記事一覧
日本語がうまいね
2008年 華子 #レイシャル・ハラスメント
日本語がうまいね
「ありがとう」
「いえいえ、ここを過ぎればゴールまでもう少しです!」
「わぁー、よかった!」
頑張ったかいがあったね、ビールが美味しいわよと、かつての女学生たちが歓声をあげる。ユイにはまぶしく思える。青いパーカーのポケットから、小銭入れが落ちるのが見えて、ハナはとっさに声をかける。
「あ!ありがとう!!あなたたち、そのジャー
気が利かないと嫁の貰い手がないぞ
〇〇年 高橋優子 #ティアラ・シンドローム
日が随分長くなったとはいえ、北向きの給湯室はすでに薄暗いから嫌いだと優子は思う。
案の定、給湯室の小窓から見える空の一番星は、流し台を占有する灰皿を弱々しく照らしていく。見慣れた光景だから、顔には出さない。でも、7cmのハイヒールに押し込んだ脚先は正直に痛みを訴える。
経費の無駄遣いだから、これぐらいの明るさであれば電気はつけない。優子なりの矜持でも
産むかどうかは許可をもらって
2018年残暑 鈴木みさき #リプロダクティブ・ヘルス・ライツ #学習性無力感
蝉の声がアスファルトから立ち上る熱風を煽っているみたいだ。陽炎に阻まれるように、みさきの足取りは重い。腹に鉛の塊を抱えているように、前屈みになりながら紫外線を一身に受けて引きずるように歩く。赤みのうるさいのぼりが、風に煽られて、みさきのシャツに無遠慮にぶつかってくるが、手で払う余裕などない。
遅い歩みとは裏腹に、脳
すごくいい風景でした