20歳のインターン生が記事制作コスト20%下げ、SEOパフォーマンスを向上した話
こんにちは。株式会社LANYのインターン生の前田(@MAE20020226)です!
大学3年生の20歳で、LANYに入社して4ヵ月になります。(2022年8月時点)
メディア運営をしていると、よくあるのが記事を書く「人が足りない・時間が足りない問題」。
だからといって、適当に人を入れると記事の品質が落ちたり、費用が嵩んだりと他の問題が出てきます。
予算のある大企業であれば「たくさん人を入れて、たくさんの人に記事を確認してもらって品質を上げる!」という強者の戦略が取れるかもしれません。
しかし規模が小さい会社だと強者のような戦略は取れませんし、もし強者の戦略をとったとしても、SEOは成果が出るのに時間がかかるビジネスモデルなので回収する前にキャッシュが尽きてしまうでしょう。
そこで今回は、LANYでインターンをしている僕が行った「記事改善プロジェクト」について具体的に紹介していきます。
簡単に言うと、記事改善プロジェクトとは「記事の執筆から公開までのフローを改善したプロジェクト」です。
あるメディアでこの記事改善プロジェクトを実施したところ、、、
を達成することができました。
今回の記事は下記の人におすすめです。
少しでも興味を持っていただけた方は、ぜひ一読いただきたいですm(__)m
サマリ:記事改善プロジェクトでやったことと成果
やったこと
細かい内容を含めるともっと多いですが、主にやったことは下記6つです。
成果
成果としては下記のとおり。
記事改善プロジェクトの概要
次に記事改善プロジェクトの概要を「前提・目的・概要」の3パートに分けてご紹介します。
前提
まずは、今回記事改善プロジェクトを行ったメディアと体制を下記にまとめました。
私は、2022年4月からMD(メディアの責任者みたいな)を担当しています。
売上の規模的には、めちゃくちゃ大きいメディアというわけではありません。
目的
「そもそも何故この記事改善プロジェクトを行ったのか?」ですが、具体的には下記の目的があったからです。
端的にいうと「品質UPしつつ、工数削減したい!そして他の所に頭を使いたい!」という感じです。
期間
記事改善プロジェクトを行った期間としては、入社から1ヵ月経った「4月中旬から6月中旬まで」の約2ヵ月間です。(3月中旬入社)
改善に取り組んだ背景
4月の中旬あたりから自社のMDをやらせていただきましたが、記事の執筆から公開まで色々な課題や問題点があると感じました。
具体的には次のような課題や問題点です。
それぞれサクッと解説します。
1.工数
工数に関する課題や問題点は下記2つ。
①MDのディレクション工数がかかっていた
メディアを担当するにあたって、ライター&ディレクターさんとのやり取りやFB工数に時間が取られていたんですよね。
具体的には、1記事あたり2~3時間程度です。
フルタイム(40時間)で働いているのであれば、大丈夫かもしれないですが、週20時間の出勤なので、ディレクションに「1記事で2~3時間」取られるのは結構時間的にきついです。
②記事1本の公開までのスパンも長くなっていた
記事の執筆から公開には、下記3人が関わっていたため、
誰かの返信&作業(FB)が遅れると、すべてに影響するため、記事1本の公開までのスパンも長くなってしまっていました。
記事1本の公開までのスパンが長くなることはSEO的にもあまりよろしくないことです。
公開までの時間が長いと、サイト全体のフレッシュネスの観点でSEO的に良い影響が受けられません。
2.費用
費用に関する課題は、シンプルに1記事あたりの費用が高かった(費用対効果が低かった)ことです。
具体的な費用は言えませんが、1記事に様々な人が関わっていたのもあって、高くなっていました。
3.品質
品質に関する課題や問題点は下記4つ。
①レギュレーションが整っていなかった
元々メディアにはレギュレーション(記事書くときの基準みたいなもの)はありましたが、
という問題がありました。
レギュレーションが見にくく、そもそも見られていないため「修正コストがかかる+どの文言や文章が良いのかがディレクター自身も分からない」という事態に陥ってしまっていました。
とくにレギュレーションは記事の方針(基準)を示す重要な役割を持っており、私自身は「レギュレーションの質=記事の質」になるといっても過言ではないと考えています。
②記事全体の統一感がなかった
2つ目は、メディアの記事全体の統一感がなかったことです。
これは1つ目のレギュレーションの話にも関連しますが、最も問題だったのは「ディレクターさんが3人いたこと」です。
それぞれのディレクターさんのレベルやFBの特徴が異なるため、記事内容の統一感がありませんでした。
またライターさんもディレクターさんが変わると、FBの内容も変わるため、「どれがメディア的に正しいのかわからない…」という状況になっていました。
③質があまり高くないライターさんが一定数入っていた
3つ目は、記事の品質があまり高くないライターさんが一定数入っていたこと。
自社メディアでは、すごく大きな問題になるわけではありませんが、世の中にLANYの名前で出すアウトプットとしては品質を担保したい思いがあります。
④重要記事の質があまり高くなかった
4つ目は、メディアの中でも特に重要記事(いわゆるキラーページ)の質があまり高くなかったこと。
収益の8割は重要記事(パレートの法則)に集約される場合が多いです。
なので「重要記事の質が低い=収益に大きな影響が出る」ということになってしまいます。
改めてまとめると、下記のような
様々な背景があったため、記事改善プロジェクトに着手しました。
プロジェクト全体の方針
プロジェクトを始める前に、まず以下のような全体方針を立てました。
※運用してからは③⇄④を繰り返します
施策を打っただけだと、「その施策が実際に効果があったのか」「それが最適解の施策なのか」がわかりません。
そのため「施策を考える→打つ→振り返る→改善する」というPDCAサイクルを回すことを意識しました。
プロジェクト内容・詳細
記事改善をするにあたって、工数に対して2つ、品質に対して4つの施策を行いました。
それぞれの施策の概要と意図を解説します。
①工数削減:記事公開のフローを変更する
工数を削減する1つ目の施策として「記事公開のフローを変更」を行いました。
なぜこの施策を行ったのかというと、公開フローの中でMDが関わる工程が多かったからです。(↓今までの公開フロー)
KW選定から構成・記事のFB、最終確認、公開までを担っていました。
この状況を踏まえて、記事公開までのフローの中で、減らせる部分はどこかと考えた時に「FB」と「公開」の手順だと考えました。
そこで、ライターさんやディレクターさん、MDなどのそれぞれの役割を変更し、業務サポートさん(入稿や公開などのメディア運営の作業タスクをやっていただいている方)を入れる体制にしました。
記事公開までのフローの中で、担当者ごとの役割は下記です。
こうすることによって、記事公開までのフローが下記のようになりました。(画像左が今まで、画像右が現在の公開までのフローです)
元々は、KW選定から構成・記事のFB、最終確認、公開までを担っていましたが、公開フローを改善することによって「KW選定」と「最終確認」にのみになりました。
ただ、「これってシンプルにFBの工程をしなくなってるから、品質が下がるんじゃないの?」と疑問に思う方もいるかもしれません。
品質の部分に関しては施策の③~⑥で解説しているので、そこをご覧ください><
②工数削減:よくある質問集を作成する
工数削減の2つ目の施策として「よくある質問集」を作成しました。
よくある質問集とは「記事の内容に直接的には関わらないが(レギュレーションには入れない内容)、分かっておいて欲しい内容を入れているシート」のこと。
たとえば、「執筆納期」や「記事の文字数」、「口コミの探し方」など、ライターさんからよく質問がありそうな内容についてまとめています。
※よくある質問集についてはアフィリエイターの水野さんが運営するアフィリエイト戦記の記事を参考にしました。ありがとうございます。
よくある質問集によって、得られるであろう効果は以下です。
質問の回答については、基本的にライターさんから出た質問や疑問などをディレクターさんに回答して頂いています。
③品質UP:レギュレーションを作りこむ
品質UPの1つ目の施策は「レギュレーションの作りこみ」です。
レギュレーションは記事の方針(基準)を示す重要な役割を持っており、私自身は「レギュレーションの質=記事の質」になるといっても過言ではないと考えています。
レギュレーションは具体的に下記の手順で作成しました。
上記の手順に加えて、レギュレーション作成では下記を意識しました。
すべて意識していたんですが、とくに①の「様々な人の意見を聞く」は最重要視していました。
各ディレクターさんやコンサルタントさんで、それぞれ重要視している観点が結構違うからです。
そこで下記画像のようなレギュレーションを作成しました。構造化して分けたので、以前のレギュレーションと比較してわかりやすくなりました。
レギュレーションを整えたことによって、得られるであろう効果は以下です。
明確に基準ができたことで「このメディアとしての正解はコレ」が分かりやすくなったので、ライターさんとしても書きやすく、ディレクターさんからしてもFBしやすくなったと思います。
④品質UP:ライターから専用のディレクターを育成する
品質UPの2つ目の施策は「ライターからメディア専用のディレクターを育成すること」です。
今までは「外部からディレクターを採用して、そのままディレクターにする」という工程を取っており、ディレクターさんが3人ほどいました。
ディレクターさんそれぞれレベルや特徴が異なるため、メディア全体の記事の統一感(構成の流れ、装飾、文のスタイルなど)があまりありませんでした。
そこで、外部でディレクターさんを採用するのではなく、良いライターさんを育成してディレクターにしようと考えました。
もちろん、ライターからディレクターに育てるのは簡単ではありません。
育成には時間がかかりますし、突然辞められてしまうこともありません。
ただ時間がかかったり、いなくなってしまったりするとはいえ、中長期的にはメリットしかないので、じっくり選定した上で実際に2ヵ月ほど、ライターさんとマンツーマンでやり取りを行いました。
ライターさんとやり取りでは、下記を意識しました。とくに「感謝すること」「Giveすること」はいつも頭に入れながら、やり取りしていたと思います。
そのライターさんは結果的に、6月下旬あたりからディレクター業務をやっていただいています。
これによって、得られるであろう効果は以下です。
ちなみにライターさんとの関係構築方法については、LANYのコンテンツディレクターあっささん(@assa_san)の記事が参考になるので、ぜひご一読ください。
⑤品質UP:テストライターの採用基準を作成する
品質UPの3つ目の施策は「テストライターの採用基準を作成すること」です。
今までは、テストライティングの合否の明確な基準がなかったため、質があまり高くないライターさんも一定合格していたのです。
そこで、テストライターの採用判断シートを作成しました。
採用判断シートでは「良いライターに必要なスキル」をいくつかの要素に分けて、それぞれを点数化し、定量的に合否が判断できるようにしました。
リサーチ力や構成力などのハードスキルはもちろんのこと、報連相ができている、納期が守れているなどのソフトスキルも定量化しました。
これによって、得られるであろう効果は以下です。
このメディアはテストライティングの窓口的な役割も担っているため、ここでライターさんの採用をしっかり判断することで、LANY全体の記事品質のUPにもつながります。
⑥品質UP:レベルによって担当する記事を分ける
品質UPの4つ目の施策は「レベルによって担当する記事を分けること」です。
メディアの中でも特に重要記事(いわゆるキラーページ)の質があまり高くありませんでした。
質が低くなった原因は、ライターさんのレベルをあまり把握していない状態でKW割り振りを行っていたからです。
そこで「KW難易度」と「執筆者」のレベルを3段階を下記のように分け、レベルによって担当する記事を分けました。
通常KW(記事)はライターさんに執筆して頂き、重要KW(記事)については分野の専門とSEO知識があるディレクターさんに執筆して頂いています。
これによって、得られるであろう効果は以下です。
ライターさん的にも、初めから難易度の高い記事を書いたり、FBを受けたりする必要がないため、着実にレベルアップできるようになっています。
上記6つが記事改善プロジェクトでやった施策です。次章では、このプロジェクトを実施した結果/効果をご紹介します。
結果/効果
ここまで長々とプロジェクトの詳細をご紹介しました。
ここではプロジェクトを実施したことによる効果・結果を下記3つの観点からご共有します。
1.工数
①MD工数/週
まずは、MDのディレクション工数について。
と、1記事あたり最大2時間ほどディレクション工数を削減できました。
ディレクション工数が減ることで、下記の業務に時間がさけるようになりました。
メディアの分析&施策方針の策定
マニュアルの作成
「どこを攻めるべきか・攻めないべきか」の分析やより工数を削減するための改善業務に時間を裂けるようになったのは非常に大きいです。
②新規記事公開数/週
次は、新規記事公開数について。
と、週当たりの公開本数が3本ほど増えました。
出せば出すほど良いというわけではありませんが、継続的に記事を出す体制が構築できたことで、SEOの観点でもプラスになりました。
2.費用
具体的な費用は言えませんが、改善率としては83%で、約20%の費用を削減できました。
3.品質
品質については、beforeとafterでご紹介するのが難しいので「定量」と「定性」の観点からお伝えします。
①定量
KWごとに上位を取れる難易度は変わりますが、
6月に出した20記事の内12記事が10位以内で、5位以内の記事も5記事ほどあります。
②定性
6月に出したメディアの記事全体の変わったポイントを簡単に箇条書きでご紹介します。
全体振り返り
前章では、プロジェクト全体を通して出た結果/効果をご紹介しました。
ここでは、プロジェクト全体をKPTで振り返りました。
※KPT…Keep・Problem・Tryの3つからなる振り返りのフレームワーク
Keep(つづきを実行)
①影響範囲を広く持つこと
担当しているメディアだけで完結せずに「会社(LANY)全体で考えた時にも効果があるか?どうなるか?」という考えを持って施策を考えることで、結果的に大きなインパクトが得られる。
②中長期的な視点を持つこと
中~長期的に楽になるために、短~中期的には苦労してでも仕組化&育成はすべきである。
Problem(やり直し)
①改善する仕組みまで考えきれていないこと
運用・実施した後に、その施策を改善していく仕組みが考えきれていなかった。
②誰でもできるように標準化/横展開ができていないこと
全体でできるように考えて実行したが、それを他のメディアなどに横展開ができていなかった。
Try
①月1回社内アンケートを実施する
運用しているマニュアルやシート、体制などの悩みを抽出する。
それを元に各種シートを修正する。(実施済み)
②より影響範囲を広く深く考える
LANY全体という視点を持ちつつ、「社員・インターン生のこの業務ってこうすれば巻き取れるのでは?」という思考を持つ。
まとめ
記事改善プロジェクトの詳細について紹介させていただきました。
改めてご紹介すると下記です。
記事改善のアプローチは、今回のが決して完璧!というわけではないと思いますし、他にもたくさんあると思います。
だからといって、何もやらずに今まで通りやるよりは一つでも何か改善してみる・運用してみるという姿勢が大事だと感じました。
「課題を設定する→問題点を特定する→原因を把握する→施策を考える→実行する」のが綺麗だと思いますが、一旦「実行してみる」という考えもいいのかなと!
また、つらつらと自分の手柄のように偉そうに書きましたが、決して自分だけの力ではありませんし、まだまだ改善点もたくさんあります。
実際、Problemの所でも書きましたが、改善する仕組みや横展開まではできてませんし、たくさんFBも貰いました。
総じて、LANYの社員さんやコンサルタント、インターン生、ライターさん、ディレクターさんのおかげで色んなことをやりきれました。(ありがとうございます!!)
ここまで読んでいただきありがとうございます。これうちでもできそうだなと思ったら、ぜひ取り入れてみてください><
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