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推し活にみる現代の若者の自己同一性の欠如

現代の若者の消費行動と自己同一性への影響

現代社会において、インターネットの普及とソーシャルメディアの発達は、若者の消費行動と自己同一性に大きな影響を与えています。
特に、インフルエンサーと呼ばれる存在が台頭し、多くの若者がその影響下に置かれるようになりました。これはマーケティングのあり様の変化を促し、今までのマスに対するものからこのようなインフルエンサーの閉じられたコミュニティに訴求して物を消費させるコミュニティ・マーケティングというものが主要になってきました。
彼らは、自らの生活様式や価値観を発信することで、フォロワーからの支持を集め、時には消費行動を促進する役割を担っているのです。


しかしながら、その影響力の大きさゆえに、問題点も指摘されます。
社会不安のレベルが高い若者ほど、インフルエンサーに強く依存し、熱狂的な「推し活」に没頭する傾向があるといい、これは、現代の若者の心理的特徴を如実に表しているように思われます。

第一に、自己肯定感の低さが挙げられます。
社会不安が高い若者は、自分自身に対する評価が低く、自信を持てない傾向にあるのです。そのため、インフルエンサーへの依存を通じて、自己肯定感を補填しようとする。
推し活を通じて、自分が応援する人物の成功を自分のものと感じ、間接的に自尊心を満たそうとするというものがあります。

第二に、所属感の欲求。
現代社会において、人間関係の希薄化が進み、若者の多くが孤独感を抱えています。
そのような中で、インフルエンサーを推すことで、そのファンコミュニティへの帰属意識を得ることができるため、推し活を通じて、自分が何かに属し、受け入れられているという安心感を得られるのであります。
このかり宿を自分のホームとして、この借り宿が飽きたら他へ移っていくのです。
これを繰り返すことで常に自分は何かに属しているという帰属感というかりそめの安心を得るのです。

第三に、現実逃避の手段としての側面もあるのでしょう。
社会不安が高い若者は、現実の人間関係や社会的場面に対処することが苦手であります。特徴としては"痛み回避"などという所作があるくらいです。
そのため、インフルエンサーへの依存や推し活に没頭することで、現実の問題から目を逸らし、仮想的な世界に逃避しようとするのであります。
この行為は選択肢のひとつとして持つのであればよいのですが時として、極度な依存を示していくと、もしこの対象が自分の意にそぐわない事象があったときに攻撃の対象となっていくという盲目さの危険性も孕んでいるのです。

第四に、自己表現の欲求も関連しています。
内向的な若者は、自分の意見や感情を直接的に表現することが苦手な場合があります。
しかし、推し活を通じて、自分の好きなものや価値観を間接的に表現することができる。インフルエンサーを応援し、その魅力を語ることで、自己表現の欲求を満たしているのであります。
この代理制という価値観の在り方はいまの世界、今後の世界では大切な価値観にもなる可能性を持っています。
アバターなどもそうですから

第五に、理想の自己像の投影も見られます。
多くの場合、インフルエンサーは魅力的で成功した人物として自分の中に抱かれていきます。
社会不安が高い若者は、自分自身の理想をインフルエンサーに投影し、そのイメージに自分を重ねることで、自己イメージの向上を図ろうとするのであります。

以上のような心理的特徴は、現代社会における若者の問題を反映していると言えるのではないでしょうか。
人間関係の希薄化や自己肯定感の低下、将来への不安といった問題に直面する中で、インフルエンサーへの依存や推し活は、若者なりの対処法・処方箋となっているのかもしれません。

しかしながら、過度な依存は健全な人格形成を妨げる可能性もあるということは念頭においておかなければなりません。
インフルエンサーを盲目的に崇拝し、その価値観を無批判に受け入れることは、自己同一性の確立を阻害しかねないということです。
また、推し活に没頭するあまり、現実の人間関係や社会的スキルの向上が疎かになるのも問題であります。


重要なのは、バランスを保つことであり、自分の行いを意識しているかどうかということであります。
インフルエンサーから影響を受けつつも、自分自身の価値観を持ち、批判的に吟味する姿勢が求められるのですが、それを持つことを許さないというのがこのエンターテイメントの"魔法"であると言ってもいいでしょう。
また、推し活を楽しむ一方で、現実の人間関係も大切にし、社会的スキルの向上に努めることが肝要であるのですが……

現代の若者の消費行動と自己同一性は、インターネットとソーシャルメディアの発達に大きく影響を受けております。
インフルエンサーへの依存や推し活は、その象徴的な現象と言ってもいいでしょう。
推し活というものは用法・用量を守ってご利用くださいということですね

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