ここが私のターニングポイント #6 小西俐舞ナタリー
身近な人のターニングポイントについてリレー形式でバトンを渡していく本企画。
今回はVOGUE、ELLEなどモード誌に寄稿する美容家・エディターの小西俐舞ナタリーさん。『自分らしい』生き方働き方を見つけるために模索していた頃、背中を教えてくれたのは周囲の勧めと、東日本大震災。金銭面での問題やキャリアへの不安を払拭した方法を、具体的に教えてくれました。
◆Profile◆
小西 俐舞 ナタリー(@nathaliesbeautybook)/美容家・エディター/30代拠点:東京
Q1:あなたの人生の『ターニングポイント』は何歳頃?
「27歳。」
Q2『ターニングポイント』を迎えたきっかけは?
「当時は企業で広報のような仕事をしていましたが、キャリアプランも描けておらず、自分の本当に『好き』なことかと疑問を持っていました。年齢的に、昔からの友人が結婚、出産という経験のなかで職場復帰を果たせない人がほとんどという現実を目の当たりにした際に、これからの働き方やどのような家族を作っていきたいのかを考えるようになりました。本人に働く気があっても保育園問題や職場の労働時間の問題等で止むを得ず退職する友人を見て不安を覚える一方で、自宅サロンを開くなどの起業を試みる人もおり、その前向きな姿勢に刺激を受けました。今後のために「手に職をつけよう」と思い色々調べるなか、小さい頃から文章を書くことが大好きだったということに行き着きました。そこで周囲に相談したところ『美容ライター』という仕事をすすめられ、興味を持ったのがきっかけです。」
Q3:転身を決意した理由は?
「全く業界が違うため、ライターと編集の違いも分からなければ、どのようにして雑誌が作られるのかも知らない状況。でも、知人の紹介により美容雑誌の編集部とご縁が繋がりました。時効だと思うので言いますが、会社が終わってから夜の編集部に駆けつけて1から先輩アシスタントに色々教えて貰うというWワークが半年ほど続いたころ、東日本大震災が起きました。これを機に、道は険しくとも好きな仕事をしようと心に決め、2011年7月からフリーランスに転身しました。」
Q4:『ターニングポイント』で不安は感じた?
「今でこそ『ライター』という肩書きはWeb媒体の普及によって増えましたが、当時はアシスタントとして3年以上経験を積み、実力と運があれば雑誌の限られたページから暖簾分けをして貰えるといった狭き門の時代。現場は『プラダを着た悪魔』以上に怖かったです(笑)。他のアシスタントは20代前半ということもあり、年齢的な焦りと果たして本当にライターになれるのかという不安に押しつぶされそうな日々が続きました。 もう一つは金銭的な問題。フリーになる少し前から都内のマンションから家賃が2分の1の郊外マンションに引越しをしましたが、それでもアシスタントは時給数百円なので貯金は減るばかり。」
Q5:その不安をどのように乗り越えた?
「大手の美容媒体だったので全ての最新情報は編集部に集まってきたので来たものは必ず暗記すること、新作コスメを試したりして成分などの基礎知識を覚えたり自分なりの感想をひとつでも多くストックしようとメモしていました。また、編集部と取引がある企業と担当者の顔と名前は覚える、活躍している美容家さんの成功の秘訣を自分なりに考えたりと、ビジネス書にはない、現場でしか経験でいないことをひとつでも吸収しようと努めました。 そして最初の3年間は臆さずに会いたい人がいたら自分の思いを述べた上でアポイントを取ったりご紹介いただくなど、自分が今いる世界で留まらないようにしていました。悩んでいるヒマがあったら走りながら考える、とにかく動く。そんな気持ちを燃料に乗り越えました。」
Q6:『ターニングポイント』で悩みや迷いが生じた時、どのように決断を下した?
「フリーランスだと仕事において自由度が高い分、様々なお話をいただく機会も多いです。選択に迷ったときは、もしそれが叶ったときに『凄いと思える自分』が描ける方を必ず選ぶようにしています。そんな経緯もあり、現在は編集に留まらずラジオのパーソナリティという機会に恵まれました。」
Q7:『ターニングポイント』を過ぎ、最も得た学びとは?
「毎月の就労時間が250時間越えなど、かなり無茶もしましたがこの時期にできることは全てやり切ったので自信を持って次のステップに行くことができました。フリーランスとして仕事をしていくには自信を持って自分の仕事内容や得意なこと、そして情熱を注いでいることについて話す必要があると感じています。そのうえで自分が身を持って経験したことや感じたことは絶対に裏切らないと学びました。」
Q8:今後の展望は?
「編集業はもちろんですが、今後は現在行っているラジオのパーソナリティ業や雑誌連載などを通じて日本の最新美容情報やフランスのライフスタイルを伝える分野の仕事を厚くすることを目指しています。幼い頃からの夢だった『本を出版すること』も近々叶えたいですね。」
クリエイティブプロデューサーMutsumiのロサンゼルスでの活動を辛酸なめ子さんがnoteとハフポストで連載中です。そちらもよろしくおねがいします。 https://note.mu/nameko_la