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Suicaのペンギンとスイスイ都市対抗~この夏は都市対抗野球を観よう!


この夏は涼しいところで野球観戦しよう



今日はエスコンフィールドで開催されるオールスターゲームを観ながら記事を執筆している。

さて、待ちに待った夏休みがやってきた。
学生や保護者の方々は予定を立てるのに忙しい時期だろうが、この酷暑では外での活動に命の危険が伴う。一昔前とは違ってなんとも世知辛い気候である。

しかし、ちょうど今の時期は涼しく・お得に・子供も大人も大興奮・さらに家でも楽しめる! といいことずくめのイベントが開催中だ。
――そう、都市対抗野球である。


都市対抗野球とは?



都市対抗野球は、社会人/アマチュア野球の全国大会だ。毎年7月下旬に東京ドームで開催され、各都市の代表チーム(企業)が競い合う。
1927年に始まり、日本プロ野球より長い歴史と伝統を持つ都市対抗野球は、あきらかにプロ野球や学生野球と一線を画する異質な魅力を放っている。

優勝チームに贈られる黒獅子旗

また、公式サイトでネット裏・バルコニー席などの有料チケットも販売されているが、おすすめは各企業が配布する無料のチーム券だ。企業によって配布方法が微妙に異なるのでチェックが必要だが、基本的に当日東京ドームに並べばタダで観戦できる。
そんなあらゆる意味でのお手軽さこそが、都市対抗野球最大の長所だろう。
ちなみに、毎日新聞社の公式サイトでは全試合ライブ配信もされている。
さまざまな事情で現地に足を運ぶことがかなわなくとも十分楽しめる親切設計だ。




選手たちは企業に所属し、仕事と野球を両立させながらこの大舞台に臨む。高校・大学・社会人(或いはプロ)生活で研鑽を積んだ選手のプレーはみな一流で、のちにNPBで活躍するスター選手も「社会人野球」という場から多数生まれている。

たとえば2024年のオールスター出場選手では……。

栗林良吏(トヨタ→広島)
吉村貢司郎(東芝→ヤクルト)
森原康平(新日鐵住金広畑→DeNA)
中野拓夢(三菱自動車岡崎→阪神)
宮﨑敏郎(セガサミー→DeNA)
度会隆輝(ENEOS→DeNA)
河野竜生(JFE西日本→日本ハム)
大津亮介(日本製鉄鹿島→ソフトバンク)
藤井聖(JX-ENEOS→楽天)
上川畑大悟(NTT東日本→日本ハム)
源田壮亮(トヨタ→西武)

といった錚々たる面々が社会人野球出身だ。


「大人の甲子園」とも呼ばれる戦いは熾烈なトーナメント形式で、一敗も許されない。プロ球団から声がかかることを望む選手も多く、独特の緊張感のなかで、痺れるようなスーパープレーが繰り出される。

ピッチクロックやタイブレーク、補強選手制度(予選で敗退した同地区の選手を引き抜ける)などNPBにはない独自ルールも存在するため、戦略の違いも見どころだ。

練習中の選手と応援団


そして独特なのはルールだけではない。
東京ドームにやって来た観客はみな応援団の一員となり、それぞれの企業の応援スタイルで大いに盛り上がる。
地元と企業の誇りをかけ白熱する戦い――それこそが都市対抗野球の見どころだ。

毎日新聞社のYouTubeチャンネルではなんと全チームのクセの強すぎる応援の様子も生中継されている。二時間以上に及ぶ熱戦を全力で盛り上げ続ける応援団員もまたチームに欠かせない存在だ。


話題となった応援のスクリーンショットを紹介。

王子(春日井市)の応援。巨大ネピア(???)が飛び交っている


ENEOS(横浜市)の応援。港町らしく「出航」をイメージした衣装でエネゴリくんもノリノリ


前回優勝のヤマハ(浜松市)の応援。自社製品による「爆美音」で魅せる。


お祭り騒ぎの現地に行ってみた



そして筆者は20日(土)に東京ドームに赴き、試合を観戦してきた。
Suicaのペンギンを愛する私の推しチームはもちろんJR東日本(東京)。広島の田中広輔選手、阪神の伊藤将司選手などを輩出してきた超強豪だ。
相手チームはカンガルーのトラックでおなじみ西濃運輸(大垣市)である。


東京ドームに到着した駅員ペンギン


入場時のようす

土曜の人気カードとあって大混雑だ。しばらく外で待ってから中に入れた。


1階に飾られていたふわふわの電車。子どもたちが写真を撮っていた


まずは球場飯で英気を養う。
都市対抗野球ファンにはマリオンクレープが大人気だ。


西濃運輸側の内野。二階もかなり埋まっている。
この日はなんとキティちゃんご本人が西濃運輸の応援にやってきていた。資本主義パワー。


始球式に現れたのは松尾芭蕉に扮する大垣市長。試合開始前からカオスである。
応援ステージに自ら立って俳句を詠み、ダンスもこなし……ととんでもない大垣市のアピールっぷり。
そう、ここは地方自治体の仁義なき広報の場でもあるのだ――。


試合開始前は地域の広報VTRが流れるのだが、大垣市はなんとヒップホップで街の魅力を紹介。
そして球場入口にも各自治体のパンフレットが並ぶ。


こちらは西濃運輸の応援歌。
「轟け凱歌 輸送路線の涯迄も」というリリックがアツい。

そして……待ちに待ったSuicaのペンギン登場!
この日はJR東日本東北の試合に続きダブルヘッダーで参戦していた。

前の試合ではカモノハシのイコちゃんと応援合戦を繰り広げていたが、この試合ではいきなりチューチュートレインを披露。JR東の応援は「鉄道唱歌」「トレイントレイン」など鉄道絡みのものが多く、西濃運輸は「うまぴょい伝説」「走れマキバオー」などで応戦。


ひりついた投手戦だったが、チャンステーマ「JRファイヤー」とともにJR東に点が入る。得点時には応援部員が電車ごっこのようなパフォーマンスで踊り狂う。なんだこの空間は……。


Suicaのペンギンによる「東京音頭」


5回終了後のパフォーマンスではSuicaのペンギンが「東京音頭」と「鉄道唱歌」にのせて踊る。
「東京音頭」と野球……といえばヤクルトスワローズだが、JR東の社員がペンギンを囲んで盆踊りをする姿はどちらかといえば新興宗教のようだ。
鉄道唱歌のパートでは「Bling-Bang-Bang-Born」のアレンジも挟まる。



例の交代シーン。
撮って出しでXに投稿したところ3万いいねがついてしまった。
都市対抗の応援では複数羽のペンギンが交代で登場するようだ。

試合は11回までもつれるタイブレークの末、サヨナラ押し出し四球でJR東日本は敗北。惜しい……。選手と応援団の皆さん、本当にお疲れさまでした。西濃は最後まで粘り強かった。


終電が近づいていたため9回表で泣く泣く外に出たところ、ひどい雷雨で大変なことになっていた。
傘を持っていない観客も多く、途方に暮れていた人が多くみられた。

さらに翌日の試合は東海道新幹線のトラブルにより、東京にたどり着けない観客・社員が続出するという大荒れの様相に。
残りの大会期間は無事に開催されることを願うばかりである。


また、JR東日本東北(仙台市)は二回戦進出が決まっている。
25日(木)をはじめ、今後の試合でもSuicaのペンギンが見られるかもしれないので気になる方は是非チェックを。きっと忘れられない思い出になるはずだ。



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