見出し画像

自律神経失調~体の異常に気付くまで③~

安心できる場がない

朝掛けの帰り道。過呼吸からの偏頭痛になった話。

昨年11月中旬、朝4時半ごろからの朝掛けの道中。雨が降り始めた。スピードを上げて私が乗ったハイヤーが高速道路を走っていく。雨脚が強くなって、車体を叩く。さっきから中年の運転手Zさんがずっと話掛けてくる。

「昨日の夜ね、繁華街で男女のアベック乗せたんですわ。あれは絶対不倫ですわ。女の子が嫌がってたから、私、『アホんだら!』言うて、男に一発かましたんですわハッハッハッハ」

早朝からそんな話題聞きたくない、声が大きい、怒鳴らないで、耳が痛い、眠くてしんどい…お願いだから寝させて…

「そしたら、その後にね、別の客が乗って来てね」

延々続く話に、「そうなんですか」「大変やったんですねえ」など相づちをうつ私。先輩記者たちから、Zさんは自分の話を聞いてもらえずにへそを曲げると、すねてややこしいという話を聞いていた。

あいさつをしない、こちらの指示を無視する、急に猛スピードを出すなど(子どもかよ)。元々の私の愛想の良さと、ややこしいことは避けたいという思いがあったのだと思う。いつも話を聞いていたらから、在職期間中にこのハイヤーの中で寝られたことは皆無だった。

今までにないしんどさ

その日は捜査員の機嫌が悪くて、朝4時台に家を出たにも関わらず、ろくに取り合ってもらえなかった。

肩を落として車に戻る。

「あかんかったんやね。次、どこ行きます?」

あかんかった、と言う言葉に胸がちくりとする。今日、私あかんかったんやー。次のこと、どうするか考える時間がほしい。寒かったから、とりあえず体を温めたい。雨は強くなっている。

「ちょっと考えます。自宅方面に戻ってください」

「雨、かなり降ってますねえ。寒かったんとちゃうの」

暖房の温度を上げてくれる。有り難い…と思ったのもつかの間、温度は30度になっていた。5分もすれば、体がほかほかしてきた。運転手の話の隙をみて、下げてもらうようお願いする。

「すいません。暖房、下げてもらえますか」

29.5度に下げてくれた。まだ暑い…。運転手は延々に話を続ける。雨、スピードの出た車内、聞きたくない会話、捜査員に会えずにうまく行かなかった自分…。

こめかみがずきずきと痛み出す。しばらくすると、車酔いみたいに吐きそうに。呼吸が苦しい。息を吸っても吸えてないみたい。目を閉じる。

「朝早かったから眠たいんやねえ。2代前の●●記者も朝掛けの帰りはよお寝てましたわ」

見られてるやん。ちょっと怖いな。あー気持ち悪い。

閉じていた目を開けると、視界が真っ暗で光が入る部分がチカチカしているような間隔。目を開けてられない。

帰宅後、コーヒーカップ状態

自宅に車が着く。地面に付けている足がふわふわ浮いているみたい…。気持ちが悪くてえづいたら胃液が出た。

ベッドに倒れ込むと、遊園地のコーヒーカップのアトラクションに乗っているみたいな感覚。ベッドが前に進みながら、くるくる回っているみたい。相変わらず、頭は痛すぎるし、目が開けてられん。

頭痛薬を飲み、4時間ほど横になっていると、次第に症状が落ち着いていった。スマホの画面を開いて、「今日休みます」の連絡ができたのは6時間後だった。

友人にこの症状を話すと、偏頭痛と言われた。ただ、職場の人が脳出血で倒れたこともあり、翌日に脳神経外科でMRIをとってもらった。

異常はなし。偏頭痛と言われた。脳神経外科のT先生は漢方の知識も豊富で、血虚の状態が著しいと言われたため、漢方薬で治療することになった。

その頃から毎日、朝起きた時から夜寝る時までずっとこめかみを締め付けられるような頭痛があるように。雨の日に車に乗ると、胸騒ぎがして過呼吸気味になるようになった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?