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063_恋人ごっこ

土曜日と日曜日は彼女に会えない
だから、
LINEで繋がる

「起きた?」
「今、起きた、おはよ」

彼女に出会ってから、
ボクの知らないコト(世界)を
彼女からいっぱい教えてもらった。

17も違う年下の女の子に、
教えてもらうことがあるなんて。
思いもしなかった。

だから、
この世界は面白いのかもしれない。
ボクより生きている人、経験が豊富な人を
お客さんにしていて、
いろんなことを吸収している。

彼女は、
お客さんの話を必死に聞いてくれる。
だから、
彼女に話したくなる。
その分、彼女も知識をつける。

そんな好循環を彼女は体得していた。


「ねぇねぇ、この曲いいと思わない?」
昨晩、ケータイの画面に、
彼女が今はまっている曲の歌詞を見せてくれた。

「ちょっと読ませて」

そこには、
今のボクと彼女のことが、
書かれているような歌詞だった。

「うん、とってもいい歌詞だね、曲も聞いてみたい」
「曲もすっごくいいんだよー」

彼女が歌い出す。
彼女は誰もが静まりかえるくらい、歌がうまい。
アカペラでも声が通るほど。

けど、今は、
ボクの耳元で、ケータイを見ながら、
囁くように歌ってくれた。

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 愛を伝えそびれた
 でもたしかに恋をしていた
 恋をしていた
ーーーーーーーーーーーーー

「ねっ!いいでしょ?」
「静かなところで絶対聞いてみてね」

「うん、明日聞いてみるね」


そして、
今日、彼女から教えてもらった、
その曲を聴いている。

曲名がまったく思い出せなかったけど、
彼女がLINEで曲名を送ってくれていた。

そして、
この曲が、
ボクらの関係に
影響を及ぼすのだった。