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ハイラルに永遠の平和を。

 ゼルダの伝説 ティアーズオブザキングダムをついにというか、やっとクリアした。

 私のもとにソフトがやってきたのは5月12日。クリアしたのは11月11日という、約7ヶ月間の大冒険だった。ハイラルを救う前、10月の投稿では、私がしでかしてしまっためっちゃくちゃな冒険について振り返った。

 11月10日。キヨさんのYouTubeに「END」の文字があった。私はそこで焦りに焦った。勝手に自分の中で「キヨよりは早くクリアするもん」と思っていたのだ。嘘だろ。終わってんじゃん。えっ。大学の友達から煽るようにLINEが来た。「おい、キヨクリアしてるやん」
そりゃ実況はいつか終わるけれど、いつの間にかウサギとカメ状態だったことにびっくりしてしまった。そして11月11日、アルバイトが終わったらクリアしようと思い立った。約2時間かけて、私は最後の戦いを終えた。それについての感想を、今回は書こうと思う(クリアした方、ネタバレを気にしない方のみお読みください)。

 まず、破魔の根を全て灯していなかった私は、残っていた北ローメイ島のクエストと、ハイラル城の下の根を灯した。万全の状態で挑もう!そう思い立って、一旦マスターソードを無理やり眠らせて、その10分間で瘴気回復料理や、マックス料理を作った。イチカラ村でバクダン花を調達し、矢も250本ほど集めた。ロケット盾を作ったり、英傑武器を揃えたり、準備をしてその先に待つゼルダの笑顔を思い浮かべながら、不安と恐怖を抱えていた。
 ブレスオブザワイルドではリンクの家だった、ハテノ村にあるゼルダの家。ハテノ村はリンクの故郷(多分)。完全に気持ち悪いが、ゼルダのベッドで寝て、ハテノ村から見えるハイラルの景色を眺めた。
 マスターソードが目を覚ましたら、行こう。
そう思っていると、画面上に「マスターソードが目を覚ました」と表示された。

 地底の地図には、ハイラル城下とハイラル平原下の間にどう見ても人工物のある場所がある。私はそこが正面で、そこから入るものだと思っていた。しかし、どう見ても入口なるものが見当たらない。「こっちからは入れないのか?」「ん?よく見たらこれもっと下なのかな?」仕方なく、私はハイラル城の真下へと飛び込んだ。その後進めて気付いたが、これが最深部へ続く道だったのだ。ハイラル城の深穴から降りる。地底の地面にリンクの足裏がつく。とくにムービーが流れるわけでもない。一周大きな柱を回ってみても、メインクエストの黄色いピンの場所へ行っても何も無い。あれ?と思うと、奥の方にエレキライクが見えた。なんで?と思い近寄ってみる。エレキライクにバレると、最後の戦いの始まりを思わせる戦闘BGMが流れたが、そのエレキライクの奥には穴があった。
 「最深部ってここじゃないのか...!」
それに気づいた途端胸が高鳴った。ガノンドロフ。あいつに会うにはまだまだ先へ進む必要がある。雑魚と戦うのがめんどくさい私は、ずっと賢者に戦いを任せていた。はは。奥にいたライネルには古代の矢で消えてもらい、さらに奥にいた瘴気の手にびっくりしたが、ここでロケット盾が役に立った。飛び上がった私のリンクは真上から獣神の弓で瘴気の手にバクダン花を放つ。3、4発当てると瘴気の手は消え、ファントムガノンが現れる。瘴気の手は怖いしめんどくさいから嫌いだが、倒すのはそこまで苦ではない。その後、モリブリンを倒して更に奥に進んだ。しかし、戦闘嫌いな私にはキツすぎる文言が現れた。
 「賢者の力が届かなくなったようだ」
「しかし、そなたは一人ではない」ミネルがラウルに向けた言葉を思い出した。私はずっと賢者たちと共に居た。それを失った時、酷く恐怖と不安に駆られた。だが、それでも進まなければならない。ゼルダを救うために。

 過去作からの続投として感動したが、見た目が大嫌いなギブドを倒し、瓦礫で塞がれていた道を切り開き進んでいく。すると、どんどん見覚えのある道だと気付く。そして開けた場所に出ると、ゲーム序盤にゼルダと辿り着いた、古代の壁画のある部屋に辿り着いた。ゲーム序盤では見られなかった瓦礫に塞がれた壁画。その瓦礫を取り払うと、ゼルダとマスターソード、そして白龍の描かれた壁画が現れた。
 あぁ
そんな言葉しか出なかった。あぁ、本当に彼女は、ゼルダは太古の建国の時代に行ってしまったのだと改めて思い知らされた。そして、今も尚時の中でさまよっているのだと思った。
 準備の時、白龍に会おうと思ったのだ。だが、どんなにハテノ村から空を見回しても、あの美しい姿は見えなかった。代わりにゲーム画面に虹が出た。必ず助けるからと、私は心に決めてここまで来たのだった。

 大きく空いた穴を降りると、たいまつが転がっていた。隣で私のプレイを見ていた妹が「はぁっ!」と声を上げた。「最初の姫ちゃんのたいまつだ...」妹のその呟きにハッとした。ここに来た、民を悩ます瘴気の原因を探りにハイラル城の地下へ来たゼルダ。壁画を見て興奮気味の、正義と学者思考を持ち合わせた彼女が持っていたたいまつ。それに気付いて、かつてここに居たのだと思った。そしてそれと同時に、この先に奴が居るのだと思わされた。

 そこから先の道が、非常に怖かったのを覚えている。細く、暗く、瘴気が立ち込めていた。流れるBGMは、封印の場へ近づいていくゼルダの背中を「行くな、行くな」と思っていた時のBGMと似ていた。そしてある段階でそれは大きな音へと切り替わった。その瞬間メニュー画面を開いてしまった。「こわいいいい🥺」と怯える私を妹は「早く行け」と急かした。ほんとにここかよ、みたいな穴があった。赤い地獄に繋がる道みたいになっていて、めちゃくちゃ怖かったのを覚えている。そこを降りて、さらに奥に飛び込み台が現れる。そこから飛び込み、あー完全にここだーという地面を踏んだ時、ムービーが流れた。

 「ひとりで行くなんて水臭いじゃないか!」
その声の主は、風の賢者チューリだった。そして炎の賢者ユン坊、水の賢者シド、雷の賢者ルージュ、魂の賢者ミネルを宿したゴーレムがそこに居た。一度独りに恐怖を覚えた私は、彼らの登場にまた、ハイラル城で彼らが駆けつけてくれた時と同じような、またはそれ以上の感動を覚えた。その時点で涙腺には涙が溜まっていた。湧いて出てくる大量の雑魚敵であるボコブリン、リザルフォス、ギブド、モリブリン。それらを彼らとボコボコに倒して行った。群れのゲージがゼロになると、また新たにムービーが流れるのだった。
 そこに映ったものに私は衝撃を受けた。風の神殿に巣食っていたフリザゲイラ、炎の神殿のボルドゴーマ、水の神殿のオクタコス、雷の神殿のクィンギブド。そして、魂の神殿の奪われしゴーレム。まさか、今までのボスとも戦わなければならないのか!?そう驚いた時、リンクは先に行っててと言われた。「一度倒したやつらだから大丈夫さ!」そんなような言葉をチューリが放った。画面は瓦礫に埋まる。またも、賢者たちとリンクは断絶された、しかし、あの時のような喪失感は無かった。必ず彼らは来る。私は、リンクはひとりじゃない。私のリンクは、マスターソードとハイリアの盾、そしてオオワシの弓を携えて奥へ進んだ。

 その先には、即身仏みたいな封印が解かれた時の状態のガノンドロフが居た。目に色が宿り、この世界を我が支配するあるべき姿へと戻すと言った。そんな彼が最初に見せた姿は、ゲルドの王であるただの人間だった頃のガノンドロフの姿だった。第1形態のガノンドロフは、ファントムガノンと動きがほとんど一緒だった。攻撃をミスると「無様だな!」とか言ってくるのがムカついた。しかし、やはり奴は第1形態。しかも人の姿。筋骨隆々とはいえ、華奢といえどハイラル一の剣士であるリンクには適わなかった。最初はマスターソードで戦っていたが、私は持ってきた英傑武器を使うことにした。「これはウルボザの分だ!」と言って私は七宝のナイフで切りつけた。その次はミファーの光鱗の槍で刺す。その次はダルケルの巨岩砕きを...と思ったが、ガノンドロフが風を巻き起こすムーブを見せた。私はそれをすぐに見切りパラセールで飛ぶ。そして空中で弓を構えリーバルのオオワシの弓で何発もヤツ目掛けて矢を放った。その後ダルケルの巨岩砕きで殴り、最後はマスターソードで切りつけた。ガノンドロフは怯んだ。だがここからが本番だ。彼はゾナウ族から強奪したゾナウの秘石の力を持っていた。持つものの力を倍加させる秘宝。彼の人としての面影は消え、髪は赤く光り靡いた。色黒の肌はもう真っ黒になり、服は獣の皮のように変わり果てた。そこに居たのは、かつてのゲルドの王ではない悪に染まった魔王であった。
 戦闘画面に切り替わると、「リンク!おまたせ!」とチューリの声が聞こえた。しかし、その安堵と同時におかしな画面が映った。魔王ガノンドロフのHPが頭おかしいことになっている。そしてガノンドロフは自分の分身を5体出してきていた。あのハイラル城での戦いを思い出させる映像だった。しかし、案外この戦いは6人がかりなのでそこまで苦戦しなかった。ミネルのゴーレムが率先してガノンドロフを殴るのでちょっと面白かった。彼女が一番ヤツに時を超えない直接的な感情があるので余計に。

HPがえぐい事になっている魔王ガノンドロフ。

 だが、この陣営で戦えるのは束の間だった。普通のHP表示ほどまで削ると、またムービーが流れ、賢者たちはねじ伏せられてしまった。秘石の力を継承した彼らが縛り付けられている。そんな中、ラウルの腕の力しか持たないただの人間であるリンクだけが土俵に上がっていた。この戦いが熾烈だった。写真のようになるはずのラッシュ攻撃を決めても、ガノンドロフが私の攻撃を見切って避けてくるのだ。謎の光弾を出し、随一の耐久力を誇るハイリアの盾が壊された。そこからは恐怖の連続だった。よく見たらハートの器が器ごと消えている。私の最大HPが削られているのだ。マックス料理を作ってきたとはいえこれは驚きだった。ラッシュも効かない。もう強い盾がやられてしまった。どうしよう。どうしよう。しかし、ヒントは謎の光弾にあった。
 ゼルダの伝説の過去作、時のオカリナを思い出した。この最後の戦いでも、ガノンドロフは光弾を放った。その光弾をリンクはマスターソードで跳ね返す。光弾がガノンドロフにあたると、ガノンドロフはダメージを受けるのだ。そうだ……!
 このままではやられてしまう。しかし、光弾が来た時私はマスターソードでため攻撃の準備をした。すると、見事に光弾は跳ね返る。そして、ずっと削れていなかったガノンドロフのHPがついに削れた。この攻略を見つけた途端、私は最強になった。ラッシュは決まらないから、ガノンドロフの攻撃は避けるだけ。ずっと盾を構え、ヤツが武器を切り替えるタイミングでため攻撃の準備をする。光弾を一気に跳ね返す。それを繰り返すと、絶望的に減らなかったヤツのHPがみるみる削れていった。そして、そのHPがゼロになった。

 流れたムービーのガノンドロフは、取り乱していた。秘石の力で、力が倍加されているガノンドロフを、秘石も持たない小さく華奢なリンクが倒してしまった。それを認められないガノンドロフは、どこで知ったのか、聞き覚えのある言葉を発した。「もう自我など要らぬ」「永劫の地獄」だったか、とにかくゼルダが使った"禁じられた法"、「龍化の法」を彷彿とさせるセリフを吐いた。その予想は当たった。

_秘石を飲んだ者の魂は、長生不老の龍となり、永劫の時を手に入れる。
龍になった者の心は永劫に戻らない。

ガノンドロフは、秘石を飲み込んだ。

 ガノンドロフの目が、ゼルダが白龍になった時のように異質なものに変わった。黒く長い巨体が、リンクに食らいつき地底の天井を突き破り始めた。そこから、長い長いロードが入り、画面に静寂が訪れた。

 地上のハイラルが映し出される。ハイラル城の地下から、真っ黒な龍が現れた。どす黒い紫色の龍がグルグルとハイラル城を取り囲む姿は、100年前にハイラル王国を滅ぼした厄災の姿そのものだった。龍化せし魔王「黒龍」の名が表示される。こんなのどうやって倒すんだよ。そう不安が募る中、聞き覚えのある鳴き声が聴こえた。それは、はじまりの空島を出る時にも聴こえた嘶きだった。
 ハイラルの空を、白龍はハイラルの大地を眺めるように、ゆっくりと美しく泳いでいた。しかし、画面に現れた白龍は恐ろしく早かった。赤黒い龍と、黄金の白い龍が画面上に並んだ。大きな黒龍とは対照的に、美しくも小さい白龍にゼルダの面影を感じ、また目頭が熱くなるのを感じた。現れた白龍に噛み付こうとする黒龍。その拍子に黒龍の牙で挟まれていたリンクが落ちる。それを白龍は見逃さない。黒龍などお構い無しに、リンク目掛けて空を泳ぐ。白龍はリンクをキャッチした。ここからは白龍と、ゼルダと戦うのだ!

 天高く舞う白龍の上から下を眺めると、黒龍が大口を開けて禍々しい何かを放っていた。黒龍の体には4つ、ガノンの怨念の目玉に似たコアのような部分があった。上から見て、すぐにあれを壊せば良いと分かった。そちら目掛けてリンクがダイビングする。それを確認した白龍は、また恐ろしい速さで下へと移動した。これは落ちるリンクをキャッチするためだった。目玉を潰すと、リンクの体は吹き飛ばされた。白龍はリンクをキャッチし、また黒龍よりも遥か天に上昇する。これを4回繰り返し、ついに4つとも怨念の目玉を破壊した時、空が真っ赤になり紅い大きな月が昇った。そして、黒龍の頭が微かに輝いた。あれを壊せば…!そう思い、私は、リンクはまた空へ飛び込んでいく。輝きの正体はゾナウの秘石。そこに降り立ち、リンクはマスターソードを秘石目掛けて突き立てた。

 とどめを刺すと、ガノンドロフの秘石は粉々に砕け散った。黒龍は空を這い回り、最終的に大爆発して、世界から消え失せた。

リンクは白龍に受け止められ、黒龍は爆発し煙と化した。

 そこからの映像は圧巻だった。リンクがハッと目を覚ますと、白龍を見下ろす視点に立っていた。何故かリンクは服を着ていない。きっと、ラウルの腕がよく見えるようにだろう。リンクの下に映る白龍は目を瞑っていた。リンクは白龍にラウルの手をかざす。すると、リンクの隣にラウルとソニアが現れた。うっすらとした、魂だけの姿のラウルとソニア。そのラウルとソニアが、リンクのかざす手に触れた。すると、眩い光が白龍目掛けて放たれた。白龍の体がじわじわと光り出す。ラウルと、ソニアが、微笑みを浮かべて消えていった。彼らの願いは果たされたのだった。

 画面が切り替わり、リンクが現実世界で目を覚ます。リンクはまだ空に居て、上空を下降していた。ラウルの腕だったリンクの右腕は、もとのリンクの腕に戻っていた。すると、彼の目に目を疑う姿が映る。

 人の姿のゼルダ姫だ。

その姿を認知した時、私の涙腺のダムは決壊した。いつものダイビングの画面にきりかわると、ずっとRボタンを押して急降下した。早く、早く捕まえなければ、またどこかへ消えてしまう…!そんな気がしてならなかった。どんどん近づいていくゾナウの装束に身を包んだゼルダの姿。Aボタンを押すと、あの時、ゲームの序盤では掴めなかったゼルダの手を、リンクは確実に掴んだ。そしてリンクはゼルダを抱きしめて湖目掛けてダイブした。その姿は、まるでカリオストロの城でルパン三世が少女クラリスを救ったラストシーンのように鮮やかだった。

 ゼルダをお姫様抱っこして、湖から引き上げたリンク。ゼルダの目が震える。彼女は生きていた。状況を理解できないような、寝ぼけた様子を見せるゼルダ。すると、リンクの背中に背負われたマスターソードが、剣の精霊ファイがゼルダに事の顛末を伝えたのだろう。

「届いたのですね…」

と、ゼルダは呟いた。

あぁ、本当に良かった。心底そう思った。ゼルダの伝説はゲームで初めて泣いた作品だった。それはブレスオブザワイルドだったが、既にその5倍は涙が流れていた。頬を伝う涙は拭いても吹いても流れていた。

 世界を想い、民を想い、仲間を想い、騎士を想った17歳の少女は、封印の力になかなか目覚めなかった。その自分と対照に、退魔の力を高める騎士に劣等感を覚えた。しかし、彼にだって苦手なことがある。それを知り、共に仲間と力を目覚めさせるために歩んできた。その力が目覚める前に復活した厄災。父を失い、仲間を失い、どこまでも着いてきてくれた騎士まで失いそうになった。
「私がしてきたことは、なんの役にも立たなかった!」
そうやって涙を見せた彼女は、騎士を救うために手を伸ばす。その時封印の力が目覚めたのだった。その後、いつか目覚める騎士のため、勇者のために100年もの間人柱となり厄災を抑え続けた。そして、救い出された彼女は厄災を封印した。
 そんな彼女が巻き込まれた、太古の時代から続く因縁と憎悪と怨念。突然飛ばされた時代、そこで出会った人々のことも彼女は想った。古代に封印された厄災は一万年前の話。つまり彼女はそれよりも前の時代から白龍へと姿を変えて時の中を泳いでいたのだ。
「私に出来ることがある、これは私にしか出来ないこと」
 あの時とは様変わりした、ゼルダ姫の心の描写。そして、その出来ることは勇者リンクに届き、繋がれ、太古の時代で初代ハイラル王ラウルと、その王妃ソニアが願った永遠の平和を実現させた。その全てをプレイヤーである私に投げかけられた様だった。ゼルダの笑顔が、その強すぎる勇気を思わせて、私の涙を止めさせやなかった。

 スタッフロールの後、はじまりの空島を訪れるリンクと、ゼルダと、賢者たちの姿が映し出された。ゴーレムから抜けた魂としての姿のミネルが微笑んでいた。彼女もまた太古の人物。役目を、未練を叶えた彼女の魂も、ラウルとソニアのところへ行かなければならない。その別れを憂う現代を生きる6人。太古の賢者の集いの真似をしたり、微笑ましい姿も見られた。ミネルは微笑んでいる。でも、みんな下がり眉だった。

 「…ありがとう」

その優しいミネルの最後の言葉に、また感情がぐっちゃぐちゃになった。消える彼女の姿。もう動くことはないバラバラになったゴーレム。でも、これで良かったのだ。これからも、このハイラルの平和は永遠に護ると誓われたのだから。

映る空と、あのゼルダの伝説のメインテーマが、この物語の終わりを知らせた。

















 タイトル画面に戻されてから、虚無感が凄かった。ずっとゼルダを救いたかった。しかし、「終わってしまった」という切なさが、私の中を渦巻いた。これはブレスオブザワイルドの時も同じだった。ズビズビとずっと泣いている姉を妹は楽しんでいた。母は終わったのを見計らい晩御飯を用意し始めた。
 ハイラルから現実の世界に戻ってきた。凄いゲームだった。そんな語彙でしか言い表せない何かがずっとあって、私は家では1番うるさいのに全然口をきけなかった。あぁ、とにかく最高で最高なゲームだった。この作品では、学ぶことがたくさんあった。私も、ガノンドロフのように自分のためでなく、ゼルダやリンクのように誰かを想って生きていたいと思わされた。

 ティアーズオブザキングダム(以下ティアキン)全体を通しての感想は、ブレスオブザワイルド(以下ブレワイ)で取り除かれた「ゼルダの当たり前」がブレワイで整地された上にもう一度モリモリ形を変えて構築されたような作品だったなと思った。ブレワイは、敵の見た目もマイルドで、カースガノンもまぁそんなに怖い見た目では無かった。ガーディアンはトラウマだが、今思えば可愛いものだ…。ティアキンはもうボスキャラの見た目がまぁ過去作!過去に現れたきっしょい敵も再度登場!とても嬉しかった。あと瘴気の手は本当に怖い。ガーディアンのトラウマを塗り替えられた。
 また、過去作のストーリーを彷彿とさせるような演出も多かった。特に私が感じたのは「時のオカリナ」。ガノンドロフがハイラル城に来て跪く姿や、賢者という存在。ファントムガノン。そしてラスボス戦の光弾の跳ね返し。時オカ世代のファンの方々には激アツ展開が多かったのではなかろうか。
 私は去年の3月にたまたま見る気になった実況で何もかもを狂わされたド新規だが、細かな感動がたくさんあった。歴代の勇者服をゲット出来るのは特に楽しかった。
 まぁ、まだコログも300匹くらいしか見つけられてないし、ラムダの財宝も全部巡られていない。意外にも達成率は70%を超えていたが、まだまだこのゲームはやれることが沢山ある。それでも一段落ついた。本当にいいゲームだった。

 今後、これ以上素晴らしいゲーム作品シリーズに出逢えるだろうか。きっと真新しい新作も喜んでプレイすると思う。とにかく、最高に美しくて最高に素晴らしい、とんでもないゲームだった。

 最初は、ボレロが流れる予定だったほどの西洋風アドベンチャーだったゼルダの伝説。しかし、何作も作られ、その中でたくさんの物語が、歴史が紡がれて、ゼルダの伝説は、本当に伝説となった。初代の地形が、ティアキンにも残っている。ボレロが使えないからと徹夜で作曲されたメインテーマは、今も尚使われ、私たちの胸に響いている。謎解きの音も、かつての冒険の足跡がたくさんあった。いくつもの勇者の魂が、時代を巡りゼルダ姫を救ってきた。マスターソードは全てを知っている。この物語は、私を感動させるばかりだ。

 改めて、任天堂様、ゼルダの伝説シリーズに携わってきた全ての皆様、こんな素晴らしいものに出会わせてくれたゲーム実況者キヨさんに感謝したい。ほんとうにほんとうにありがとうございます。

 クリアしたらまた5,000字書いてしまうかなと思ったが、もうすぐ8,900字だ。ここまで読んでくださった方にも感謝。
 凄く楽しい7ヶ月間だった。また来年も、ここまで熱中できる何かに出会えたら幸せだ。

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