見出し画像

入出口について

2022年に事件が起こりました。わたしの心や近辺に地震が起きたような。

わたしの人生は落ち着きがなく、その場に根を張って日常のサイクルも出来上がった4、5年くらいで別の場所に移ります。そうせざるを得ない問題がよく起こる。

そのたびに「ああ、これは小説を書く時期なんだな」と思います。
状況をどうにかするよりも(個人でどうにかできない状況でもある)、何かがわたしの人生をストップさせて、小説を書く時間を作ろうとしてくれる。

逃避すらできないのっぴきならなさに、最近はそう思うようになりました。
「なるようになる」というとポジティブな感じがしますが、ニュートラルに「なるようにしかならないや」と思います。人生って。

その時に執筆したのは「入出口」ではなく、別の小説でした。
長く長い物語に収集をつけるため、カレーと筋トレ生活を四ヶ月ほど繰り返しながら終わりまで持っていきました。
身体は鍛えられながらどんどん尖り、頭は常に冴えて見る夢は明瞭で、鏡に写る自分の目もギラギラしていて、減量中のボクサーか修行中の仏僧みたいでした。
このまま現実を突き詰めていったら、早死にするか頭がおかしくなるだろう。
黒い影が見え始めたあたりから、意識的に「パラベラム巡礼」を行いました。

そんなこんなでアグレッシブな長編小説を書き終わった、2023年4月。
「パラベラム巡礼(拡大版)」として伊勢神宮に向かいました。
この辺りは、「3万円台で3泊4日の旅行をする」という記事に書いてます。
別の小説を書いている時から、次の小説は渋谷が舞台になるだろうと思いました。
その時期、やたらと渋谷に縁ができて、渋谷の会社に呼び出されれば、着ている服も実は渋谷のブランドで、お気に入りのYouTuberたちがおしなべて渋谷の話をしていました。

なんでみんな渋谷の話をしてるんや? なんでわたしこんなに渋谷に来てるんや(好きでもないのに)?
というくらい渋谷だらけで、言葉になる前の小説は「渋谷!渋谷!」とスクランブル交差点に集まるフーリガンのように訴えていました。

しかし、点は点のまま、星座ではなく星空を見上げる掴めなさで、日常にキーワードは出るもののいまいち繋がりが見えません。
とりあえず「?」を抱えたまま愛知県に行き、名古屋で「矢場とん」を食べ、「名古屋ディヴィジョンなう」などとつぶやき、近鉄の急行で伊勢神宮に向かい、ゲストハウスの飲み会に参加し、外宮や内宮を回りました。
渋谷の小説を書くにしても、伊勢に渋谷ないだろうな、と思っていたら……ありました。

伊勢にある渋谷

「猿田彦神社」の手を洗うところ、めっちゃ渋谷でした。
それで「ああ、こういう小説を書けばいいのか」と腑に落ちて、帰宅後150枚の小説「入出口」を書きました。
2022年11月から毎日四時間、原稿用紙十枚の小説を書き続けて助走ができていたのか、一ヶ月ほどですんなり書き終えたことを覚えています。
他にも、緻密にプロットを作るタイプのわたしが、ほぼノープランのフリーハンドで書き終えてしまったところや、書き終えた後にほとんど手を加えず完成したところなど、普段とは違う面白い体験ができて不思議でした。
なんというか、書かせてもらえた感じがしました。

伊勢の旅の目的は、伊勢神宮参拝。
だけど、裏テーマは「猿田彦神社」の手水舎を見にきたんだろう。
あと「佐瑠女神社」も重要です。

スピリチュアルやオカルトチックな話をしましたが、「入出口」も果てしなくそっち側です。
ピンときたら110番……ではなく、以下のバナーから特設サイトに飛んでもらって、第一章の試し読みなどをしてもらえると嬉しいです。

五月を目安に刊行予定。よろしくねん。

オニキ ヨウ

——————————

ゆきて、かえりし? 物語——「入出口(irideguchi)」

◆Introduction◆
すぐ帰ってくるかもしれない。
ずっと帰ってこないかもしれない。
実家に帰る友だちに、あちらの渋谷駅で遊ぼうと誘われる私。
Wi-Fiスポットと繋がるとき、五人(六人?)の運命がめぐりだす。

◇サイト内の「お試し読み」より、
「ゆきて」が無料で閲覧できます。

◇「はじまりのうた」朗読PVも公開中。

★音楽協力:ぺのてあ(@penotea)さん

◇「入出口」 刊行を記念して、
オカルト&スピリチュアルな体験記事をnoteに公開予定です。
お楽しみに!

——————————-

この記事が参加している募集

一度は行きたいあの場所

サポートありがとうございます。このお金はもっと良い文章を書くための、学びに使います。