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プレイ初日でワールド完成!想像と創造が直結 -NeosVRで感じた自由の本質

 8月18日の夜、Neos VRに上陸した。初日からフレンドが集まり、お祭り騒ぎでワールドを作成。VR空間にいながら、その場で自分で自分のアバターを調整したり、ワールドの物体を自由に改造したり、世界の構造に介入できる想像と創造が直結した自由そのものの空間であった。

 Neos VRは、2014年にチェコのSolirax社が開発したVR空間を複数のユーザーで交流しながら共有できるサービス。VRChatのようにアバターを使って交流できる。特徴は、VR空間の構造を直接操作することで、VR空間の中で直観的にアバターやワールドを創ったり、改造したり、共有できるところだ。

▲Neos VRに上陸する蘭茶みすみ

 ログインして、誰でも入って来られるパブリックのチュートリアル(初心者向け説明)ワールドに入り、待ち合わせよりも早かったので解説映像を見ながら一通りの操作を試してみる。初心者が入ってくるとユーザーのコミュニティに通知される仕組みになっているらしく、数分で何人かの日本人ユーザーが現れて説明してくれた。

 約束していたVIVEアンバサダーのフリックさんと合流して、調整してもらった自分のアバターを受け取る。目の前にアバターが現れて、ビームを向けて憑依するイメージだ。意識はそのままに身体だけ乗り移る不思議な感覚。身体はこれくらいラフでいいんだよ。

 アバターを自分の肉体に装着したトラッカー(位置センサー)と合わせるキャリブレーションを行う。リアルタイムで自分の動きを反映する自分のアバターのミニチュアが現れ、腰の位置や身長を調整してぴったりと合わせる。自分自身のアバターの姿勢も同時に修正され、肉体とぴったりにフィットする。このままアバターを保存するとキャリブレーション情報も一緒に保存され、次回以降もそのまま装着できる。

▲フリックさん㊨にさまざまな操作を教わる

 「何でもできるNeos」を体験すべく、フリックさんのワールドに連れて行ってもらい、操作を教えてもらう。まずは私がVTuberということで配信の仕方。カメラはズームができるだけでなく、何か所かに固定する場所を設定し、速度を変えながら次々とアングルを変えることができる。踊りながら、歌いながら、喋りながら、自然なムーブに組み込めば、リアルタイムに自力でアングルを変えることができるのだ。こんなに自由度が高かったら全ての映像制作がNeosで完結してしまいそうだ。

▲クリエイターツールを腕に装着

 さまざまな物体をいじるために、腕にクリエイターツールを装着。フリックさんが腕につけていたクリエイターツールをそのまま複製し、私の身体にビームを当てる。パネルを開いて私の内部構造にクリエイターツールのオブジェクトを組み込む。なんと、私の身体を含めたこの世界全ての構造がinspectorパネルに表示され、そこから世界の全てを弄ることが可能なようだ。ついでに自分のアバターの髪色が少し明るかったので、自分で自分にビームを当てて、シェーダーを若干暗く調整。「これが、存在の自己決定権…!!!」。改造人間になったような気分だ。

▲この世界の構造が表示されたパネル。右は私の中身

 Neos VRの地味にいいところは、全ての概念を空間の中で共有できるため、意思疎通が早いことだ。わからないことがあればその場で画面を共有して写真にして、直接指をさしてもらいながら説明してもらえる。自力でできないことは直接手を借りて手伝ってもらえたり、物体をその場でポンと出してもらえたりする。視聴覚以外の具体的な情報のやりとりが生じることで、本質的にユーザー同士がその場を現実として共有しているのだ。

▲浮いてる時計を動かして遊んでみる

 フリックさんの部屋の物体を弄ってみる。浮いている時計にビームを当てれば、そのまま移動することができる。近くに引き寄せて当たり判定を追加すれば壁のように通り抜けられなくなるし、色だって変えられる。テクスチャを抽出して好きな模様に変えることも簡単だ。

▲八ヶ岳山頂で撮影したパノラマ写真をスカイボックスに設定する

 フリックさんに教わりながらワールドを作ってみる。「光あれ」と光を調整。スカイボックスに自分で撮影した八ヶ岳赤岳山頂のパノラマ写真を設定する。デスクトップに戻り、自分のPCのフォルダを開くと、ドラッグアンドドロップでポイっと画像などのファイルをNeos VRに直接投入することができる。そのままクリエイターツールを指にはめて、ビームを当ててテクスチャを抽出すれば、あっという間に八ヶ岳登頂だ。

▲フレンドみんなでお祭り騒ぎの天地創造

 やがてフリックさんのフレンドさんが続々と集まってくる。みんなが雲や岩、木などを作るツールを持ちより、空中にそれぞれのオブジェクトを描いていく。「雲を生やそう!」「木を生やそう!」「木があるなら根っこだって生やそう!」。ペンを走らせると雲はもくもくと立ち上がり、剣を振れば木は「ツリー!!!!!」と叫びながらビヨンっと生える。細かいところは自分自身を小さく、巨大なものは巨大化して、高いところは空を飛びながらノリノリで世界を創り上げていく。鉾で海面をぐちゃぐちゃしていたイザナギとイザナミはこんな気分だったんだろうなあ。頭の中にスカイツリーを作る巨大な初音ミクの歌「タイムマシン」が流れる。

▲あっという間にワールド完成。いきなりパブリック公開

 1時間足らずで、Unityみたいな空しかなかった虚無の空間には木々が生い茂り、素敵なお茶セットがあり、自然の空にネオンが輝くちょっとサイバーな大自然に変化を遂げていた。一通りワールドが形になって、みんなが一息ついたところで、さっそくパブリック公開。フリックさんがワールドを凝縮した球体をワールドハブに登録する儀式を行い、「サイバー八ヶ岳」はNeosの大宇宙に息づいた。

▲続々と集まって一緒にワールドを作ったフレンドの皆さん

 自分の身体を含めた万物を操作できたNeos VRでの強烈な体験と感動は、私に「自由とは何か?」という本質的な問いと一つのヒントを投げかけた。私は小学生のころ、庭に土や石を使って「世界」を作るのが好きで、そこに紙で作ったオリジナルキャラクターの人形を動かし、「生活」する遊びをずっとしていた。VTuberを始めたきっかけも「自分の世界を創って、自分のキャラクターとして存在して生活したいなあ」という素朴な夢が始まりだ。しかし、今までのVRではコンテンツを作る際、高度で複雑な操作が必要だったため、視覚的で直観的な操作しかできない私の発達特性では自由に創造することは難しかった。VR空間の中で直観的に世界を構築できるNeos VRは、私のような想像を創造にできなくて悶々としている人間にとってはぴったりのプラットホームかもしれない。

 そして自由とは、想像と創造の間にあるさまざまな面倒なノイズを極限にまで除去する概念だと感じた。まだまだ世界には、想像と創造の間に、肉体の不便や社会問題、技術的課題などさまざまなノイズが存在しており、我々人類を常に苦しめている。VR空間での自由も、物質空間での自由も、科学、技術、人文的手段によって多くの人間が創造し、さまざまなノイズを修正し、道を築いてきた結果だろう。多くの苦労があっただろうが、そのおかげで現在の我々はある程度世界をカスタムして楽しく創造することができている。そんな自由の高速道路を突っ走り、いろいろ作る凄い人たちの背中を仰ぎながら、この世界を楽しんでいこうと思う。

 やりたいことは無限に湧く。自分の配信用ワールドを作ってみたいし、それを見せながら配信したい。UnityとBlenderが苦手で放置していたフォトグラメトリや立体地図でも遊びたい。MVとかも作ってみたい。わくわく。

 アバターのセットアップと案内をしてくださったフリックさん、誘ってくださった甘野氷さん、たびたびアドバイスくださったオレンジさん、Neosという沼に引き寄せたバーチャル美少女ねむちゃん、一緒に遊んだり色々教えてくださったりしたフレンドの皆さん、本当にありがとうございます。これからもよろしくお願いいたします!

 そして最後まで読んでくださった皆さん、Neosはいいぞ。一緒に遊ぼう。

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