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2月のおすすめ(随時追加)

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    TAKE NOTES!--メモで、あなただけのアウトプットが自然にできるようになる(ズンク・アーレンス/二木 夢子)

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    育児は仕事の役に立つ(中原淳/浜屋祐子)

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    往復書簡 限界から始まる(上野 千鶴子/鈴木 涼美)

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    日本語がうまいね

    2008年 華子 #レイシャル・ハラスメント  日本語がうまいね 「ありがとう」 「いえいえ、ここを過ぎればゴールまでもう少しです!」 「わぁー、よかった!」 頑張ったかいがあったね、ビールが美味しいわよと、かつての女学生たちが歓声をあげる。ユイにはまぶしく思える。青いパーカーのポケットから、小銭入れが落ちるのが見えて、ハナはとっさに声をかける。 「あ!ありがとう!!あなたたち、そのジャージは西高?」 「はい!」 「あらぁ、私、卒業生なの。うちの娘たちも西高のボランテ

    日本語がうまいね

    これぐらいのことで

    2013年 上村明佳里(仮名) #PTSD その封筒は、今秋も上村明佳里の元に届いた。明佳里の母はそれが明佳里の所属する社会人サークルの会報誌で、毎号娘が楽しみに読んでいることを知っている。だから、出勤前であっても他の郵便物と混ざらぬように、わざわざ声をかける。 「今日は遅くなるからね。勝手に食べてて。それと、あんたに来ていたわよ、封筒」 一瞬、明佳里の顔が強張った気がしたが、もう時間がない。就活後の疲れからか、このところ、娘の体調不調が続いていることが気になりつつも、

    これぐらいのことで

    気が利かないと嫁の貰い手がないぞ

    〇〇年 高橋優子 #ティアラ・シンドローム 日が随分長くなったとはいえ、北向きの給湯室はすでに薄暗いから嫌いだと優子は思う。 案の定、給湯室の小窓から見える空の一番星は、流し台を占有する灰皿を弱々しく照らしていく。見慣れた光景だから、顔には出さない。でも、7cmのハイヒールに押し込んだ脚先は正直に痛みを訴える。 経費の無駄遣いだから、これぐらいの明るさであれば電気はつけない。優子なりの矜持でもあるから、手探りで片づけていく。もう何年もたつのでなれたものだ。 それでも、明

    気が利かないと嫁の貰い手がないぞ

    産むかどうかは許可をもらって

    2018年残暑 鈴木みさき #リプロダクティブ・ヘルス・ライツ #学習性無力感 蝉の声がアスファルトから立ち上る熱風を煽っているみたいだ。陽炎に阻まれるように、みさきの足取りは重い。腹に鉛の塊を抱えているように、前屈みになりながら紫外線を一身に受けて引きずるように歩く。赤みのうるさいのぼりが、風に煽られて、みさきのシャツに無遠慮にぶつかってくるが、手で払う余裕などない。 遅い歩みとは裏腹に、脳内では必死に頭を回転させている。何度もまだ変化のない腹をさする。 「うまく伝えな

    産むかどうかは許可をもらって

    すごくいい風景でした

    すごくいい風景でした