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まるで、この世に存在しない死人のような一日で。

あ、今、世界でひとりぼっちだ。 

そんなふうに思う瞬間がある。ベッドのうえ、毛布のなかから動けず、ただ天井を見つめることしかできない。そんなとき。

すなわち、風邪を引いたときである。

久しぶりにしっかりと風邪を引いてしまった。鼻水、のど、咳、熱、くしゃみ、風邪の諸症状を網羅している。

今わたしがベッドでぼんやりとしているこの瞬間も、世界は普段と変わらずに回っていて、ひとり世界と切り離されて置いてけぼりになっているような、そんな気持ち。

ちゃんと振替休日や有休をとって、みんなが働いている平日にお出かけしたり、旅行に行ったりするのは人も少ないしとってもわくわくするのに(すみません)、体調を崩してやむをえず休まなきゃいけないときは、平日に仕事をしない点では同じはずなのにとっても切ない。

力が抜けて、気づいたらふるふると涙が出そうになるのは、熱のせいなのだろうか。

幼いころから体があまり強くなくて、休むことはよくあったから、こんな瞬間は何度も経験してきた。でも顕著になったのは大学生の頃から。
心身ともにひどく落ち込んでいたとき、インターンにも行けず、実家にも帰れず、時間をただただ持て余して抜け殻のようだった。

他にやれることがなくて、漫画のソラニンを読んでいたとき、芽衣子の台詞にぞくりとした。

「時折、自分が社会にまるで貢献していないのを思い出して、まるでこの世に存在しない、死人のような気分になって、すごく怖くなる」

声を出して泣いてしまった。自分の心から出た言葉かと思うくらいに、当てはまりすぎていて怖かった。

死人か。そうか、死んでいる感じだ。

社会と何かしらの形で接続していないと、自分がまるで存在していないような不安に襲われる。自分だけぽっかりと消えてしまったような心細さ。

ベッドで寝て、水分をとって、少しだけご飯を食べてはまた寝て。何もしていないから楽なようだけど、まるで生産性のない時間をただただ消費していくのは、実は結構苦しいことなのだと思う。

だから、頭がぼーっとしながらもベッドのなかでこうしてnoteを書いてしまった。だからといって社会に貢献できるわけじゃないけど、でも何もしないより気持ちが楽になった。

社会と接続していないと不安になるし、繋がりが濃すぎても消耗してしまう。人間は厄介だ。

そんなことを書いていたら、さっき、付き合ってる人がお見舞いでゼリーやR-1やポカリなんかをたくさん買って持ってきてくれた。ひとの優しさがいつも以上に身にしみる。ひとりぼっちの一日のおわりに、ひとりぼっちじゃないと思えて、元気が出た。ありがたい。

早く治して、楽しいことがしたいな。

わたしがいなくなったところで社会は変わらずに回りづけるけど、元気になったらわたしができることで社会や周りの人に貢献するためにまた頑張ろうと思う。

たかが風邪だけど、あれこれ考えた一日であった。

(おしまい)

#エッセイ #コラム #日記 #note #つぶやき #風邪 #ソラニン

いつも読んでくださってありがとうございます。大好きです。 サポートいただけたら、とてもうれしいです^^ どうか、穏やかで優しい日々が続きますように。