SESでテスト工程にしか携われない、について
IT業界の転職エージェントの芦野です。あけましておめでとうございます。いつの間にか都市があけていました。
今年からはもう少しnoteも気合い入れて更新しようと思います。
今回は、SESでテスト工程ばかり携わっている(コーディングや設計、要件定義に携われない)、といったお悩みについてです。
たまにこうした理由で転職を希望される人がいたり、ネットでもSESはスキルが身につかない、といった話もきいたりします。
そしてこうした話が広がっていることもあり、「Web系自社じゃないと開発スキルはみにつかない」といった論がでてくることがあります。
ただ、個人的にはこれは少し行き過ぎた話の展開でもあると感じているため、この内容についてつらつら記載していきます。
※あくまで一個人の見解です。
SESとは?
そもそもSESというのは、System Engineering Service(システムエンジニアリングサービス)の略称で、顧客に対してエンジニアを労働力として提供し、その契約が「準委任契約」をとっているものです。
契約には、請負契約(SIerがよく行っているもの)や派遣契約がありますが、成果物完成義務や指揮命令権等の違いがあります(ここでは詳細は割愛します)。
SIerは企業を指し、SESは契約形態を指しているため、厳密にはこの両者は同じ区分ではありません。実際アジャイル開発の普及にも伴い、SIer企業でもSES契約を結ぶことが増えてきており、IPA(情報処理推進機構)でも明確にアジャイルは準委任契約が前提、としています。
したがって、SES企業という区分は若干定義が難しいですが、ここでは基本的にその会社の担当している案件のほとんどが準委任契約をとっている企業とします。
SESでテスト工程しかできない理由
すごく雑に分けると大きく「企業側の理由」と「個人の理由」の二つにわかれると考えられます。
①企業側での理由(案件がない、アサイン方法の妥当性のなさ)
SES企業側の理由としては、開発案件がほとんどなかったり、エンジニアの案件アサインの方法に妥当性がなかったりする場合があげられます。
SES企業では、営業が案件を獲得し、そこにエンジニアをアサインします。案件はユーザー企業から直接獲得することもあれば、そこから案件を請け負ったSIerから獲得することもあれば、さらにそのSIerから案件を請け負ったSIerから獲得する、など、所謂多重下請けになる場合もあります。
(参考)
その際、4次請けや5次請けあたりになっていくと、案件として下流工程ばかりになり、会社としてテスト工程メインの案件ばかり保有している、といった傾向になりがちです。
また、案件として開発工程や上流工程をもっていたとしても、アサイン方法によってはそうした工程に携われない場合もあります。
よくあるのが、案件アサインの際に希望を全く聞かれない、といった話です。エンジニアの希望を全く聞かずに案件にアサインしている企業だと、ずっと同じような案件ばかりやることになり、結果的に下流ばかりやっている、といった傾向になりがちです。
なので企業要因としては、
・ユーザー直請け案件や二次請け案件が豊富にあるか
・案件アサインの際に希望をきいてくれるか
の二つが重要なものです。
②個人の理由(自己研鑽を全くしていない、担当案件で仕事をこなせていない)
個人側の理由としては、自己研鑽を全くしていないケースや、現状アサインされているPJで成果をだせていないケースがあります。
上述したように、SES企業では営業がとってきた案件にエンジニアをアサインします。その際どの企業もまずは「できること」を念頭に案件アサインします。したがって、テスト工程しかやっていない人だと、できることが「テスト」のみになるため、開発案件にアサインしづらい状況です。
ここで自己研鑽をしているかどうかは問われていきます。同じようにテスト経験しかない方でも、業務外にプログラミングを毎日少しでもやっている人とそうでない人とでは、間違いなく前者にチャンスがやってきます。
つまり、「できること」の中に、「業務でのテスト経験」+「業務外でのプログラミング経験」をもつことが重要です。
ここで注意すべきなのが、現状アサインされているPJで成果をだすことは前提となっています。任された仕事を着実にこなし、さらにもし可能であればできる限りプラスαの行動をする(例:他のメンバーの教育やフォロー等)ことで、アサイン先や自社から高く評価され、次に開発案件に任される可能性が高まります。
つまり、「できること」の中に、「業務を着実にこなす力(プラスαの行動ができる人」+「業務でのテスト経験」+「業務外でのプログラミング経験」といった3つの要素が含まれることで、開発案件にアサインされやすくなります。
まとめると、個人要因としては、
・業務外での自己研鑽
・担当PJで成果を残す
の二つが重要の要因となります。
まとめ(転職すべきかも含めて)
上述のように、テスト工程しかできない場合は、企業要因と個人要因の二つがあるとお伝えしました。現状テスト工程しかできていない人がもし転職を希望する場合は、企業要因なのか個人要因なのかをよく分析してから動きましょう。
私も求職者の方と話す場合は、基本的にまず個人要因の部分はどうなっているか(自己研鑽をしているか/担当PJを着実にこなしているか)を分析し、そこがクリアになっている場合に初めて転職支援を行います。
企業要因については、ご自身で色々調べてもどの企業が上流案件を多数保有していて、かつ案件アサインで希望をきいてくれるか見分けられない場合も多いかと思います。
その際はしっかり信頼できる転職エージェント等を活用して、情報情報収集していただくのがよいと思います。
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