"

ジャケットから冬が想起されるが音がとても暖かいので室内から外を眺めているような気分になる。実際に冬になったらまたちゃんと流したいアルバム。

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Kaitlyn Aurelia Smith "Euclid"

モジュラーシンセを中心にしたエレクトロニカ。入浴中に流してかなり整った。

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Alio Die & Zeit "Il Giardino Ermeneutico"

イタリア発のアンビエント。あまりイタリアに電子音楽のイメージはないのだが、こちらはジャケットも含めてクラシカルな印象を受けた。なかなかそういうアンビエントも今までイメージがなかったため新鮮。アンビエントというのはなかなか細部の作り込みや印象を克明に憶えていることが難しいので、折に触れて聴き返さねばと思っている。このブログはそのための備忘録も兼ねている。

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Sam Prekop "Comma"

捉え所がなくてあっさり聴き通してしまったのだが何故か全体としては好印象が残っている作品。最近の傾向としてキラーフレーズやキメがあるものよりも、こうしたいい意味でぼんやりとして全体としてあたたかい空気感を持っている作品に惹かれる。歳を取ったということだろうと思っている。

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Jacob Mann "106"

ジェイコブ・マンの音は一発で分かる。というかJUNO-106の音なのだが、コンポーズ含めてやはり独特だ。ビートの打ち込みもすべてJUNO-106で行っているようで、どの曲も3分ほどでゲームのサントラのよう。ルイス・コールやサンダーキャットも相当なオタクなはずだがジェイコブ・マンのオタク度はさらに一歩上だと思う。

白いベランダ 風の匂い

白いベランダ "風の匂い"

以前にライブで共演した白いベランダのアルバム。ギターの弾き語りデュオだが、その背景には様々な音楽の影響が感じられる。でもあくまでシンプルに二声の歌とギターが心地良いということが素晴らしい。晴れた休日の昼に何もしないで聴きたい。

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This Valley Of Old Mountains "This Valley Of Old Mountains"

テイラー・デュープリーとアルゼンチンのフェデリコ・デュランドによるユニット。散文的なフェデリコと抒情的なテイラーの良さが上手くミックスされて聴き応えのある作品になっている。歌や旋律ではないのだがどこか牧歌的な空気を感じる。

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Eli Degibri "Twelve"

ふと思い立ってイスラエルのジャズシーンを調べて知らなかった人たちを聴いてみた。他のプレイヤーは結構エスニックなフレージングが多い中(シャイ・マエストロなど)エリ・デジブリは基本的にものすごいキャッチーなプレイで思わず笑ってしまう。

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Gilad Hekselman "Words Unspoken"

同じくイスラエルよりギラッド・ヘクセルマンの2008年作。今はバリバリコンテンポラリーだがこの頃はほどよくスタンダードを取り上げて渋めな演奏。個人的にオルガンのギタートリオはちょっとテンションが高くて疲れることが多く、ウッドベースとのトリオのいい具合にスカスカなサウンドが好み。この路線の良盤もっと知りたい。


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