『AMIDA』 #毎週ショートショートnote【戦国時代の自動操縦】

「おいアンタ! 人の命を一体何だと思ってやがるんだ!?」

 これまでに何度も文字通りの修羅場を潜り抜けてきたであろう一人の武士が、決して戦場で見せたことがないであろう悲痛な面持ちでそう叫ぶ。

「いやー、そうは言ってもですね。さすがにちょっと死者が多すぎましてですね、冥界側としてもこれ以上の激務は耐えられないというか、だからあなた方のような私利私欲のための戦争で亡くなった死者をですね、こうやって天国行きか地獄行きかを内臓されたAIによって自動で判断して連れて行ってくれる画期的な乗り物、『AMIDA』に乗って頂きたいと私は何度もーー」

 冥界の案内所に勤めている妙齢の女性が指した方角には、阿弥陀如来像の背中の部分がぽっかりと空洞になった謎のオブジェが鎮座していた。彼女はどうにかして目の前の武士をあの場所に乗せようとしているようだ。

「だからアンタはさっきから一体何を……」
「いいからいいから、さあ乗った乗った」

 そう言って彼女は名も無き武士を無理やり『AMIDA』へと押し込む。すると数秒後、『AMIDA』はフワリと浮上したと思うとカクカクと不自然な軌道を描きながらアメリカ横断ウルトラクイズの◯✖️クイズの要領で冥界の先へと飛行して行った。






【520字】


たらはかに(田原にか)さんの行われている素敵な企画、#毎週ショートショートnote に今回も参加させて頂きました。
参加させて頂いたお題は【戦国時代の】×【自動操縦】です。

なんだこれは(迫真)
難しいお題だなーと思って何パターンか考えてみたのですがどれも二番煎じ感が否めなかったので一番変なやつを採用してみました。なんだこれは。

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