見出し画像

Events|Taito Kauppa / フィンランドの工芸 〈YOHEI NOGUCHI サーミブレスレット〉

スウェーデン・ノルウェー・フィンランド・ロシアにまたがる地域、ラップランドの先住民・サーミ族の間で何百年と伝わる伝統的な刺繍技法を施した装飾品「 Duodje(ドゥオッチ)」。

その始まりは16世紀頃。古くからトナカイと共に遊牧生活を送っていたサーミ族が、トナカイの革や角、富の象徴であった地産の錫糸などを材料に、知恵と技術を駆使しながら長い年月をかけて創り出しました。

サーミ族にとってトナカイは、厳しい環境から身を守り、時には生計の糧となる、衣食住どんな場面においても欠かせない大切なパートナー。ドゥオッチは、サーミ族が持つトナカイへの誇りと敬意が込められた特別なアクセサリーなのです。中でも、幸せをもたらすお守りのような役割の「サーミブレスレット」は、サーミ族を代表する伝統工芸品として、定住生活が普及した今も広く親しまれています。

スクリーンショット 2020-07-19 11.03.53

7月23日より「Taito Kauppa / フィンランドの工芸」にてご紹介するのは、日本人作家「YOHEI NOGUCHI」のサーミブレスレット。使用する材料全てを現地スウェーデンから輸入し、伝統を継承しつつ独自の表現を織り交ぜた、モダンなデザインのサーミブレスレットを一点一点手作りで製作されています。

ドゥオッチに惹かれ、日本に広める活動を行う野口 陽平さんにお話を伺いました。

・・・・・・・・・・・・・・・

スクリーンショット 2020-07-19 11.19.13

--ドゥオッチに興味を持ったきっかけを教えてください。また、どのような点に惹かれましたか。

「学生の頃、アルバイトをしていたセレクトショップでサーミブレスレットを知りました。もともと北欧や伝統工芸に詳しくはなかったのですが、サーミブレスレットの繊細な作りながら民族的な力強さに心惹かれて、色々な作家さんの作品を集めるようになりました。サーミブレスレットを集めていくうちに、その長い歴史や背景を知り、さらに強く惹かれていきました。」

スクリーンショット 2020-07-19 12.54.19

学生時代に出会ったのですね。卒業後は一般企業で働きながら、独学で趣味のような形でアクセサリー製作をされていたとのこと。

--その後会社を辞め、「YOHEI NOGUCHI」を立ち上げるに至ったのは、どのような思いからでしょうか。

「はじめは趣味で製作をしながら友人や家族にプレゼントしていました。その後フリーマーケットに出店し、自分が製作したものでお金をいただく事を経験して、ものづくりで生きていく事の素晴らしさを想像出来たことが今のブランドを始めたきっかけです。ブランドを立ち上げてから、今ちょうど3年が経ちました。」

スクリーンショット 2020-07-19 11.05.27

--ブランドを持ち、作家として活動する今、趣味で製作していた頃と比べて心境の変化はありますか。

「伝統の技法を自分なりにアレンジして、ジュエリーに変化させたり、洋服や革小物に刺繍をしたりと、現地にはないものを制作し世の中に提案したいと思うようになりました。伝統とは外れているため、その活動良く思わない北欧の方もゼロではありませんが、巡り巡ってサーミ族の方々にとっていい影響を与えられたらと思っています。」


スクリーンショット 2020-07-19 11.10.57

伝統を守り継承していく為には、新しい挑戦も大切。伝統を尊重しながら、今までにない斬新な作品を生み出しているところが「YOHEI NOGUCHI」の魅力のひとつだと感じます。

--作品をデザインする際、心掛けていることはありますか。

「日本ではまだまだサーミ族を知らない人が多い現状があります。そんな人達にも私の製作するものでサーミ族を知るきっかけになればと思っています。そのため、どんなスタイルにも合わせやすいミニマルなデザイン、取り入れやすい素材で製作するようにしています。幅広い方々に手にとっていただき、多くの方々にサーミ族を知って欲しいと思っています。」

スクリーンショット 2020-07-19 11.16.24

--日本の方々に広く知ってもらうために、工夫していることがありましたら教えてください。

「サーミ特有の民族的な紋様だけではなく、ミニマルなデザインかつ、水引や組紐を連想させるような編み方を取り入れる事で、日本の方々にも手にとってもらいやすいデザインになるようにしています。」


スクリーンショット 2020-07-19 11.12.38

--今後のアクセサリー製作において、新たにチャレンジしてみたいことはありますか。

「トナカイの角を使ったジュエリーの製作を検討しています。現地の伝統技術ではないものの、北欧の素材を使い新しいアクセサリーの提案が出来たらと考えています。まだ具現化できるか分かりませんが。。」

北欧ではトナカイの角は幸運の象徴と言われていますよね。新しい作品、楽しみにしています。

--最後に「YOHEI NOGUCHI」のアクセサリーをこれからご覧になるみなさまに、メッセージをお願いします。

「当方のアクセサリーは、長く身に着けることでその人だけの風合いが作られ、価値あるものに育っていきます。その経年変化を楽しんでいただきたいと思っていますので、ご購入いただいた際は、メンテナンスや修理など気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。」

野口さん、さまざまなお話をありがとうございました。

・・・・・・・・・・・・・・・

丁寧で穏やかな話しぶりが印象的な野口さん。作品にもそのお人柄が表れているように感じました。当店での展示販売を通して、多くのみなさまにドゥオッチ、そして「YOHEI NOGUCHI」の魅力をお伝えしていきたいと思います。

YOHEI NOGUCHI​
1997年よりアクセサリーブランド「YOHEI NOGUCHI」をスタート。一点一点手作りで北欧サーミ族の伝統的なアクセサリーを製作。マリッジリングの製作やアパレルブランドとのコラボレーションなど、新しい取り組みも積極的に行なっている。イベント出展・ワークショップなど、多方面で活躍中。