内定者インターンが新規事業を提案するまで#1
(3879文字/10分目安)
はじめに
まず初めに、このnoteをご拝読いただいている、読者様に心より感謝申し上げると共に、#0から更新から3週間ほど経過してしまったことお詫び申し上げます。
先日、会社の先輩である堀さんとランチに行った際に
「新規事業のノート、#0までしか出てないよね?笑」
と指摘されて、そういえば#1すら出していないことを思い出し、大至急、本noteの作成に取り掛かりました。
前回の#0では僕が新規事業mtgを前田さんに受けていただくまでの流れを書かせていただきましたが、今回は何1つノウハウを持たない僕が、どのようにノウハウを集め、事業仮説の作成にあたったのか。0から1へのステップアップを試みた、その過程を書かせていただきます。
◎0からのスタート
勢いで新規事業の提案をすると言ってはみたものの、事業を立ち上げた経験がない僕には、何をどう始めればいいのか皆目見当がつきませんでした。右も左もわからない状態です。
「さて、何から手をつければいいのか?」
走り方すらわからない僕は、まずは思いつく限りのアイデアを出すことにしました。「サブスク型ローカルグルメサービス」「家庭用3Dプリンターデータ販売」「割り箸の包み広告」「除光液で落ちるタトゥーシール」……などなど、実現可否は問わず、とにかくメモ帳に書き殴りました。
・頼れる先輩
アイデアは出したものの、具体的な進め方は依然としてわからないまま。そんな僕には、ひとつだけ心当たりがありました。それが吉澤先輩(以下、豪さんと呼称)です。豪さんは僕の部署の先輩で、デスクにはいつも新規事業に関する本が並んでいました。豪さんならならきっと、何かアドバイスをくれるはず。そう思った僕は思い切って声をかけることにしました。
「豪さん、実は再来週に新規事業のミーティングが前田さんとあるんです。もしよろしければ、相談に乗っていただけませんか?」
「何それ!面白そうじゃん!いくらでも時間取るよ!」
豪さんはいつもの笑顔と共に、二つ返事で引き受けてくれました。こうして、僕の初めての壁打ちが始まることになったのです。
・初めての壁打ち
壁打ちが始まると、僕はメモ帳に書き出したアイデアを豪さんに見せました。「このアイデアはこういうもので、こういった可能性が広がります」「次のアイデアは…」と、次々に説明を続ける僕。しかし、豪さんが発したのは意外にもシンプルな質問でした。
「で、ターゲットは誰なの?」
「・・・」
僕は沈黙しました。当たり前の質問に答えられませんでした。僕は、自分の独創的なアイデアを見せてやろうという気持ちが先行し、肝心の「ビジネスの基本」という観点を完全に見落としていたのです。
「ランディのアイデアは、全部プロダクトアウトなんだけど、一度マーケットインで考えてみようか?」
豪さんは、優しく続けました。プロダクトアウトとは、作りたいものを先に考え、それに合う市場を後から探すアプローチ。一方、マーケットインは、市場や顧客のニーズを先に把握し、それに応える形で製品やサービスを提供するアプローチです。豪さんの説明を聞くうちに、僕がこれまで進めていた方向性が自己顕示に上塗られた、独りよがりなものだったことに気がつきました。
「まずは、ターゲットを明確にして、その人たちに本当に必要とされるものを考えてみよう。そこから新しいアイデアが出てくるかもしれないよ」
豪さんのアドバイスを受け、僕はマーケットインの視点で事業案を準備するように指針を決めました。
・新たな出会い
翌日、僕はSP局の局長である博都さんと会社近くのカフェでランチをしていました。その時、博都さんに教えていただいたのがカフェの向かいに構える「青山ブックセンター」という本屋でした。青山という土地柄のからか、アートやビジネスに特化した専門書が揃う店だそうで、僕も興味を引かれ、次の日に訪れてみました。店内に入り、すぐにビジネスコーナーを見つけると、1冊の本が目に留まりました。
『新規事業の実践論』という本でした。この本の著者、麻生要一さんは、元々リクルートで2000以上の新規事業プロジェクトに携わった経験を持つ人物。事業を立ち上げるためのノウハウと、既存事業に昇華するまでの各フェーズごとの具体的なToDoが詳しく解説されています。まさに僕が求めていた本でした。パラパラっとページをめくり、すぐに購入を決め、書店を後にしました。こうして僕は教科書を入手し、0だったノウハウを1に引き上げる準備が整いました。
◎0から1へ
○本から得た知見
・6つのステージ
早速、購入した「教科書」を読み進めていくと、新規事業の種が既存事業になるまでには6つのフェーズと各ステージごとにやるべき要素が存在し、これ徹底して守ることが大切だということを学びました。
僕は教科書に則り、まずは事業仮説を立てて、その事業仮説を検証することに注力して、その結果を前田さんに持っていってフィードバックを頂こうと考えました。
・顧客のもとに300回行け!
「教科書」によると、とにかく事業仮説を作り検証する初期段階において一番大事であるのは、実際の顧客と対話をすること。
・果たして顧客は本当にその課題を持っているのか
・顧客はその課題を解決するソリューションにお金を払ってくれるのか
とにかく実際に顧客のもとに足を運んでフィードバックをもらい、事業案をブラッシュアップする。このサイクルを300回まわせたチームの多くが、6段階中の事業仮説作成段階である、Entry期、MVP期を脱し、実際にプロダクトを売り出し検証をするSEED期に移行できたといいます。
とにかく顧客目線での課題を見つけ出さなければ!mtgの日程が迫り焦る僕は、とにかく顧客取材を行うことを最優先タスクに設定しました。
○調査開始
・ペルソナ設定
早速僕は、顧客調査に取り掛かることを決めました。そのために重要なのは、顧客設定を細かく行うこと。具体的な事業案がまだ決まっていない段階でしたが、ペルソナを設定することで、ターゲットとなる顧客を明確にすることが必要だと感じました。
このとき、僕は以前に読んだ2つの記事を思い出しました。1つは、ロフトの元社長が高級老人ホームに入居したものの、つまらなくて2年で退去したという内容と、もう1つには、認知症患者の金融資産が2030年には230兆円に達する見込みがあるという内容のものでした。このことから、僕はお金の使い道に困っている高齢者が多くいるのではないか、という仮説を漠然と立てていました。加えて、日本は世界トップの超高齢化社会、市場としては拡大する一方弾と考えました。そこで僕はペルソナを、元々ビジネスで活躍してきて高級老人ホームに入居する、生きがいの見つからない70代以上の富裕層高齢者に設定しました。
・最初の挫折
ターゲットが決まれば、あとは調査を始めるだけ…そう思っていたのですが、実際に調査を進めると、ターゲットであるハイソなお父様方を見つけ出すことが予想以上に難航しました。まず、高級老人ホームに問い合わせをしてみましたが、プライバシーの観点から情報提供を断られ、知り合いの祖父母を当たってみても、簡単にアポを取ることはできませんでした。
そこで、僕は休日に銀座へ足を運び、高齢者を対象にインタビューを行うことにしました。目的としては、対象者が普段どんなことに困っているのか、その課題に対してどんなサービスがあれば助かるのかを、属性と共に聞き出すことでした。しかし、実際にインタビューを始めると、返ってきたのは予想外の答えばかり。
「最近困ったこと?うーん、老後生活のお金が心配だね…」
「年金が足りないよ」
僕は銀座に行けば富裕層の高齢者がたくさんいると思い込んでいましたが、実際にはその予想は外れ、富裕層は想像以上に少ないことを痛感し、
机上理論と現場の間には乖離があることをそこから学びました。
・作戦変更
「顧客のもとに300回行け!」というスローガンのもと、調査を進めていた僕ですが、現状のままでは仮説を立て、ターゲットにフィードバックをもらうまでに1サイクルの時間がかかりすぎると感じ、調査しやすいターゲットにシフトすることを決めました。
そこで、サイクルを最短にできるターゲットとして思い浮かんだのが格闘技関係者でした。僕はプロ格闘家として活動しており、週に5、6日はジムに通っています。さらに、格闘技業界にはある程度のコネクションもあるため、インタビューを他のターゲットに比べて格段にしやすいと考えました。こうして、ターゲットを高齢者から格闘技関係者へと切り替え、新たな事業仮説を作ることに決めたのでした(続く)
次回予告
ターゲットを格闘技関係者に変更し、いよいよ調査を開始。実際に行ったアンケート調査から得た結果を基に、具体的な事業案を作成します。そして、その案を前田さんにプレゼンし、フィードバックをもらうまでのプロセスをお届けします。次回、事業案がどのように形作られていくのか、どうぞお楽しみに!
おわりに
最後までご拝読いただき、ありがとうございました!毎回、noteを投稿するたびにフィードバックをいただけることが、非常に大きな励みになっています。
もっとこうした方が良い
こういうところが良かった
こんなテーマで書いてみては?
など、ご意見、ご感想をお待ちしております!では、また次回の投稿でお会いしましょう!
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