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大っ嫌いな外勤営業に配属されて本当に良かった

今日は、キャリアの転機にもなった大っ嫌いな営業に配属された時の話を書こうと思います。

外勤営業に配属されたのが2016年頃。本気で退職しようと思ったほど当時は嫌で嫌で大っ嫌いだった外勤営業、2022年の今振り返ると経験できて本当に良かったと心から思えているから不思議です。

外勤営業が嫌だった理由
・残業しないと業務内容についていけない
・数字に興味がない
・引き継ぎ書面がなく、わからないことにぶつかってから教わる文化
・飲み会で盛り上げてなんぼ
・とにかく1人にでも多くの人に会って顔を覚えてもらってなんぼ
・営業マンが楽しそうに働いていない

もうね、毎日が苦痛でした。朝の歯磨きしながら嗚咽が出るくらい出社が嫌でした。モチベーションが全然上がらない。

そういえば、入社してから時代の荒波に飲まれて、毎年のように会社名が変わったり合併吸収しながら担務もコロコロ変わっていきました。地元企業に就職して平和に楽しんでいたのに、なんだか大阪転勤になって東京転勤に…自分のキャリアと向き合う暇もなく歩んできた20代、30代でした。

そしてアラフォーにして外勤営業よ。

「あと半年で辞めてやる!」


もうこれ以上自分の人生を会社の荒波で狂わせたくない!嫌なことしながら行きたくないし、自分らしく生きたい!

そのために自分が出した答えは「あと半年で辞める」。このゴールを作ることで目の前の1日1日を乗り越えることができました。今日辛くても半年後には自由の身!そう思うと朝も起きられるんです。

「来月辞める」ではなく「あと半年で辞める」にしたのは、数ヶ月後のボーナスをもらいたかったことと、引き継いで間もないので次の人に迷惑がかからないようにしたかったこと、それと…「辞めてなにするの?」が決まってなかったから。

辞めると決めたことで芽生えた疑問


辞めると決めて過ごし始めたら「本当にこのままでいのか?」という気持ちが芽生え始めたんですよね。

人間、終わりを感じるとそういう思いになるんですね。

外勤営業は確かに嫌だったけれど、いつかまた一緒に働きたいと約束した尊敬する上司がいる会社、辛い時に支え合える仲間がいる会社、親友に出逢えた会社を自ら去る選択をすることは悔しいし、本当にこの会社で自分らしく働くことは難しいのか?と疑問に思うようになってきました。

「自分らしく働くために必要なことはなんだろう?」という疑問が生まれたのです。


自分の軸を探した結果


自分らしく働くためには好きなことを軸にする必要があると考え、転職を視野に興味のあることを社外で勉強するようになりました。

コミュニティだとかオンラインサロンだとか越境学習などが増え始めていたので、社外で様々な人や考え方に出逢うことができ、自分らしく働くために何が必要なことがわかり始めました。

同時にこの会社で自分らしさを試さないうちから辞めるのは嫌だと思うようになってきました。

そういえば、今まで「自分らしく働くとはどういう状態のことか」すら考えたこともなかったですし「何のために働きたいのか」という軸が自分には無かったことに気づかされました。

今振り返ってみれば「自分軸の無さ」が営業に対する苦手意識を助長していたなぁと思います。


なぜ働くか?自分らしく働くためには?疑問と向き合った結果、起きた変化


①社内外の人たちとつながり始める


毎週のように社外の勉強会やセミナー、イベントに参加して答えを見つける日々が続きました。

特にサイボウズ社のオウンドメディア「サイボウズ式」に深く共感し、サイボウズ主催のイベントには欠かさず出席。それがきっかけで、幸福学を提唱している慶応大学前野教授の存在を知り、幸せに働くことにフォーカスし始めたり。

バイアスや心理的安全性、価値観、偏愛、SDGsやデザイン思考など、幸せに働くことに必要な要素に触れながら、社外コミュニティに触れるきっかけが増え、さまざまな会社で働いている人の想いや気持ちを聞くことになり、自分と向き合う時間が増えました。

1人の人との出会いや1つの記事との出会いで自分の人生が変わっていくことを実感。

社内でもアンテナを張っていると、興味のある活動情報が入ってくるようになり、非社交的ながらも積極的に参加していると、同じような想いをもった人とつながることができ、社内で営業だけに捉われないような時間の使い方をしたことで、自分には営業以外の選択肢も社内にあると自信がついてきました。


②営業に対する向き合い方が変わっていく


上記①のインプットに時間を費やしたいため、営業のタスクは少しでも効率的に時間をかけずにこなせるような工夫をしながら働くようになりました。

営業が苦手だという気持ちはありましたが、であれば少しでもラクにこなせるように工夫することがモチベーションへと変わっていきました。
勉強したいことやインプットしたいことが増えたため、営業に対して好き嫌いでモチベーションが下げている暇はなく、とにかく①に費やす時間の確保のために営業に対して深く思い悩む時間が減ってきたわけです。

自分らしく働くために何が必要か?自分は何のために生きているか?といった問いに対して自分の中で軸ができてくると、営業の仕事も自分軸で判断できるようになってきて、営業の仕事が嫌ではなくなり始めるという現象が起きてきたんです。


営業の仕事を自分らしさで染めた結果


わたしは非社交的人間なので、多くの人脈を築いて営業するスタイルは苦痛でしかありませんでした。過去のデキる営業マンの成功スタイルはスーパー社交的。会ってなんぼ、顔を広めてなんぼ、飲み会してなんぼ。

わたしはデキる営業マンスタイルを手放して自分らしさで勝負しました。その結果起きたことをお話しします。

①飲み会は盛り上げ隊長の横に座り、1次会で帰る

自分が盛り上げようと頑張るからシンドイわけで、自分よりも盛り上げるのが得意な仲間に盛り上げ隊長をお任せしました。
そしてお付き合いだけの2次会には行かない!丁寧にお断りを添えて1次会で帰りました。

1次会で帰ったら心象を悪くするのではないかと不安でしたが、そんなことはなくこっちの部長も相手の部長も自分達が楽しければ良い感じで快く開放してくれました。そのうち「あ、じゃぁわたしも」と一緒に1次会で帰る先方企業の人も出てきて、なんだみんな我慢してたんだなぁと思いました。


②対面でも電話でもなくメール

相手のニーズに素早く対応することで、先方担当者との関係性を深めていくことにしました。

具体的には「会いに行かない」。
もし会いに行くことを重視して電車で移動中に携帯が鳴っても対応できません。電車を降りて折り返しTELをすると先方が会議中。また折り返し先方からTELをもらった時には今度は自分が別の取引先に訪問していて対応できず…明日になっている、なんてことはザラにあります。

わたしは会いに行く回数を減らす代わりに、相手からの依頼に鬼スピードで対応することに。例えば自社で会議中だったとしても、TELには出られませんがメールを打つことはできます。先方に「会議中なのでご依頼をメールでいただけますか?」と送ると先方からメールがきます。会議中でもこっそり対応できてしまいます。

「来たメールにすぐ対応する人は仕事がデキない人だ」という記事をWEB上で見かけるのですが、時と場合と内容によると思います。
わたしの場合はチャット並みのスピードでメールを返していました。先方のニーズは「とにかく早く答えが知りたい」のですから、自分のペースでメールチェックをするのではなく、とにかく来たメールからビシバシ捌いていくことで、常に余白を確保します。

さらにメールは添付が使えるので、相手から聞かれたことだけに対応するのではなく、プラスアルファの先を読んで相手が次に聞いてきそうなことの資料やデータを添付することで感謝されました。

対面やTELで話すことは苦手ですが、戦略的に相手のニーズを読み取って爆速で対応するのが得意だったので、頻繁に会いに行かなくても相手のニーズに応えることで信頼関係を築きました。

相手の時間を奪わないためにも会いに行くことやTELは必要最低限にして、メール対応していたことで、結果的にコロナになってからも違和感なく営業が続けられました。

③広く浅くではなく1人の人ととことん深く

営業の種類によりけりですが、わたしの場合は各取引先に必ず1人の窓口担当者がいらっしゃいました。もちろんその人だけでなく、その会社で1人でも多くの社員さんに顔と名前を覚えてもらうほうが認知度も上がりライバル会社より差をつけられるのですが、わたしは1人の窓口担当者とだけ関係性を深めるようにしていました。

多くの人と会うと疲弊するし、無差別に名刺を配りまくることが目的になっている営業スタイルにも違和感がありました。

1対1の付き合いで、相手に本気で興味を持って関係性を作ることに徹しました。営業にとって「情報をとってくる」ことは大切です。1対1だからこそ心を開いて伝えられる「ぶっちゃけ情報交換」ができるのも良い点です。

メールでの関係性構築の最中に、メールの本文にちょっとおどけた内容やしたプライベートな話題も織り交ぜて関係性を深め、会った時には「あなただから教えますが」という感じでこっそり情報をもらえます。非社交的だから口も堅そうだという印象を持たれて信頼されます。

もし無差別に名刺を配っていたとしたら、些細な困りごとや質問も直接多方から舞い込んできてしまい、自分の担務外のことまで引き受けねばならないケースに陥りがちです。本当に時間をかけて取り組みたいことに時間が使えなくなってしまいます。

しかし、先方の1人と深く関係性を築いておけば、その人が場をとりまとめてくれるのです。「●●のことは営業じゃなくてサポートセンターに聞けば良いよ」と社内で広めてくれるので、わたしのところには本当にわたしがやるべきニーズの質問しか来なくなり、時間に余裕ができました。


④苦手な数字はストーリーで語る

わたしは数字が苦手です。でも数字が苦手だからこそ、その数字の流れの裏にある物語を読む力を活かして本質を見極めるようにしました。

数字が苦手ゆえ、根本的に疑問がたくさん浮かびます。「なぜここの数字は例年より低いのか?背景に何があったのか?そもそもどういう計算式でハジき出されたのか?」など。

社内で数字が詳しい人にとことん聞いてまわります。親切丁寧に教えてくれる仲間に感謝!申し訳ないぐらい何度も説明してもらい、自分自身が納得して飲み込めるようになるまで、数字を活字へと変えていきます。

難しい表現や計算が使えないので、自分がわかるレベルにまで分解して、わかりやすい言い回しやシチュエーションに置き換えて理解することに努めました。

そうすると、先方との契約商談でも難しい言葉ではなく誰にでもわかる言葉で説明するので、双方でとても納得感が得られる腹落ちしたやり取りができるようになったのです。

取引先との大事な商談の時、相手をまるで敵のように捉えて難しい言葉で論破する営業マンがいます。こちら側が有利な数字を持っている中での契約は特に、無駄な理論武装をして手の内がバレないように、少しでも有利な契約を引っ張り出そうとするのですが、それで契約が取れたとしても将来につながる良い関係性ができるのかなぁと疑問でした。

わたしは取引先は運命を共にするパートナーだと思っています。自分と同じレベルで解釈していただく必要があり、同じベクトルで契約を結び必要があります。バカ正直と思われるかもしれませんが長い目で見れば理論武装なんてする必要ありません。


会社からの評価が良くなかったのは自分が自分を評価していなかったから


上記のように自分らしさを活かして働きながら、自己理解のための社外勉強に夢中になっていたわたしは、相変わらず営業のことは嫌いでした笑

自分らしさを活かせても嫌いなことは嫌い。好きにはなれません。それでも苦痛なく働けていたのは「嫌いなままでいいじゃん」と思っていたからです。そりゃぁ好きなことの方が仕事は楽しいでしょうけど「好き」だけが必要条件ではありません。

自分が営業を好きかどうかに固執するのではなく「必要とされる営業はどういう姿か」を考え、相手のニーズと自社の強みの間にあるものが何かがわかれば営業は楽しくできます。相手のニーズと自社の強みにあるものが何かを探るために「好きかどうか」はあまり関係ありません。自分の得意なやり方で「何か」がわかれば営業はスムーズです。

わたしが自分らしいやり方で営業ができるようになったのは、もちろん自己理解と向き合ったからというのもありますが、自分が自分の価値を認めて自分らしさを軸に行動する覚悟を持てたからだと思います。

すると不思議なことに会社からの評価が良くなって、営業に従事していた4年間は最高評価をいただけました。良い評価をもらうためにやっていたわけではないのに、自分らしさを認めて動いていたら結果もついてきたのです。


これまで自分のキャリアを外的要因や時代の荒波のせいにして、評価にも興味を示していませんでしたが、自分を評価していなかったのは会社ではなく自分自身だったのかもしれません。まずは自分が自分の可能性を信じていれば、どんな外的要因がきても自分らしく突き進めるのだと分かった瞬間でした。


大っ嫌いな外勤営業に配属されて本当に良かったこと


以上の経験から、わたしは営業に配属されて初めて、自分らしさを活かして働くことの大事さを知りました。既存の型にとらわれず、相手のニーズに自分らしさがどう関われるかを考えるきっかけになりました。

結果的に半年後に退職することなく、今も会社に残って働いています。営業中にいろいろ考えたことがあり、昨年は不妊治療による妊活休職を取得しました。またこの決断については後日書こうと思いますが、今は復職して間接部門で働いています。もちろん、相変わらず営業は嫌いです笑
それでも営業に配属されて本当に良かったと今は心からそう思えています。その理由はこんな感じです。

・自己理解へのきっかけがひらけて自分の軸ができた

自分にとって大切なことは何か、自分が何にワクワクするのか、何のために働くのか、仕事を通じて成し遂げたいことは何なのか?など自己理解にどっぷりと向き合ったことで自分の軸ができました。
心の底から「嫌だ」という違和感を持ったことで、本当に自分が「欲しい」と望んでいることが見えてきたわけです。

心の底から嫌だ、と思える経験をしたおかげです。


・会社人生をかけてやりたいことが見つかった

自己理解の大切さ、個人の価値を磨いて可能性を広げていく大切さを知ったおかげで、会社という組織に集う1人1人にも必要な要素に気付きました。
営業の傍ら勉強していることを元にコンテンツを作り上げ、部内で「個が活きるワークショップ」を提案して実施させてもらいました。

営業をしながらワークショップコンテンツを作ることは大変でしたが、想いが強く夢中だったので辛いことはありませんでした。
ワークショップでは仲間が涙し、チーム力が高まるのを感じて「これだ」と確信しています。

わたしの挑戦は始まったばかりですが、会社人生をかけてやりたいことが見つかったのも営業に配属されたからこそです。


・営業力が身についた

わたしは今複業でWEBデザイナーやキャリア・ライフデザインについても活動を広げようとしていますが、営業での経験がつながっているのを感じます。

相手のニーズを読み取る力、戦略的に捉えて本質にアプローチする力、デザイン力を活かした資料にまとめて、自分の言葉でわかりやすく説明する力…営業を通じて多くの副産物を得ることができました。

また社外に出ても「◯◯の営業として△△という企業を担当させていただき、XX億の契約を取りました」といった実績を持ったことは今後の転職や社外での活動にも大きな自信になりました。


今後について


会社でやりたいことが明確になった今、今後のキャリアデザインを戦略的に進めているところです。それでも会社のことだから、また想定外の人事異動もあることでしょう。その時にまた辛い波に乗らず、軽やかに超えていくためにも覚悟を決めて今はいろいろ準備を進めています。

会社のことは好きだし仕事も好きだけれど、自分の人生の操縦桿は自分で握る。だから1つの企業に依存したまま日々を過ごすのではなく、企業と共存しながら自分らしさを大切に、2022年を生きていきます!

お読みいただきありがとうございました。


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