見出し画像

068_ホワイトデー ~幸せな待ち合わせ~

3月16日(月)
ボクは、
バレンタインデーのお返しを、
鞄にそっと詰めて、
出社していた。

15時30分
彼女から連絡がない。
また寝てるのかな?

「連絡ないけど、今日予定通りの時間で大丈夫?」
「まだ起きてないなら、19時待ち合わせは厳しそうだね?」

ボクは、期待感を持たず、
彼女にLINEした。

最悪のケースも考えていた。
彼女と約束する場合、
ドタキャンもあり得るくらいに思っていないと、
裏切られた時のショックが大きすぎる。


16時10分
「ごめん!起きた!」
彼女から連絡があった。

17時30分
「待ち合わせの時間、間に合いそう?」
「何時に駅に着くか教えて、それに合わせて俺も合わせるから」

ボクは、彼女が遅刻する前提で、
LINEを返していた。
すぐに彼女から返信があった。

「7時くらいにつくよ!」

(え、そうなの?)

ホントかな?
7時なら待ち合わせ時間どおり。
ボクは半信半疑になりながら、
7時に間に合うように仕事を片付けていた。

18時30分
ボクは待ち合わせの駅に向かう電車で、
「どうお?順調?」
敢えて、どこにいるかは聞かなかった。
今日は期待をしたくなかった。

「もう到着してるよ」

「え、はやいね・・・」
約束よりも20分も前に着いてるなんて、
彼女と出会ってから一度もなかったこと。

18時50分
駅に到着したボクは、
ホームの階段を駆け降りた。

「もしもし、今どこ?」
「改札口に向かっているよ」

「え、俺もう改札口にいるんだけど」
「えーっと、どこだろ?」

「あ、いた!」


1週間ぶりに会えた彼女は、
相変わらず可愛くて、
「久しぶりっ」と、
笑顔でボクに寄り添ってきた。


待ち合わせ時間よりも少し前に、
ボクより先についていて、
ボクだけを待ってくれていた彼女。

そんなことを想うだけで、
ボクは幸せな気持ちになれた。