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クロネコヤマトのロゴ・ブランディングが大成功である理由
数日前、クロネコヤマトのロゴが新しくなるというニュースが話題になっていましたね。1957年の制定以来、初のデザイン変更だそうです。
あの日本デザインセンターの原 研哉さんが関わっているので、ファンの私はもう無条件に大絶賛なのですが
ネット上で「猫が歩いていないじゃん!立ち止まってるじゃん!」という意見を見たときは、少し考えさせられました。
リブランディングに関する公式サイトはこちら
近年大企業のリブランディングが続いていますが、デザイン業界以外でも大きな話題となっていることから、デザインの目に見える部分の重要性と責任を、あらためて感じますね。
そんなわけで今回は、ヤマトのロゴ・リブラディングが成功する理由を、こちらの記事「クライアントのロゴをデザインするときに、やってはいけない10の間違い」を元に考察します。
1.分析からはじめる
着手する前に、会社自身のことや競合のこと、顧客のこと、自分たちが期待されていることをリサーチします。
大きな企業ですから相当な調査フェーズがあったことでしょう。何を変えるべきか・変えないべきかを決めるためには、自社や競合の分析が鍵になるからです。
また、変更時に大きな反響が起きることも、過去の例から予想済みでしょう(たとえば、スターバックス、Instagram、MasterCardなど)
2.トレンドに流されないこと
ロゴは時代を超えて使用されるため、一貫していることが重要です。
今回のリブラディングでロゴはよりシンプルになり、一見すると現在のトレンドに従っているようにも見えますね。
こちらは後述しますが、重要な理由があります。
3.タイポグラフィはカスタマイズすること
目立つロゴは、同業他社のロゴと比べてユニークである必要があります。
ロゴのフォントにはカーニングや文字間隔などの変更や、個々の文字の形状の変更などを行い、ブランドの雰囲気やロゴの目的に合うようにカスタマイズします。
「ヤマト運輸」も可読性が高く、どこか可愛いのにしっかりと骨のあるタイポグラフィですね。
なんとすべて専用のロゴタイプを開発したそうです。
4.独自性がある
丸などの当たり障りのないモチーフでは、丸を含む他の何百ものロゴから目立つようにはなりません。丸をユニークに見せることは可能ですが、多くの時間とスキルが必要です。
定型化したスタイリングではなく、認識でき、他にないアイデアが必要です。
ネコ自体は当たり障りのないモチーフですが、子猫をくわえている・左方向に向いているなどの表現によって、他にない独自性のあるロゴがすでに成立していました。
そこからあえて変更する必要はなく、既存の独自性をさらにアップデートしたことがわかります。
今回新たに追加されたアドバンスマークも賛否両論ありますが、ネコというモチーフをユニークに表現しつつ、新しいことへの挑戦というメッセージ性があらわれたロゴだと思います。
5.抽象的すぎないこと
抽象的な他にないモチーフは人目を引く可能性がありますが、それが何であるかが伝わらないものである場合、ブランドのメッセージも伝わりません。
ロゴの目的は芸術的であることではなく、ブランドのメッセージと位置付けを強化することです。
「ネコが子猫を運んでいる」ことが明確にわかるスタイルですし、大事に運んでくれそうですね。
6.複雑でないこと
ロゴが複雑な場合、一目で認識しにくくなり、拡張性が低下し、Webサイトや名刺などの他のデザインに組み込むことが難しくなる可能性があります。
ロゴは、絶対に必要なものよりも複雑であってはなりません。
メッセージを明確に保ちながら、過度に複雑なロゴから何を削除できるかを検討してください。
実際に現在のロゴが配置されている画面を確認すると一目瞭然ですが、親猫と子猫の白のアウトラインは見えませんし、歩いている足はピクセルが潰れて黒い塊に見えますね。
近年はスマートフォンなどのデジタル上での使用が、ロゴブランディングに大きな影響を与えていることはもう言うまでもありません。
ロゴがシンプルになっていく流れは、トレンド という言葉で一括りにはできないのです。
ですから、親猫と子猫の白のアウトラインは統合し、足を減らしながらも元のプロポーションを維持したまま最も美しいスタイルを追求した今回のロゴは、限りなく美しいと言えるのではないでしょうか。
7.色や効果に依存しない
ロゴはほとんどの場合カラーで表示されますが、単色で使用する場合もあります。
色やグラデーションなどに強く依存している場合、モノクロにうまく変換されるロゴと比較して、すぐに不利になります。
色と効果はロゴのメッセージを強調するために使用できますが、メッセージを配信するための主要な方法として使用するべきではありません。
もともと黄と緑のカラーを使用していましたが、今回の刷新でメインカラーは黄色にフォーカスされ、あらゆる場面で統一された使いやすいロゴになりました。
8.クライアントに多くのオプションを与えない
ロゴをデザインするとき、プロセスの開始時にクライアントに複数のオプションを提示することができます。
あまりにも多くのオプションがあなたのクライアントを圧倒する可能性がありますので、2つまたは最大3つの初期ロゴデザインコンセプトに落とし込む必要があります。
一部のロゴデザイナーは、1つのオプションのみを提示し、この1つのソリューションに全力を注ぐことさえ行っています。
1つのロゴにメッセージを込めすぎてはならない、ということから、
日本人の共有財産である「クロネコマーク」を洗練させたメインロゴと、
先端技術でひらく新事業や、既成概念にとらわれない物流プラットフォームを目指すということに特化させたアドバンスマーク
それぞれがひとつのオプションで形成されていることがわかります。
9.ロゴがいつも最適化されている
ロゴはさまざまなサイズで使用するために拡大縮小する必要があるため、ロゴのデザインは順応性が高い必要があります。
名刺、梱包資材、トラックなどどこでもロゴが生き生きしており、さまざまなサイズに適応できるよう設計されていることが一目瞭然です。
画像はからこちらのサイトから引用
10.ブランドガイドラインを作成する
ブランドガイドラインは、ロゴデザインパッケージの重要な部分です。
これらのガイドラインにより、将来のデザインおよびブランディングプロジェクトでロゴを使用する人は誰でも、ロゴの実装方法を正確に知ることができます。
ブランドガイドラインには、パディングとマージン、正確な色と書体、ロゴの使用禁止方法、適切な使用法に関する同様の情報などを含めることができます。
現在ブランドガイドラインを公開しているサービスもありますが、ヤマト運輸のブランドガイドラインも、それら同様に作成されていると思います。
ヤマト運輸のブランドガイドラインは現在公開されていませんが、公開されたら追記します。
まとめ
「クライアントのロゴをデザインするときに、やってはいけない10の間違い」を元に、ヤマト運輸のロゴ・リブランディングが成功すると思う理由を書きましたが、いかがでしたでしょうか。
成功する理由・成功しない理由など、みなさんがヤマト運輸のロゴ・リブランディングについて考えることがありましたら、ぜひコメントください。
ところで、ネット上で「猫が歩いていないじゃん!立ち止まってるじゃん!」と言われていましたが、コンセプトビデオの中ではネコが歩いていました!こういった展開方法も、現代ならではですね。
引用
ヤマトグループ https://www.yamato-hd.co.jp/pr/logo2021/
ヤマト運輸 https://www.kuronekoyamato.co.jp/ytc/customer/
日本デザインセンター https://www.ndc.co.jp/hara/news/
Designing a logo for a client? Don't make these 10 mistakes
https://dribbble.com/stories/2021/03/02/how-to-logo-design-for-clients?ref=webdesignernews.com
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