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【コラム】メディアと冤罪 - 袴田巌さん再審無罪に関連して

 袴田巌さんに再審無罪判決が出ました。個人的な新聞記者経験からの考えで、またこの件に限りませんが、冤罪事件の責任はメディアにもあると思っています。事件事故記事の場合、メディアは警察記者クラブを通じてFAXで送られてくる広報をまず土台にして、記事に必要な情報を速報性重視で集めていきます。そこに警察広報を疑うという視点はまずありません。

 逮捕段階では無罪の可能性があります。裁判で真実を明らかにして、判決が確定するまでは一般市民です。しかし、メディアは発生時に大々的に報じて、逮捕された人物が犯人だとする世論を作り上げてしまいます。

 メディアにはメディアで、警察発表を鵜呑みにしない独立した視点を持つことや、裁判の過程を細かく監視することが求められます。メディアは立法や行政には厳しい視線を向けていますが、司法に関してはそこまでではないと感じています。三権すべてに独自の光を当ててこそ、メディアがもつ民主性が意義を持つのです。

追記
毎日新聞は袴田巌さん再審無罪判決を受け、捜査当局の情報に傾斜した袴田さんを犯人と決めつけるような当時の報道を反省し、袴田さんや家族、関係者の名誉を傷つけたとして編集局長の名前で謝罪文を掲載しています。また、刑事手続のチェックなどの役目も重視するとしています。

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