つくも てんし王

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最近の記事

新型コロナ禍での戸建て在庫不足から見えること

新型コロナ禍で米国の戸建て市場は流通在庫不足からタイトな状況が継続しております。米戸建て売買中間価格は上昇傾向にありますが、2021年1月には前年比11%と大きく上昇をしました。さらに、リスティング市場での滞留日数が短縮化しております。この背景には流通在庫が半減したことにあります。2021年1月時点で、流通在庫は32.5万戸となりました。特にこの1年間のコロナ禍で戸数が極めて減少しました。 この背景には、①ミレニアル世代(1989-93年生まれ)の持ち家比率の大幅増加、②2

    • 米国長期金利の上昇がもたらすもの

      米国長期金利の上昇が継続しております。10年物国債が昨年8月に0.5%台のボトムを付けた後、2021年の年明けには1%台を回復し、3月初めには昨年2月以来の1.5%台に乗せております。バイデン政権誕生だけではなく議会も含めトリプルブルーとなり、1.9兆ドルの財政出動の予算案を下院議会で通過させ、3月中旬にも上院でも承認してしまう勢いです。需給ギャップを大幅に上回る財政出動で、市場がインフレを懸念し出した現れ、IT企業を中心に株式市場は大揺れです。 2021年2月分の雇用統計

      • 米国REIT企業の2020年第4四半期決算結果から見えること

        米国REIT企業の2020年第4四半期決算発表は、2021年2月上旬までにほぼ半分の企業が出そろいました。増配の企業数が減配の企業数を上回ったこともあり、業績の結果は予想以上に改善していると言えそうです。家賃回収率に関して言えば、店舗セクター以外のすべてのセクターで新型コロナ前の水準まで回復してきました。大型財政出動を後押しするバイデン政権の本格始動が市場の好感を生み、幅広い業種で買いが進むなど、REIT銘柄では、住宅・IT・物流倉庫のセクターの上昇が止まりません。2020年

        • シリコンバレー所在の巨大IT企業価値と不動産価格の相関関係に崩れか

          2月上旬までに巨大IT企業の2020年第4四半期の決算が出そろいました。新型コロナ禍において米国企業による全面在宅勤務の恩恵を業績に反映し、他業種の業績を横目に増収増益でした。 アップル社は前年比+10%の増収・-3%の減益、グーグル社は前年比+13%の増収・+19%の増益、フェイスブック社は前年比+22%の増収・+33%の増益でした。業績以上に注目に値するものは株価(および企業価値)の大幅な上昇です。 新型コロナ禍で大量に失業者を出した米国経済を立て直すため、米連邦準備

        新型コロナ禍での戸建て在庫不足から見えること

          加速しているハイテックハブにあるアパート家賃の下落(21/02/01配信予定分)

          新型コロナ禍で、全米アパート賃貸市場が悪化傾向にあります。昨年12月時点で上位100郡のうち37郡で1ベッドルームの家賃が昨年同月比下落しております。3月時点で6郡、11月時点において36郡で、家賃下落する地域が拡大しております。2ベッドルームでは28郡で家賃が下落しました(3月および11月ともに12郡に留まっていた)。特に下落幅が大きい地域は、主に、巨大IT企業が集積し地域経済が堅調なハイテックハブで起こっております。特にSFベイエリアでは最大の下げ幅となっております。その

          加速しているハイテックハブにあるアパート家賃の下落(21/02/01配信予定分)

          AirbnbのIPOが意味するもの(20/12/21掲載分)

          12月10日ナスダック市場に、ユニコーン企業(未上場企業で時価総額が$1B超ある新興企業)の一角を占めていたAirbnb(エアビーアンドビー)社と呼ばれる民泊大手が上場を果たしました。上場初日に、公募・売り出し時価総額の約2倍の10兆円に達しました。 2007年にAirBed&Breakfast.comという名前で創業したブライアン・チェスキー氏という青年実業家は現在39歳で、イタリア系・東欧系の血を引く東海岸育ち、幼いころからアーティスト・設計士を志向しロードアイランド芸

          AirbnbのIPOが意味するもの(20/12/21掲載分)

          米国戸建て分譲業者に吹く追い風(21/01/12掲載分)

          新型コロナ禍にもかかわらず米国戸建て分譲業者は好調な業績を持続中です。上場会社上位15社の売上高合計は前年比14%増(販売戸数は前年比13%増)となっております。それらの時価総額合計も1,060億米ドル(約11兆円、本年3月末より25%の増加)に達しました。昨年のパフォーマンスでは、S&P500のプラス14%、エクイティREITのマイナス10%を凌ぐものでした。上位15社のうち、低中価格帯で全国展開(ただし、NVR社は東海岸のみ)している以下の戸建て分譲上位4業者は投資対象と

          米国戸建て分譲業者に吹く追い風(21/01/12掲載分)